分別功徳品 (6)
  世尊 弥勒菩薩みろくぼさつ げ を聞き
 「阿逸多
あいった 弥勒菩薩の通称名 もし ある衆生が 人の寿命は無限であるという真実を聞いて、
  一念でもそれを
信解しんげ したならば その人衆生功徳は はか り知れないほどです。
  ある善男子
善女人が 阿耨多羅三藐三菩提 あのくたらさんみゃくさんぼだい に達するために 六波羅密のうち
  
智慧波羅密以外の五つの波羅密の行を 八十万億那由他劫なゆたこう という長い間行っていたとします。
                                                    
般若心経/六波羅密
  六波羅密 ろくはらみつ とは人のため世のために尽くし 心の安らぎを得る六つの菩薩行ぼさつぎょう です。
   
1 布施波羅密 ふせはらみつ  ほかの人に施して 心の安らぎを得る。
   
2 持戒波羅密  じかい    戒を守り、煩悩を断ち 心の安らぎを得る。
   
3 忍辱波羅密  にんにく   忍耐して気持ちを静め 心の安らぎを得る。
   
 精進波羅密  しょうじん   懸命に努力を続けて 心の安らぎを得る。
   
5 禅定波羅密  ぜんじょう   動揺しない心の安定を求めて、修行、瞑想して 心の安らぎを得る。
   
6 智慧波羅密   ちえ    諸法の実相を見通す 仏の智慧を得ることで 心の安らぎを得る。
 上記の1〜5までの五波羅密を 非常に長い間行じていくと 素晴らしい功徳を得ることができます。
  しかし
 そんな素晴らしい功徳でさえも 比べものにならない功徳が ほかにあるのです。
  その功徳は
 仏の寿命の永遠不滅 ほんの一瞬にでも一念にでも信解しんげ すると得られるのです。
  この功徳とそのほかの功徳とでは
価値の性質も価値の次元も全然違います。
  何万分の一だとか
 何千万億分に匹敵するとか 数字の比較など できることではありません。
  今
 あなた方は 功徳にも違いが有ることを 知り得ました。
  衆生が求める
 阿耨多羅三藐三菩提の道においては 常に 仏の無量寿むりょうじゅ 信解し怠ることなく
  修行をつづけることが
 大切なことなのです。
  再度
 皆さんに伝えます。 仏の無量寿を信解すること高い功徳が与わるのです。
 衆生が 五波羅密(布施持戒忍辱精進禅定) 日々行じるのは立派な修行ですが完全ではありません。
  その理由は
 六波羅密の六番目の
智慧波羅密ちえはらみつ を欠いた修行なので完全ではないのです。
  完全な修行でないから
 涅槃まで到達することは なかなか困難なのです。
  智慧波羅密の
智慧とは仏の智慧をいうのです。
  
完全な修行は 仏の智慧を加えた六波羅密の修行のことです。
  明らかなことは
 完全な修行を行うと 必ず 涅槃の境地へ達することができるということです」。
 ボサツマン 世尊に質問する
 「
仏の生命は永遠不滅であることを一念でも信解した衆生は 自分の生命も永遠不滅であるという自覚が
  自分の心に生まれてくるのですね。
  その自覚を得た時が
 大安心だいあんじん の世界へ入った時 なのですよね?」。
  世尊
  「ボサツマン君
その通り 君もだいぶ成長しましたね」  エヘハハア 合掌 ‥‥‥ボサツマン    つづく