法師功徳品 (4) 舌ぜつの功徳
世尊
「舌の功徳には、食物の味が良くなることと、自分の説くことが人を動かすようになることの 二つがあります。
信仰が高まり、清浄な静まった心になると、食事の味がすべておいしく感じられます。
このとき、その人の心には増上慢の心が全く無く、謙虚けんきょ な気持ちが満ちているのです。
何を食べてもおいしく食べれることが 身体も健康を持続していくのです」。
次に、身しんの功徳です。五種法師を行じる者は、清浄身しょうじょうしん 得るのです。
五種法師を行じる衆生は、すべての衆生から尊敬され、万物の実相じっそう を反映する清浄身になるのです。
つまり、清浄身を得た衆生とは 私心ししん が消え去った衆生であります。
この世のすべてのものの相すがた が 歪ゆが みなく曇りなく ありのままに映うつ る心をもつ身なのです。
こういう人を衆生は、導師・どうし・として尊敬し、導師の姿形・すがたかたち・を見ることを心から喜ぶのです。
ですから すべての衆生は 五種法師の菩薩行を一心に修行すると良いのです」。
次に、意い の功徳です。五種法師を行じる者は、千二百の意の功徳を得るのです。
是の清浄の意根いこん を以て 乃至ないし 1偈1句を聞くに 無量無辺の義を通達つうたつ せん。
義を解さと り巳おわ りて 能よ く1句1偈を演説すること 1月・4月 乃至ないし 一歳いっさい に至る。
諸々の所説しょせつ の法 その義趣ぎしゅ に随したが いて 皆 実相と相背あいはい せじ。
意味:
五種法師を行じて、千二百の意の功徳を得た衆生は、意根(心の奥底)から清らかに澄みきっているので、
仏の教えの1偈や1句を聞いただけで、その教えの無量無辺の意味を くまなく知ることができます。
こういう衆生は、仏の教えに通達しているので、その意味をすっかり理解した後は、
その1偈・1句について 1カ月や4カ月を超えて・1年間にも及ぶ長い説法を 行うことができるのです。
いろいろな角度から、いろいろな説き方で、いかようにも、どんなに長い説法でも可能です。
仏法の広大無辺な教えに通達した衆生は このようなことが可能になってくるのです。
次の言葉も、現実の問題を提起した非常に大切な言葉です、説明しましょう。
若し 俗間ぞっけん の経書 治世じせ の語言ごげん 資生ししょう の業ごう を 説くも 皆正法しょうぼう に 順ぜん。
意味:
五種法師を行じた人は、生活上の産業を説いても、正法(仏の教え)と一致している、という教え。
俗間の経書 ぞっけんのきょうしょ 倫理・哲学などの人生の指導書のこと。倫理や哲学を口頭で話す場合など。
治世の語言 じせのごごん 政治・経済・法律に関する本や言葉など。
資生の業ししょうのごう を説く 農業・商業・工業など産業に関して論じたり、指導すること。
法座の皆さん、法華経を広めるのは 仏の法座を聞いた衆生の皆さん方なのです。
当然 未来世から時空を越え法座に参加したボサツマンもそうです」。 ア・ハイ ボサツマン 急に ビックリ!
(5)へつづく