妙法蓮華経 序品第1 じょぼん
この序品第1では 無量義経を説き終えた世尊が 瞑想三昧めいそうさんまい に入りましたので
菩薩仲間では 最も先輩格の文殊菩薩が 世尊に代わり 説法役として月燈明如来にちがつとうにょうにょらい のことや
自分(文殊菩薩)と弥勒菩薩の過去世かこせ の関係を語っています。
ー世尊は毎 五時間も瞑想を行っていたと文献にあるー
世尊は 説法の前には 必ず 瞑想三昧に入り どうしたら 真理の教えが大衆に良く理解されるのか?
また 仏の教えが正しく世の中に広まるには どのように説くべきかを考えていました。
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世尊が 瞑想三昧 めいそうさんまい に入られた直後
真理の法話 無量義経を聞き 歓喜かんき した天地は 美しい花を十方世界のすべてに降り散じました。
美しい光景に大衆たちは 歓喜の声をあげ合掌し 熱い眼で瞑想中の世尊を仰ぎ見ていた その時…
瞑想中の世尊の眉間白毫みけんびゃくごう の白い渦毛が眩まばゆい光を放ち輝きました。
その光は 天地の全世界の隅々までも すべて 照らし写したのでした。
眉間白毫ー 仏の31番目の相で 眉間の上に右に渦巻き状で丸く生えた 約4.5メートルの白い毛
眉間白毫みけんびゃくごう の光が照らし出す世界の光景は 全大衆の目にも ハッキリと見えています。
「六道の世界」を彷徨さまよ い 「六煩悩」ぼんのう に苦しむ衆生たちが 大勢おおぜい 写しだされています。
しかも 六道の世界を彷徨さまよう 衆生の過去世の因縁も ハッキリと写しだされているのです。
大衆や弟子たちが 仏の説法を聞いて真理を学び 真剣に修行している世界も写しだされています。
衆生に 仏の教えを説いている菩薩たちの世界も ありありと見えているのでした。
仏を供養し七宝塔しっぽうとう に仏舎利ぶっしゃり を納める善男子/善女人たちも 大勢 写りだされています。
弥勒菩薩みろくぼさつ は 初めて見るこの世界の光景に驚き!どうなったのだろう?と仰天しましたが
世尊は瞑想中めいそうちゅう なので 誰に聞くのが良いだろう?……と迷っていました。
過去世からずっと世尊を供養し 直接教えを受けてきた先輩の文殊菩薩ならば きっと
この不思議な光景の訳わけ を知っているかも?……と思い 文殊菩薩に尋ねました。
ふ〜む 文殊菩薩の方が先輩なのですね! ……… ボサツマン
弥勒菩薩 みろくぼさつ
「文殊先輩 今 世尊の眉間白毫の光は 果てしなく遠い東方1万8千の仏国土を照らし出しています。
私は こんな不思議な光景を見るのは初めです、ぜひ教えてください。
世尊の眉間白毫の光の不思議な現象は なぜ起きたのでしょうか?
こんなにも美しい仏の世界が見えたことは どんな意味があるのでしょうか?」と 聞きました。
文殊菩薩、
「過去世でも 多くの諸仏の説法を聞いた私は このような不思議な光景に 何回も遭遇しました。
驚くことに 過去世で見た摩訶不思議な光景と 今見た摩訶不思議な光景は まったく同じ光景なのです。
私は今でも 過去世の諸仏が発した眉間白毫の光に写る世界が 脳裏に焼き付いています。
過去世では 摩訶不思議な美しい光景の後には 諸仏は必ず真理の法をお説きになられました。
弥勒菩薩よ このあと世尊は きっと 妙法蓮華経を説くことでしょう。
それまでの間 日月燈明如来 にちがつとうみょうにょらい について述べましょう。
太陽と月が同時に光輝くほど明るいという意味の日月燈明如来は 完全無欠な徳を具えた如来でした。
この如来が説くー真理の法ーは 最初の頃/中頃/終わり頃 と少しずつ変化していきましたが
この如来は 常に ただひとつの真理の法を 説いておりました。
この如来の神通力/ 陀羅尼門 だらにもん ー悪行を止めさせ 善行を実行させる力ー は とくに優れておりました。
煩悩の迷いで心が苦しむ衆生には まづ「四諦の法」したいのほう を説き 煩悩を断ちきらせました。
次に「八正道」を説き 「
また 「辟支仏」びゃくしぶつ (縁覚えんかく )を求める衆生には 「12因縁の法」を 詳しく説きました。
また 菩薩には 「六波羅密」の法を説いて最高の智慧を教え 仏の悟りの境地へ導きました。
つまり この如来は 衆生たちの教化・利導のため 宇宙の真理の法則を説いていました。
この如来が滅後めつご した後は 即 次の日月燈明如来が出現し 同じ教えを衆生に説きました。
この後 二万人もの日月燈明如来が出現し法を説き 多くの衆生を救ったのでした。
その最後に出現された日月燈明如来は 過去世にて 某国あるくに の国王の身であったのでした。
その国王が 一大決意されて 八人の王子を引き連れて出家されました。
出家後は 多くの諸仏のもとで善行を積み長い修行を重ねて ついに日月燈明如来と成られたのです。
最後に出現された日月燈明如来は 大乗無量義経 だいじょうむりょうぎきょう の教えと 次の三つを説きました。
1 大乗無量義経は 菩薩の道を目指す人が学ぶ教えであること。
2 仏は いつでも その教えが広まるように念じられていること。
3 仏は その教えを学び実践している衆生を いつも守っていること。
やがて 無量義経を説き終えた最後の日月燈明如来は 端座したまま 瞑想三昧に突入されました。
すると 如来の眉間にある白い渦毛が光輝き、東方1万8千の世界を 照らし写し出したのです。
その光景は 今見た世界の光景とまったく同じであったのでした」。 つづく