如来神力品 (3) 二門理一の教え 毛孔放光 もうくほうこう
 
世尊
 「大衆の皆さん
出広長舌すいこうちょうぜつ をご覧になってたいそう驚いたことでしょう。
  しかし
私の気は狂っておりません。 いたって正常でありますので心配はいりません。
  私は仏
如来ですから気が狂うことなどありません。如来の大神力のひとつを示したに過ぎません。
  前ページでは 本門の教えも迹門の教えもひとつの教えであるという 二門信一
にもんしんいつ を説きました。
  次に毛孔放光もうくほうこう 大神力を現じて見せ
  本門も迹門も同じ原理にもとづく真理の教えである
という 二門理一にもんりいつ を説きましょう。
   全身の毛孔より 無量無種色むりょうむしゅしき の光を放ち ことごと  あまね  十方世界を  照したもう‥‥
   
同じく もろもろ 宝樹下ほうじゅげ の師子座上ししざじょう の諸仏しょぶつ   かく の如く 広長舌を出し
    その全身より 無量無種色むりょうむしゅしき の光を 放ちたもう‥‥
    釈迦牟尼仏しゃかむにぶつ 及び 宝樹下の諸仏 神力を現じたもう時 百千歳ひゃくせんざい を満ず‥‥
  意味
 
  釈迦牟尼仏の全身の毛孔から 美しい種種さまざま な色の光が放たれて 十方世界をくまなく照らしています。
  
 すると 宝樹下ほうじゅげ の師子座上ししざじょう の諸仏も 釈迦牟尼仏と同じく広長舌を出して、梵天まで届かせました。
    同じく 諸仏の全身から放された 無量無種色むりょうむしゅしき の光も 十方世界をくまなく照らし輝いています。
  
  こんなにもありがたい 摩訶不思議な美しい光景が 百年も千年もつづきました。
  大衆の皆さん 真理はひとつ!なのです。
  
釈迦牟尼仏出広長舌 全身の毛孔もうく からを放つと 師子座の諸仏も同じく出広長舌されて
  
毛孔放光された事実は 釈迦牟尼仏も多くの諸仏も 悟った真理はひとつであるという意味なのです。
                        出広長舌と毛孔放光をマジカに見て 
オイラの口はアングリ……ボサツマン
 
二門理一の教えとは
 
釈迦牟尼仏が行った行動を ほかの多くの諸仏も同じく行うことができる。
  つまり 本門も迹門も 同じ原理にもとづく真理の教えであるという教えなのです。
 釈迦牟尼仏と無数の仏の全身から
尊いが放たれ十方世界をくまなく照らしだしはじめると、
 真理は真理を呼び共鳴し合い
増幅して合体した光となって宇宙全体をくまなく 照らし輝かせます。
 実在の真理が
暗黒の闇を打ち破り 十方世界の隅から隅までを 明るく照らし輝いているのです
 このことは迷いや暗黒は 非実在ひじつざい ということです。
  迷いや暗黒は実在しないのです。有るように見えているが
本当は無いのです。
  実在
じつざい 真理だけですから実在真理が現れると非実在は消え去るのみです。
  迷いも暗黒も
 本来仏国土ぶっこくど には存在していませんので、
  
娑婆世界が仏国土に成ることで衆生の眼には有ると見えていた迷いや暗黒は消え失せるのです。
  
仏は 実在であり真理であり永遠不滅の存在です。
  
真理が現われると娑婆世界が寂光土しゃばそくじゃっこうど に化すのです。
  寂光土しゃばそくじゃっこうど とは
浄土じょうど のことです。 これは真実なのです」。   (4)へつづく 一時謦欬 いちじきょうがい