如来神力品 (5) 二門人一 倶共弾指 くぐたんじ
世尊
「次の経文を 説きましょう。
釈迦牟尼仏 諸仏 然して後のち に還かえ って 舌相ぜっそう を摂おさ めて 一時に謦欬きょうがい し‥‥の次に
釈迦牟尼仏 諸仏 具共とも に 一時に・一斉に・弾指たんじ したもう‥‥ とあります。
この意味は
弾指たんじ とは、当時のインドの習慣で 人さし指と親指とで円まる をつくり、ポンと弾はじ くことで
承知しましたとか、約束しました、という意味です。
釈迦牟尼仏・諸仏皆一緒に、一斉に弾指たんじ して この法華経の教えを説き広めるましょうと
固い決意を交わして約束し合う意思を 現わしたのです。
仏の説く法華経の教えの根本は、菩薩行ぼさつぎょう にありますので
諸仏が一斉行った倶共弾指くぐたんじ は、菩薩行の実行を共に誓う決意の行動だったのです。
菩薩行の根本とは、自他不二じたふに の精神なのです。
人が苦しんでいるのを見ると、自然に手を差しのべる心の作用が自他不二じたふに の境地です。
自他不二じたふに とは自他一体の教えです。
自他一体の教えの実行は、衆生病や めば仏ほとけ 病や むの言葉通り、菩薩行の理想の善行です。
つまり 菩薩行とは、二門人一にもんにんいつ の教えを実行することであり
法華経の自他一体の精神・二門人一にもんにんいつ の教えを、世に実践して広めることなのです。
「菩薩行/菩提心」:「菩薩の四無畏」:「菩薩は仏の代理人」
この自他一体の心を基本とした大乗だいじょう の教えが 法華経のすべてなのです。
自他一体の教えの実行を説いている「大乗仏教」は、自行即化他じぎょうそくけた の教えなのです。
自行即化他じぎょうそくけた の教えの基本が 自他不二じたふに なのです。
諸仏は倶共弾指くぐたんじ を一斉に行い、この自行即化他じぎょうそくけた の実行の決意を顕わしたのです。
衆生は、段階を追って 「四諦の法門」や「八正道」や「六波羅密」の行を学んで修行を重ね
徳を積み・迷いを去り 自分の魂を高めていきます。 これを 仏の道の修行といいます。
仏の道の修行は、自分のことだけに留まらず、ひいては、社会全体を良くしていく善行ぜんぎょう なのです。
衆生すべてが 自行即化他の行を実践すると、この穢土えど (娑婆国土)が 浄土じょうど に変わるのです。
衆生が仏の道を修行する目的は この穢土えど (娑婆国土)に 浄土じょうど を創ることなのです。
大衆の皆さんは、法華経の教えの根本は 自他一体の精神 にあることを理解できましたね。
加えて 自他一体の精神を世に広めようという、二門人一の教えも 深く理解できましたね」。
は~い!理解できました……… ボサツマン どうかな? 疑わしいものだ (6)へつづく 二門行一