文殊菩薩
 「
日月燈明如来の 大乗無量義経の説法を聴き終えた 一切大會いっさいだいえ の菩薩衆や大衆 および
  
声聞縁覚
 比丘/比丘尼/優婆塞/優婆夷 びくびくにうばそくうばい たちは 心大歓喜しんだいかんぎ 
(心から喜んで)
  次の説法が始まるのを楽しみにし そのまま 静かに坐って待っていました。
  すると
日月燈明如来が瞑想に入った直後
  如来の眉間の白い渦毛から
明るい閃光が走り 東方1万8千の世界を 照らし写し出したのです
  ビックリした菩薩や大衆たちは この不思議な光のわけを 早く知りたいと思いましたが
  なにせ 日月燈明如来は瞑想中なので
じっと待つしかありませんでした。
 
やがて
瞑想
三昧から目覚められた日月燈明如来

 
妙光菩薩
みょうこうぼさつ /菩薩衆/大衆に向かい 妙法蓮華経の尊い教えを ゆっくりと説きはじめた
 如来は 大衆の心に沁み込むような口調ゆっくりと説法するので
たいへん
理解しやすいものでした。
 一切大會の大衆は皆 真剣に聞いていて 誰も退座せずに 如来の説法60万年間も長くつづきました。

 この充実した60万年つづいた説法は まるで1回の食事時間の如く 誰もが短く感じる時間でした。
 最後の日月燈明如来は 妙法蓮華経をすべて説き終えた後に

 
私は今夜 皆さんとお別れしなければなりません
と宣言され その夜中に入滅されたのです。

 
弥勒菩薩は文殊菩薩の前世の弟子                        弥勒菩薩とは
 最後の日月燈明如来の入滅後は
妙光菩薩
みょうこうぼさつ 妙法蓮華の教えを引き継ぎ説いていました。
 その妙光菩薩の弟子に
求命
ぐみょう という名の求道者ぐどうしゃ がおりました。
 
求命自分の名誉利益に心が執着していて お経を唱えても 読誦どくじゅ すら満足にできなかったのです。
 
当然 お経の真の意味などは 全く理解しようとしない未熟な弟子でした。

 そんな求命でしたが ある日
彼は心から懺悔し改心し 懸命に深く修行し数多くの善行を積みました。
 その後 善行功徳を得た求命は 多くの諸仏に出会い
尊い教えを深く学びました。
 そして
多くの諸仏に仕えて 仏に感謝し敬い褒め称え供養する修行を長い間行いました。
 その結果 ついに 悟りの境地を得ることができました。

 皆さん その未熟な弟子/求命ぐみょう とは あなた/弥勒菩薩前世の姿なのです。
 そして
妙光菩薩みょうこうぼさつ とは この私/文殊師利もんじゅしり 前世だったのです。

  このように
前世において 私たちは すでに深い間柄あいだがらであったのです。
 
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 へえ〜 文殊菩薩と弥勒菩薩は 過去世で そんな深い知り合いだったのですか
‥‥‥ ということは つまり
  文殊菩薩は前世では すでに妙光菩薩という菩薩だったが 弥勒菩薩は まだ菩薩ではなかったの
ですね。
  
そうか! だから弥勒菩薩は 今も兜率天とそつてん 修行中なのですね。
  
ふむ!弥勒菩薩が なぜ今でも 兜率天で修行しているのか これで理解できた ‥‥‥ ボサツマン
 
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 文殊菩薩 瞑想中の諸仏の額から走りでた 眩
まばゆ い閃光せんこう
 東方1万8千世界を照らす
この不思議な現象を 過去世では 何回も自分の目で見ていたのです。
 だから 私は 世尊はきっとこれから
妙法蓮華経の教え 説くに違いないと確信できるのです。
 大衆の皆さん
暫く合掌のままお待ちください きっと世尊は道を求める者に
 
真理の法雨 ほうう
あまね お降らしになり すべての衆生の心を充足じゅうそく させてくれるでしょう」。
 日月燈明如来が
妙法蓮華経の教えを説き終えた後 まもなく入滅されたという聞いて
 衆生たちは
世尊
(釈迦牟尼如来)の入滅が近いことを 感じとりました。          
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