如来神力品 (7) 空中唱声 くうちゅうしょうしょう
世尊
「仏の普見大会の法座には 衆生たちの大歓喜だいかんぎ の声が咲きほこっていました。
そのとき、虚空こくう から澄みきった清らかな声が 聞こえてきました。
即時に 諸天 善神 虚空こくう の中に於いて 高声こうしょう に 唱えて言わく
この無量無辺百千万億阿僧祇 むりょうむへんひゃくせんまんのくあそうぎこう の世界を過ぎて国あり 娑婆しゃば と名づく。
この娑婆世界の中に 仏ほとけ 在り この仏 釈迦牟尼しゃかむに と 名づけたてまつる。
今 釈迦牟尼仏 諸々の菩薩摩訶薩ぼさつまかさつ のために
大乗経だいじょうきょう の 妙法蓮華みょうほうれんげ 教菩薩法きょうぼさつほう 仏所護念ぶっしょごねん を説きたもう。
汝等なんだち 当まさに 深心じんしん に随喜ずいき すべし 亦また 当まさに 釈迦牟尼仏しゃかむにぶつ を 礼拝・供養すべし。
この意味は
そのとき、諸天善神しょてんぜんじん が、虚空こくう の上空から 大きな声で 呼びかけられました。
この無辺際むへんざい ー無量無辺百千万億阿僧祇 むりょうむへんひゃくせんまんのくあそうぎこう ーの国々を過ぎた向こうには
娑婆しゃば という名の国があります。
その国には、釈迦牟尼しゃかむに と 申し奉りあげる仏ほとけ が おられます。
その仏は 諸々の菩薩摩訶薩のために 妙法蓮華 教菩薩法 仏所護念の大乗の教えを説いています。
大乗の教えは 心の底から随喜する深い教えです。皆、釈迦牟尼仏を礼拝・供養しなければなりません。
「教菩薩法/仏所護念」
普見大会の最中、大歓喜している衆生たちに、虚空こくう の諸天善神が、教えを説いてきました。
空中唱声くうちゅうしょうしょう の教えとは 虚空こくう の諸天善神・諸仏が 普見大会の衆生に説いた教えです。
その教えとは 釈迦牟尼仏が説く 妙法蓮華・教菩薩法・仏所護念の三つです。
妙法蓮華みょうほうれんげ とは 法華経の教えのこと。
教菩薩法きょうぼさつほう とは 菩薩道の教えのこと。
仏所護念ぶっしょごねん とは 法が正しく広まることを、仏が常に護り念じていること。
普見大会の最中に、虚空こくう からの諸天善神の教えの声(空中唱声)を聞いた衆生等は
娑婆世界で釈迦牟尼仏が説く 妙法蓮華・教菩薩法・仏所護念の三つの教えこそが、
この娑婆世界のあらゆる生命を生かす真実無二しんじつむに の教えであると、心の奥深く悟りました」。
(8)へつづく 未来人一 咸皆帰命 未来行一