如来神力品 (9) 未来理一 みらいりいつ
  世尊
 「次の
経文を 説きましょう。
 
 仏の御心に叶えば 瞬時にして 十方世界 通達無礙つうだつむげ にして 一仏土いちぶつど の如し……とあります。
 
この意味
  この経文は
未来理一の教えを説いています。
  釈迦牟尼仏に帰命
きみょう 仏の御心みこころ に叶う生活を送る衆生には十方世界の区切りはありません。
  十方世界とは
 仏界 菩薩界 声聞界 縁覚界 天上界 人間界 修羅界 畜生界 餓鬼界 地獄界のこと。
  仏の御心みこころ に叶う生活を送る衆生には十方世界の区切りが無い
……つまり
  瞬時にして どこの世界へでも自由自在に行けることができる 通達無礙
つうだつむげ の境地を得るのです。
  仏の御心みこころ に叶う生活を送る衆生の心が
 この宇宙空間と一体化することで
  この衆生の住む娑婆世界が
  通一仏土つういちぶつど ひとつの仏国土と変化するのです。
  即ち
真理はひとつなので未来世においてもすべての生命が真理のレール上に乗った時、
  完全な調和のある世界が出来上がるのです。 これが
未来理一の教えです。
  
世尊このように この如来神力品では
  
如来の神力じんりき 摩訶不思議な瑞相ずいそう を述べ それに関わる仏の教えを説いてまいりました。
  つまるところ
法華経の教えはまさ に衆生を成仏じょうぶつ に導くための至れり尽くせりの教えであります。
  衆生の皆さんは
仏の説く理想の境地ははるかに遠いところにある… と思っているでしょうが、
  仏の教えを実行していくと
少しづつではあるが必ずその境地に近づいていけるのです。
        仏の境界きょうがい を目指し 自覚を持続して修行しなさい ですね世尊‥‥‥ボサツマン オイラもいいこと言うね
  
さて 上行菩薩じょうぎょうぼさつ 及び菩薩摩訶薩 大衆の皆さん
 
 私は 皆さんに 如来の神力じんりき としての
  出広長舌
すいこうちょうぜつ 毛孔放光もうくほうこう 1時謦欬きょうがい 倶共弾指くぐたんじ 空中唱声くうちゅうしょうしょう 咸皆帰命かんかいきみょう
  などをお見せしました。 仏は皆
このように無限な神力じんりき を具えています。
  仏
如来の神力は衆生の考えなどとうてい及ぶことなどできないほど 大きな力なのです。
  仏
如来の神力は 衆生の言葉で言い尽くすこともできないほど 大きな力なのです。
 もし私が皆さん方にこの法華経を未来世においても 広めてくれるよう懇願こんがん して、
 法華経を広めた衆生に与わる、仏の功徳を示すために、この無限の如来の神力を用いたとしても、
 如来の神力は無限無量なので
 そのすべてを顕わすことはできません。
 また
 法華経の功徳も無限無量なのです。
 若し
如来のもつ大神力をもって
 無量無辺百千万阿僧祇劫むりょうむへんあそうぎこう もの長い間
 法華経の功徳を説きつづけたとしても
説き尽くすことはできないほど無限無量なのです。
 如来のもつ神力とは
それほどまでに無限大であり広大無辺なものなのです。
 それと同時に
法華経の教えの深さも偉大さも無限大であり広大無辺なものなのです。
 未来世に
法華経の教えを広めることは非常に厳きび しいことでしょうが、
 法華経の教えを
広宣流布こうせんるふ する善行ぜんこう  至極しごく 徳高く尊い行為なのです。
 どうか皆さん
しっかりとやってください頼みましたよ。
 
 
次の経文を 説きましょう。
  
如来の一切の所有の法 如来の一切の自在の神力 如来の一切の秘要ひよう の藏ぞう 
   如来の一切の甚深
じんじん の事じ   此の経に於いて 宣示顕説せんじけんぜつ ‥‥とあります。
  この意味
 
如来の一切の所有の法とは 法華経には 一切の如来が悟った真理が 全部入っているという意味。
 如来の一切の自在の神力とは 如来の絶対の真理が顕われ衆生を救う時はすべてを救うという意味。
                  如来の衆生済度の神力が満ちている法華経の真理の言葉はすべてを救うのです。
 如来の一切の秘要の藏 法華経には如来の無限の教えがすべて投入されているという意味。
           
       ぞう は非常に多い数。 膨大な経典を大藏経だいぞうきょう という。
 如来の一切の甚深の事とは  じ  事の一念三千じのいちねんさんぜん といわれ実行するという意味。
         
          り を悟ったのちは 必ず実行することで成就されるという意味。
  私世尊理を説いたあと必ず自分の修行体験談とか悟りを開くまでの過程の話しとか
  弟子や衆生をどういう方法で導いたのかなど
実際のことを 話すようにしています
  さらに
 世尊前世で行った修行や菩薩行のことなどを詳しく話し
  衆生にはとうてい推察できない
奥深い心の中のこと甚深の事などを説くのです。
  私世尊はこれまでこの法華経の説法を通して、
  如来の悟った
一切の真理その真理の及ぼす一切衆生済度しゅじょうさいど の作用
  そのはたらきとして現われる
一切の教え過去における衆生救済の事実‥‥など、
  これらのものすべてを
 ハッキリと示し そのすべてを説き明かしてきました。
  そして今
 私はこの品で 法華経のもつ 『完全無欠な最高の価値』 を証明しました。
  大衆の皆さんも
良くご理解されたと思いますがボサツマンはどうですか?」。
                ハイ OKです ……ボサツマン  オイオイ OKて答えて 大丈夫か?‥‥‥心の声!
 普見大会ふげんだいえ の衆生たちは皆本当にもったいないありがたいお言葉ですと心に思いました。
 そして
菩薩衆衆生は皆この法華経を未来においても広める 決定けつじょう を誓い合いました。
    
(10)へつづく    経巻所住 きょうがんしょじゅう