妙音菩薩品 (2)
 浄華宿王智如来
 『妙音菩薩よ
 娑婆世界の釈迦牟尼仏や菩薩弟子衆生の身体は極端に小さいのです。
  また
 浄華宿王智如来あなた妙音菩薩と違い光輝
こうき も発しておりません。
  なぜなのかという疑問を持つでしょう
どれくらい違うかは想像もできないでしょう。
  我が国土は 広い宇宙の虚空こくう のそのずっと上空に位置しています。
  そして
 我が
国土の仏や菩薩は
その身は金色に輝き背も何百キロメートルと高くて大きいのです。

  つまり
 娑婆世界の人間からすると我が国土は理想の世界なのです。
  妙音菩薩よ
 私たちは理想の世界の住人であるのです。忘れてはなりません。
 つまり 理想の世界の反対の現実の世界 娑婆世界なのです。
  その現実世界の娑婆世界は
理想世界に比べてはるかに小さくて低く醜い汚い姿を呈しています。
  しかし
その現実世界小さくて低い姿の衆生たちは誰一人として光輝を発してはいないが
  高い人格を完成している人の尊さは
虚空の理想世界の衆生たちと同等に優れたものなのです。
 またその娑婆世界では邪悪に満ちた「摩/魔事/魔民」の妨害が
次から次と生じているのです。
  その現実の状況の中で
仏の境地を目指して菩薩の修行をすることは大変に厳しいことなのです。
  娑婆世界での修行は
この広い宇宙世界で最も尊い修行であることを 決して忘れてはなりません』。

 浄華宿王智如来の話を理解した
妙音菩薩は自らの力で禅定ぜんじょう に突入し念を集中させました。
  すると
その妙音菩薩念力の波動は娑婆世界にまで及び 霊鷲山りょうじゅせん の法座の周囲に
   
八万四千もの美しい蓮はす の花が忽然 こつぜん として出現いたしました。
  金の茎
 銀の葉 金剛石の蘂しべ など ルビー色の赤い花びらの美しい蓮華れんげ 無数出現しました。
 このとき
 娑婆世界では
 
文殊師利
もんじゅしり 
  「世尊
こんなに数多くの美しい蓮の花
 どこからなぜ咲きほこってきたのでしょうか」。
 
世尊
  「
これは
浄華宿王智如来の仏国土から如音菩薩がこの娑婆世界に来られる前ぶれでしょう」。
 
文殊師利
  「世尊
 その妙音菩薩というお方はどんな修行をなさってこのような大神通力を得たのでしょうか?。
   私たち菩薩衆も
 その修行を修得しゅうとく して衆生を救う素晴らしい大神通力を得たいと思います。
   その妙音菩薩というお方に
是非お会いしたいと思います。なにとぞお願いいたします」。
 
世尊
  「文殊師利よ
その願いはきっと多宝如来
 たほうにょらい 叶えてくれるでしょう。
   自分では教えを説かない多宝如来ですが
 彼は常に真理を証明する役目の如来なのですから」。
 すると多宝如来は 法座に端坐たんざ されたまま 誘いの念波を発しました。
 
妙音菩薩どうぞこちらにお越しください文殊菩薩が会いたがっております」
 
すると 多宝如来の念波を受けた 妙音菩薩は理想の国を出発し
 八万四千の菩薩と共に
妙なる音楽や美しい香りを奏でまもなく娑婆世界に到着されました。
 妙音菩薩の
そのお顔やお姿は例えようもないほど美しく その徳の高さにより光り輝いておりました。
 妙音菩薩は
霊鷲山に到着するとまづ釈迦牟尼世尊に合掌しみ足に額をすりつけ礼拝を行いました。

 そして
貴重な瓔珞ようらく を捧げてご挨拶の言葉を申しあげました。
 『高貴な
釈迦牟尼世尊  眼直まじかにお会いできたことをたいへんうれ しゅう存じます。
  私は
 我が国土の王
浄華宿王智如来よりの使いで参りました 妙音菩薩
みょうおんぼさつ と申します。
  私がこの娑婆世界へ参りました目的は 世尊にお会いするためでございます。
  世尊
お身体はお元気でございましょうか人々をお導きになるのにご苦労はございませんでしょうか。
  この娑婆世界には
悪い心の者や悪い行いの者はおりませんでしょうか。 
  又
 是非 この機会に 多宝如来さまにお会いしたく存じますよろしくお願いいたします』。
 即座に 釈迦牟尼世尊
 「多宝如来よ
 どうぞ妙音菩薩に会ってあげてください」と、お声をあげました。
 すると
 多宝如来
 「妙音菩薩よ
あなたは釈迦牟尼仏を供養し法華経の教えを聞き学び仏弟子たちと会うために、
  宇宙の遙か遠い理想世界から
この娑婆世界に来られました。たいへん立派なことです。
  私からも
感謝の気持ちとお礼の言葉を申しあげます」と妙音菩薩にお褒めの言葉をかけました。

     (3)へつづく