妙荘厳王本事品 (3)
二人の王子は大神力だいじんりき を発揮し 国王である父の妙荘厳王に正しい信仰を目覚めさせました。
国王は夫人と二人の王子と共に 群臣眷属ぐんしんけんぞく や多数の家来・女官などや 国中の多くの大衆
四万二千人もの多くの民衆を引き連れて 雲雷音宿王華智仏うんらいおんしゅくおうけちぶつ の許へ 参りました。
仏の許へ到着した王と夫人は 仏に感謝の言葉を丁寧に捧げて、挨拶を行った後
自分たちの首にかけていた高価な真珠の首飾りをバラバラに解いて
その真珠の珠たま すべてを 雲雷音宿王華智仏の御頭上高く 撒ま き散じました。
すると その珠は またたくまに 四本柱をもつ宝玉ほうぎょく の美しい台となり 虚空こくう に留まりました。
宝玉で飾られた台の床の上には 煌びやかな天の衣が 一面にビッシリと敷かれております。
やがて 雲雷音宿王華智仏は ゆっくりと天の衣の上に お座りに成られました。
仏の周囲は 満々たる大光明だいこうみょう の光で、たいへん美しく輝いております。
一心に、仏に合掌・礼拝を繰り返している妙荘厳王の心は
ーああ 仏とは なんと 徳の溢あふ れたお相すがた をしておられるのだろう。
とても 言葉では言い表せないほど美しく、ありがたいお方なのだろうー と、純粋な感激で満たされました。
雲雷音宿王華智仏
「皆さん、今・仏の弟子となったこの妙荘厳王が わたしの前で合掌している姿を どうご覧になりますか。
仏の弟子として 合掌している妙荘厳王のこの素直な姿こそ 仏の教えに帰依した尊い姿なのです。
この王は 今後は仏となるべきの道を 一心不乱で修行し突き進んで行くでしょう。
そして 厳しい修行を乗り越えて、仏に成るという目的を この王は必ず達成するでしょう。
私は この王にも授記じゅき をしましょう。 「授記とは」
仏の名を 娑羅樹王仏しゃらじゅおうぶつ 国名を大光だいこう 時代を大高王だいこうおう と 名づけます。
この仏の許では、無数の菩薩たちが帰依し、その国は平坦で美しい国土となるでしょう」と、告げました。
雲雷音宿王華智仏から授記を与えられ、法に生きる喜びを得た妙荘厳王は、
もう宮殿に戻り帰る気持ち つまり 娑婆世界の快楽を欲しがる心は すっかり消え失せてしまいました。
そこで 王位を弟に譲って国政から離れて 夫人と二人の王子と大勢の眷属たちと共に さらに
その他大勢の民衆を引き連れて 出家して仏道の修行に励むことを 決意いたしました。
やがて 妙荘厳王は 高く虚空に昇り仏に向かい 二人の善知識ぜんちしき を 申し述べました。
「雲雷音宿王華智仏さま、私を仏道へ導いたのは浄眼菩薩じょうげんぼさつ と浄藏菩薩じょうぞうぼさつ の二人の王子です。
この王子たちが 私の目の前で様々な奇跡を演じて見せ 私を正しい信仰の道へ導いてくれました。
おかげで私は 安穏な心を得て 仏法の中で安住することが できるようになりました。
そして今、授記を授かることができました。 本当にありがたいことでございます。
この二人の王子は 私の「善知識」ぜんちしき (善き友・善き指導者)でございます。
「宿世の因縁」・授記品・/「宿世の因縁」・授学無学人記品・
私も、宿世すくせ から善根ぜんこん を植えていたからこそ その縁で仏さまに会うことができました。
仏さま この二人の王子が 我が家系に生まれてきた理由は 私たちの宿世からの善根を掘り起こし
私に真の幸福を与えるためである と心より思っております。大変、嬉しいことでございます」。
その後 王は八万四千年もの間 法華経の教えを修行して、精進に励んでおりました。
そしてついに 妙荘厳王はー世を救うはたらきをしながら 決して報いを求めぬ美しい心が固まり動かない境地ー
つまり 一切浄功徳荘厳三昧いっさいじょうくどくしょうごんさんまい を、得ることができました。 「三昧神通力」
(4)へつづく この言葉を聞いた雲雷音宿王華智仏は‥‥