妙荘厳王本事品 (4) 
  雲雷音宿王華智仏
 「
妙荘厳王よ 善根ぜんこん を植えていれば 幾度生まれ変わっても 真の善友ぜんゆう にめぐり会うのです。
  その真の善友が人を仏の道へ導いていく大切な役割りをなすのです。         善知識/良き友
  大王よ
 真の善友に会うことはまことに尊い因縁なのです。
  その尊い因縁の力が
仏を見奉り仏の智慧を会得したいという発心を衆生に起こさせるのです。
  
大王よ
この真の善友である二人の王子たちは過去世において
  数多くの仏に仕え
法華経の教えを学び菩薩道を深く行じて修行をつづけて、
  間違った教えを信仰していた数多くの衆生たちを憐れむ心をもって
正しい教えに導いた人なのです」。

  妙荘厳王 虚空から降りてきて合掌し 誓いを申しのべた。
 「仏さまのお徳は
今まで聞いたこともなく見たこともない譬えようもない偉大なものでございます。
  仏の教えには
人間が考え及ぶことのできないほど大きな救いの力が具わっております。
  私は
その教えや戒めを実行することに少しの迷いも少しの苦痛もございません。
  私は心安らかに
 楽しく 実行していく自信がございます。
  仏よ
今日から私は自分の迷いの心に引きずられることや煩悩に取り乱すことは絶対にありません。
  顚倒
てんどう した考えおご の心自惚うぬぼ の心怒り恨みの念などの諸々の悪心は起こしません。
  私は今
これらを仏前にてお誓いいたします」。

 世尊 一同に向かい
 「
今明らかにします。 この妙荘厳王
みょうそうごんおう こそ実は現在の華徳菩薩けとくぼさつ です。
  そして
私の前にいて身から光明を放ち周囲を明るく照らしている 
荘厳菩薩そうごんぼさつ の前世が
  国王の妻
 浄徳夫人じょうとくふじん なのです。
  そして
過去世の二人の王子とは 現在の薬王菩薩やくおうぼさつ  
薬上菩薩
やくじょうぼさつ なのです。
  この四人の菩薩たち
過去世にてこんな大功徳
だいくどく  成し遂げておりました。
  彼らは
 無数の仏の許もと で修行を重ねその徳の力で世の人々を救いさらに徳を積み重ねた結果、
  考え及ぶことのできないほどの
善行の功徳を得たのです。
  この菩薩の名を聞いた衆生は
彼らの尊い善行
ぜんこう に対し心から礼拝しなければなりません。
  これは
 勿論 末世の衆生たちもです」。

 世尊がこのように説くと多くの衆生たちは皆 
煩悩ぼんのう  一切遠離おんり」することができて、
 すべての生命は
 
 平等であるという自他不二じたふに の心に変わりました。
 つまり
 すべての生命と自分の生命が直かに触れ会う感覚の世界に突入し 
透徹とうてつ した心を得ました。

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