普賢菩薩 つづいて 「六波羅密」
「法華経の教えを 深く思い静かに坐り深く念じる衆生の前に、白像びゃくぞう に乗って私は現われましょう。
その衆生が若し、法華経の一句や一偈を忘れているようならば、私はすすんで教えましょう。
そして、共に読誦どくじゅ し、衆生がその経文に精通せいつう できるように、法の真意を説きましょう。
法華経に思いを馳せ静かに坐り 禅定波羅密ぜんじょうはらみつ を行じ懸命に修行に励む衆生の前には
必ず、六牙の白像に乗った私が現われ励ましましょう。
法華経の教えを受持し、読誦する衆生は、私(普賢菩薩)を思い出してください。
すると、即、私を思い出した衆生の前に出現し、法華経の教えと実行の道を説きましょう。
その衆生は大いなる歓喜の心を起こし、なおいっそう精進に励むことでありましょう。
歓喜の心を起こした衆生はその後、三昧さんまい の境地を得て、常に心に乱れがなくなるでしょう。
その衆生は、まもなく、あらゆる善を勧め・あらゆる悪を止める力/陀羅尼だらに を得るでしょう。
陀羅尼の力を得た衆生は、周囲の人々へ良い感化を及ぼし、次々と 多くの人を善行に導くのです。
ここまで来た衆生は、旋陀羅尼せんだらに と 百千万億陀羅尼ひゃくせんまんおくだらに を、得たといえるのです。
その衆生は、まもなく、さらに 法音方便陀羅尼 ほうおんほうべんだらに も、得ることでございましょう。
法音方便陀羅尼とはー真理の法を自由自在な方便を用いて説く力ーをいいます。 「旋陀羅尼」
末世まつせ の濁悪じょあく の世において、この法華経の教えを心から求める衆生は
まづ、この教えを受持し・読誦し・書写し・修行しなければなりません。
又、さらに深く仏の道を目指す衆生は、三十七日間の精進行しょうじんぎょう を、必ず務めなければなりません。
三十七日間の精進行を終えた日に 私(普賢菩薩)は必ず 六牙の白像 ろくげのびゃくぞう の背に乗って、
多くの菩薩衆を引き連れ、一切衆生が喜ぶ相(姿)となって、その衆生の前に身を現わすのです。
三十七日間の精進行しょうじんぎょう の完遂は、法への信と行が、習慣として身についた証あかし となるのです。
その時私は、その衆生に法を説いて、その衆生の信と行を1段と上に 引き上げてあげましょう。
この精進行を完遂した衆生は、尊い法悦感ほうえつかん に浸り、美しく清められた心を自覚するでしょう。
このように、衆生にとって、良い精神と善行の習慣をつけることが、とっても大切なのです。
つづいて私はその人に、魔物や女人から惑わされないように、陀羅尼だらに を説きましょう。
その陀羅尼を授かった衆生は、人間以外の魔物に修行の邪魔をされるとか、または、
異性の色による煩悩などによる修行の乱れは、絶対に起こり得ないのです。
末世の衆生は、私(普賢菩薩)を常に心にうかべ、修行に励み仏の道を進むことができるのです」。
つづく