普賢菩薩 陀羅尼を説く
「世尊、私は今、修行者を守護する陀羅尼だらに を説きましょう。
無我むが よ 除我じょが よ 方便よ 仁じん よ 和よ 柔難にゅうなん なる心よ 下がる心よ 仏知見ぶつちけん よ
諸仏の衆生への回向えこう よ 総持そうじ の感化よ 自行の布教よ 諸々の展転てんでん よ 大衆の集合よ
悪趣あくしゅ の消滅よ 無数むしゅ よ 教団を知りつくせる者よ 三世に変わらぬ教よ 一切の自我の超越よ
一切の真理を学び尽くす者よ 衆生の声を聞き分けるものよ 真理の喜びよ
大乗の教えを実行し世に広める菩薩が、この陀羅尼の精神を自覚することができたならば、
また、法華経の教えを世界中に広めようと、心が決定けつじょう している人が、おるならば、
その時こそ、普賢の神力に守られている故であると、知るべきなのです。
また、この教えを 受持し・読誦し・深く考え・意味を奥深く会得し・教えの通り修行する 衆生等が、おるならば、
その衆生等は、普賢と同等の行ぎょう を行っている衆生であると 考えてよろしいです。
その衆生等は、きっと前世から無数の諸仏に仕えて、諸々の善行ぜんこう を積んだ衆生等たち なのです。
このような衆生等たち には、如来は大きな手を伸ばし、頭を撫でることに違いありません。
たとえば、法華経を書写するだけの衆生でも、その人の来世らいせ は多くの天女てんにょ に迎えられ
「天上界」の忉利天とうりてん に生まれ、娯楽快楽ごらくけらく の暮らしを送ることができましょう。
ましてや、この経を受持し・読誦し・その真意を会得した人衆生は、千の仏の御手に導かれることでしょう。
千の仏の御手に導かれた衆生は、この世に恐れるものは何も無く、悪道あくどう に堕ちることはありません。
故に、来世においてはー兜率天とそつてんーに住む 弥勒菩薩みろくぼさつ の許で法を学び
弥勒菩薩のような慈悲の心を具えて、日々、菩薩行 ぼさつぎょう に励むことでしょう。
法華経の教えを信じ、世に広める人には、こんなにも大きな功徳くどく と利益りやく が与わるのです。
人生の意義を真に分かった智者ちしゃ は、この法華経の教えを受持し・読誦し・正しく思索しさく し、
廻りの人に解説げせつ し、自ら一心に写書し・人にも写書をすすめ、教えの通り修行していくでしょう。
私(普賢菩薩)は、神通力をもってこの法華経の教えを、未来永劫守護することを世尊に約束いたします。
世尊(仏)の滅後においても、世界中にこの教えを広め、絶えることがないようにすることを約束します」。
つづく