世尊 つづける
 「普賢よ
 もし如来の滅後の 五百歳の世法華経の教えを受持し読誦する衆生を見たならば、
  その衆生は長い時間を経過せずに
仏陀伽耶ぶつだがや 菩提樹の下に坐り、
  厳しい菩薩行の修行を完成させ
諸々の魔の大軍に打ち勝ち真理の仏の智慧を悟ることでしょう。
 そしてその衆生は道場を卒業したのちは猛烈な勢いをもって教えを世に説きひろめることでしょう。
  その法を説く進軍のありさまは
車の輪が永遠に回りつづけ止まることを知らないがごとく、
  あるいは
打ち鳴らす太鼓の音が野に山に里にと鳴り響き渡るがごとく、
  あるいは
大雲から降る雨が地上に深く浸みわたり草木の地下の根を潤すが如くの 勢いでありましょう。
  そうして
その衆生は多くの人々の尊敬の念を受けて
  天上界
人間界の諸々の大衆の中の師子しし の座にどっしりと坐ることでありましょう。
 つまり法華経の教えを受持し読誦する衆生は仏に成れることを 保証された衆生です。
  その衆生は
資生ししょう の物つまり日常生活に必要な物資に不足なく生活することでしょう。
  不足ない心で生活するその衆生は
日常生活に必要な物資に貪欲や執着をもつことは、ありません。
  貪欲
とんよく や執着しゅうちゃく の無い衆生は利己心りこしん も一切無い衆生なのです。
  その衆生は ー所願しょがん むな しからじの衆生とよばれるように
  
一切の人が皆幸福になって欲しい願いをもっているので現世に於いて福報ふくほう を得るのです。
  そして
 その人の願い事は すべて 必ず 叶えられることでしょう。
  一切衆生の真の
幸福を願う心は、利己心を捨てた利己欲から離れた大慈悲の心です。
  大慈悲の心の衆生の生活は
喜びと安らぎと希望に満ちたものになることは間違いないことなのです。
 法華経の教えを信じ説き広める人を見てもしある人が心に少しでも、
  あいつは気が狂っているのではないか
そんなムダなことをしてもプラスは何も無い‥‥などと
  軽蔑したり
悪口や陰口を言う者があればその人は何度生まれ変わっても盲目の身に生まれるでしょう。
  盲目の身に生まれる衆生は
その衆生の前世の罪がたいへんに大きくて深いのです。
  つまり
車の輪はいつまでも回るように法の輪はどこまでも回り広がる意思をもっているのです。
  そのどこまでも回り行く法の意志を途中で止めたことは
 たいへん深く大きな罪なのです。
 例えばここに仏の五戒の教えに背き泥棒や詐欺の悪行をはたらく一人の悪人がいたとします。
  
その悪人が罪の報いを受けるのを見て世間の人たちは悪いことをしてはダメダと自戒いたします。
  そうすると
その悪の及ぶところは徐々にですが比較的狭くなっていきます。
  真理の教えが広まると幸福な人間が多くなるので悪の心を改善する人も増えていくのです。

   しかし仏の教えを妨害する言動は社会の法律では罪の対象外ですがその影響は実に甚大です。
  社会や人間そのものを浄化する
真理の教え バッサリと断ち切る言動は、
  つまり
法種・ほうしゅ・を断つ行為目にはみえないが人としての罪は量りしれなく大きいのです。
  
謗法の罪 ほうぼうのつみ の大きさはこういう意味なのです。                     :「14謗法
  世尊の説法の最後の言葉!法華経最後の部分
  衆生の皆さん
法華経の説法の最後に次の言葉を送ります。
  
是の故に普賢若し是の経典受持せん者を見ては当に起って遠く迎うべきこと仏を敬うが如くすべし
  意味: 法華経の教えには、如来の全身がまします。 だから、この教えを信じ、実行する者は、仏と同様に尊いのである
 法華経の説法はこれですべて終了いたしました‥‥‥‥‥合掌
                    
最後まで、ご愛読いただき、誠にありがとうございました‥‥‥‥‥‥ボサツマン、
 世尊の最後の説法を聞いた無数の菩薩たちは普賢菩薩と同じ実行力の自信を得て
  百千万億の衆生を展転
てんでん に感化しようと発奮しいっそう菩薩行に邁進する大決心を固めました。
 法華経を説き終えた世尊は身じろぎもせずに世尊の顔を仰ぎ見ている無数の弟子たちに歩み寄り
  一人一人の頭を
丁寧に撫でて微笑み励まし慈愛深い眼まなこ で見渡しになられました。
  そして
名残惜しそうな心を振りきり静かに去って行かれました。
  衆生は皆
言葉も声にならずただ世尊の後ろ姿を見つめ涙でオイオイと泣くだけでした。

  普賢菩薩をはじめとする菩薩一同
舎利弗しゃりほつ をはじめとする声聞しょうもん 一同ほかには、
  天上界
人間界非人間界のあらゆる生命のものたちはありがたい思いで胸はいっぱいに膨らみ、
  仏
世尊の一つ一つのお言葉を胸にかみしめすでにこの場を去られた世尊を伏し拝みつつ、
  この説法の場から
ポツリポツリと言葉少なく足取りも重そうに去って行きました。

  法華経の説法会せっぽうえ は閉幕となりました。世尊に心から合掌しましょう‥‥‥合掌      法華経
  観普賢菩薩行法経」へ