ー教えの力を学び身で実践して他の人を幸福にして共に自分も救われるー という大乗の教えの根本を、
しっかりと理解できた舎利弗は、授記じゅき を授かりました。
大衆は、舎利弗の授記を目の当りに見て大歓喜して、心から仏を供養し合掌しております。
天人は、白蓮びゃくれん の花を降らせ、美しい衣をヒラヒラとなびかせ踊り、仏の供養を声高く叫びました。
ー仏の教えを修行する目的の最終は、極楽に行くことでは無く、仏ほとけ に成ることである。
天上界の我々も 仏に成れることを信じています。 天地の万物は、宇宙の真理の法によって生かされております。
仏の弟子である宇宙のすべての万物・生命は、仏の教え(真理)に、心から讃歎し帰依しますー
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世尊
「天人とは、極楽世界の住人で、苦労や心配は無く、毎日が喜びに満ちた生活をしています。
もう彼らは、仏の教え(法)を聞く必要はないと思いがちですが、そうではありません。
ー人間生命の本当の姿とは、常に上に向かって成長する姿なのでありますー これは真理(法)なのです。
故に、天人たちも、常に向上心を持ち、どんどん仏の教えを聞いて学び修行をつづけているのです。
天人は、仏の教えの実践と娑婆世界に善行を施すことを使命と信じ、心から喜び実行しています」。
舎利弗、世尊に申しあげる、
「もう迷いはありません。私は今、成仏の保証(授記)を得ました。そしてハッキリ理解できました。
ー仏の教えは、世の中の変化に執着しない心を持たせて、苦や悩みを滅する力を与えるーと、世尊は説いております。
この法座の修行者の中には、すでに、煩悩ぼんのう を解き離しー小乗の悟りーを得た者も、たくさんおります。
このー小乗の悟りーを得た修行者たちを、彼らはもう完全な悟りを得たと、私は思いこんでいました。
ところが、世尊は今、それは、本当の悟りではないぞ。自分だけの悟りでは、完全な悟りではないのだ。
衆生を救済する菩提心を持ちつづけ、菩提行ぼだいぎょう を、実践してこそ本物の悟りなのだ。
そうしなければ、本当の悟りには達することが出来ないのだ、と説かれました。
その辺のところを、私はもう少し詳しくお説きください。ならば、私の心は、スッキリできます」。
世尊、
「舎利弗しゃりほつ よ、以前にも説きました。 「因縁説・譬説・法説」
諸仏は、諸々の譬えや実例や理論を用い、その衆生・その場に適切な法を段階を経て説いていきます。
衆生はそこに、浅い教えや深い教えがあるように思うのだが、その目的は、ただひとつなのである。
つまり、すべての人々を仏の悟りに導くための真理の法を 説いているのです。
仏は、悟りを得ようと願い・努力する衆生を、完全に救う目的で、教えを説いています。
仏の説法は、形式や内容に違いがあるように見えるが、目標とするのは皆、仏の境地なのです。
次に、衆生の理解がより進むように、三車火宅さんしゃかたく の譬えを説きましょう」。
つづく 三車火宅の譬え話