摩訶波闍波提比丘尼まかはじゃはだいびくに と耶輸陀羅比丘尼やしゅたらびくに の授記を見て、眷属けんぞく の婦人たちは
「世尊、大変に嬉しいことです。私たちも他の国土で、法華経の広宣流布に努力することを、誓います」。
この誓いの言葉の直後、 「旋陀羅尼」せんだらに 「六煩悩/増上慢」
陀羅尼だらに (善により悪を止める力)の力を会得している菩薩衆は、こみ上げる情熱を抑え切れずに
阿惟越致 あゆいおっち (不退転)の心で、法華経を広宣流布こうせんるふ する決意を 誓言せんげん しました。
「世尊、私たちは、如来の滅後において 何時でも・何処でも・機会を見つけ、仏の教えを広める覚悟です。
すべての衆生が、このお経=教えを信じ、そして他人にも説くように、勧めます。
すべての衆生が、法の教えを正しく修行し、正憶念 しょうおくねん ー仏の教えを正しく覚えるーできるよう導きます。
なにとぞ 世尊はご入滅後も 私たちを守り 力をお与えくださいますよう、お願いいたします。
私たちは、世尊の入滅後の 五濁ごじょく の悪世あくせ の未来世みらいせ にても、この教えを説き広めます。
多くの無知な人々が悪口を言ったり、迫害を加えてきても、私たちはじっと耐え忍ぶことができます。
特に、その末世まつせ では、出家者でさえも智慧が悪い方へはたらき へつらい心が強くなったり
悟ってもいないのに 悟ったと思いこんだりする自惚心 うぬぼれこころ の衆生も多くいるでしょう。
また、俗世から離れた阿練若 あれんにゃ ー静かな場所ーに住み、粗末な納衣 のうえ を身に纏まと い涼しい顔し
自分は真実の道を行じている、と自己満足の心で、大衆を見下した態度の勘違い者も多くいるでしょう。
そんな悪世だから、法華経の教えを広める必要があります。その役目を私たちが行います」と。
この菩薩たちの熱い誓言を聞いた世尊は
「善哉・善哉ぜんざいぜんざい。 今私は、菩薩衆に、三類の強敵 さんるいのごうてき を説きましょう。
1 俗衆増上慢 ぞくしゅぞうじょうまん 法華経を良く知らないのに 無責任に悪口を言ったり 迫害を加えたりする衆生。
2 道門増上慢 どうもんぞうじょうまん 法華経をののしったり その教えが広まるのを邪魔する 宗教家。
3 僣聖増上慢 せいしょうぞうじょうまん 聖人ぶってはいるが 内心は名利みょうり の念でいっぱいの 宗教家」。
菩薩衆 「世尊、ありがとうございます。 話しをつづけます」。
つづく 菩薩たちの話しはつづく