菩薩衆 つづけて 不退転の気持ちを説く 「阿羅漢」あらかん
「三類の強敵・僣聖増上慢 せいしょうぞうじょうまん の人間は、悟り顔ですましていますが、
内心は物欲や権勢欲や名誉欲に、心が引っ掛かっているので、白衣びゃくい (金持ち)だけに法を説き、
金満家だけに尊敬される、神通力を受持した阿羅漢 あらかん の如くの態度を よそおいふるまうでしょう。
そして、この偽者の阿羅漢たちは、法華経の説法者に、なにかと アラ探しをして攻撃することでしょう。
さらに、法華経の説法者は、外道げどう の教えを説く、世の人々を惑わす輩やから であると、決めつけて
物欲や権勢欲や名誉欲だけを求める、我欲者 がよくもの というレッテルを張りつけ
あることないことを よりいっそう誇張こちょう して宣伝に、精力を使うでしょう。
そして、何かにつけ、法華経の説法者を、大勢の人々の前で誹・ののし り・激しく罵倒ばとう するでしょう。
さらには、国王・大臣・権力者・有力者・バラモンの出家者・なども加え、さかんに非難してくるでしょう。
しかし、そんな三類の強敵 さんるいのごうてき が、どんな迫害を加えてきても、私たちは決して退転しません。
法華経の教えを説き広める決意は 決して崩れることは ありません。
私たち・菩薩衆は、世尊と・世尊が説くこの最高の教えである法華経を 心から敬っております。
だから、この法華経を護り広めるためには どんな迫害も耐え忍びことができるのです。
たとえば、お前たちは皆 仏 ほとけ なんだよな・偉いんだよなと、嘲あざけ りの言葉を吐きかれられても
どんな、ひやかしの言葉を浴びせられても、怒ることはなく、じっと忍耐いたします。
又、末法の世には いろいろと恐ろしいこともあるでしょう。
悪鬼あっき が人の心の中に忍び込み 法華経の伝道者を罵ののしっ たり、辱いじ めてくるでしょう。
しかし、忍辱にんにく の鎧兜よろいかぶと を纏まと った、私たち・菩薩衆は無抵抗を貫きながらも、
仏の法を信じ敬うがゆえに、毅然きぜん たる態度を崩さず 法を必ず護っていきます。
法のためには 命さえ惜しいとは思いません。
惜しむことはただひとつです。法華経の無上の教えに触れない人が 1人でも残ることなのです。
末世の不徳な出家者たちは、
世尊が今まで、説法する相手の機根の違いにより、変化をつけて法華経(真理の法)を説いてきた
その奥底の真実までは、くみとることはできないでしょう。
また、そういう不徳な出家者たちからは、悪口や排斥の言葉を言われたりするばかりか
教えを広める塔寺とうじ さえからも、追い払われるようなことさえ 起こり得るかも知れません。
どんな困難からも・さまざまな困難からも、すべて耐え忍び、法華経の教えを守りぬく自信があります。
世尊 どうぞご安心ください 私たち菩薩衆は 全力を尽くして法を説いていきます。
法を求める者が一人でもあれば、小さい村であるとか、大きな町であるとかは、関係ありません。
又、その地にどんな強敵ごうてき が待っていようとも その地へ出かけ 真実のこの法を説きます。
「菩薩は仏の代理人」ですから、どんな大勢の人々の中へ出ていっても 恐れはありません。
今、世尊の御前みまえ にて そして十方の諸仏の御前みまえ において ハッキリとお誓いいたします。
ですから、世尊、どうぞ私たちに 末世にて真実の教えー法華経ーを説くことを お許しください」。
世尊
「菩薩衆の固い決心は良く理解しました。 未来世にて法華経を説くことを許しましょう」。
「安楽行品第14」へ 法華経を説き広める基本的な心構え