従地涌出品第15 じゅうぢゆじゅつぼん
この従地涌出品第15から、本門の教えになります。 この品の前半は、本門の教えの序分じょぶん です。
後半からつづき,如来寿量品・分別功徳品の前半までが、正宗分しょうしゅうぶん です。
そのあと以降が、本門 ほんもん の教えー宇宙の本仏の教えーになっています。
‥‥‥‥‥‥あらまし‥‥‥‥‥‥
他の国土から娑婆世界へ来た菩薩たちは、ー私たちも娑婆世界の衆生を教化しますーと、協力を申し出たが、
世尊は、キッパリと断り、娑婆世界の衆生の教化は ー地涌ーぢゆ の菩薩たちに任せました。
世尊
「地涌の菩薩 ぢゆのぼさつ (地中から湧き出してきた菩薩)とは、
苦しみや悩み多い世俗の生活を営むまま、自ら修行を積み重ね、菩薩の境地を得た人々のことです。
現実の苦や悩みを自ら体験をするなかで、深い修行を自ら積んで、あらゆる苦・悩みを克服した人こそ、
本当の意味で、人を強化できる力を具えているので、人を救えるのです。
つまり、人間の現実の生活を充分に熟知しているからこそ、他の人間を教化できるのです。
私(世尊)が、この苦渋の娑婆世界の教化を地涌の菩薩たちに任せたのには、こういう意味なのです。
つまり、娑婆世界は、その住人である人間自身の努力によってー清浄に平和にーするべきなのです。
ひとりひとりの自分自身の手で 幸福な生活を築きあげることを、諸仏は皆、望んでいるのです。
苦渋の娑婆世界で日々暮らす衆生が、この娑婆世界をー浄土じょうど ーにすることは 可能なことです。
自分たちの生活の幸福は、自分たちの努力と責任において、創りあげるものなのです。
私(世尊)自身もそうでした。 現実の生活体験の中にいながら、苦しい修行の過程を経て、ついに、
私自身の努力でー涅槃の境地ー ねはんのきょうち を 得たのです。
私は今まで、仏の教えとは宇宙の真理であると、何回も説いてきました。
皆さんと同じこの娑婆世界に 人間として生まれた私・世尊・が、人生の様々な苦や悩みを経験しながら、
発心ほっしん して難行苦行なんぎょうくぎょう を積んだ結果、宇宙の真理を悟りました。
私(世尊)は ー現実の体験のなかで掴んだ宇宙の真理ー の教えを説いているのです。
私(世尊)自身の現実の体験だから、悟りまでの経過や筋道などを 明確に説くことができるのです。
ですから私は、大衆たちが 現実の生活を送りながら 仏の教えに従って修行していくならば、
必ず、私と同じく ー最高の悟りに達することができるー という確信をもっているのです。
私が悟った仏の教えは、現実の生活を営む衆生が 真似て学ぶことができる教えなのです」。
つづく