……… 安楽行品第14の説法が終わると ………
他の国土から来ていた無数の菩薩たちは 起ちあがり世尊に 合掌・礼拝・して申し上げました。
「世尊、わたしたちも、仏さまの滅後には、この娑婆世界において ますますの修行を積み重ねて
世尊の説く、この ー法華経の教えー を護持し・読誦し・書写し・供養することを 認めてください。
世尊の口から、お許しの言葉を頂けたならば、私たち菩薩衆は必ず、
法華経の教えをこの娑婆世界いっぱいに、広める努力を惜しみなく行う所存でございます。
ぜひ、そうお答えくださいますように、お願いいたします」。
世尊/答える
「善男子たち(他の国土の無数の菩薩)よ、申し出はありがたいが それは、キッパリとお断りします。
その理由は、この娑婆世界には、多くの眷属 けんぞく を従えた菩薩たちが 無数におります。
また、私の滅後の末世において、法華経の教えを説き広める役割の菩薩衆も たくさんおるのです」。
世尊が、他の国土の菩薩たちの申し出を、ハッキリと断ると、世界中の地面が激しく震え動きだして、
四大菩薩・よんだいぼさつ・を筆頭に、無数の菩薩たちが大地から湧き出て、虚空・こくう・に 留まりました。
その菩薩たちの全身はー金色こんじきーに輝き、仏ほとけ と、同じような尊い相(姿)をした菩薩衆です。
この菩薩衆は、いったいどこの菩薩衆なのだろうか?と、大衆一同は皆、疑問に思っています。
世尊 つづける 「宿世の因縁」 授学無学人記品
「四大菩薩とは、上行菩薩じょうぎょうぼさつ 無辺行菩薩むへんぎょう 浄行菩薩じょうぎょう 安立行菩薩あんりゅうぎょう です。
この四人の菩薩衆は、過去世から仏の教えを受けていて、迷いをスッカリ離れた境地を得ています。
私(世尊)が、娑婆世界の教化を彼らに任せるのは ー彼らと私との過去世からつづく因縁ー なのです。
この地涌ぢゆ の菩薩衆は、過去世において私と交わした約束を、しっかりと覚えていたのです。
彼らは、自分たちが衆生を教化する時代が、必ず来ると考え娑婆世界の地の下の虚空こくう におりました。
つまり彼らは、過去世からの因縁に依って、再度、この娑婆世界に戻っていたのでした。
この四大菩薩には、衆生の教化という目標を自分たちの使命と考えていたので、
自ら進んで、娑婆世界の苦しみや悩みを経験して、修行を積み重ねてついに、
菩薩の境地に達しておりました。 四大菩薩には、こういう経歴があったのでした。
実は、この菩薩衆は、以前から 娑婆世界の下の虚空 こくう にいたのですが、
私(世尊・釈迦牟尼仏 しゃかむにぶつ )が、今・他の国土の菩薩たちの申し出を断った言葉を聞いて、
急いで、地上に現われ馳せ参じ出てきたのです。
仏の滅後の末法 まっぽう の世において、仏法を護持ごじ する役割りを担っている菩薩衆とは、
地の下の虚空から地を潜りぬけて、地上に現われ出たこれらの無数の菩薩衆たちなのです。
地下の虚空から現われた菩薩たちは、すでに過去世にて、迷いを離れた境界に達していた人たちですが、
この娑婆世界の衆生をー真ーに救うためには、再度、この娑婆世界の苦や迷いを経験して、
修行を重ねてこそ、大衆に教えを説き苦海に浮かぶ衆生を救うことができる、ことを確信していたのです。
そういう理由で彼らは、再度、娑婆世界へ戻り、厳しい修行を積み重ねていたのでした。
つまり、この菩薩衆たちは、自分からすすんで、この世で修行を重ねるという経験があってこそ、はじめて、
娑婆世界の衆生を救うー真の神力ーが身につく、ということを理解して実践していた人々なのです。
また、この地涌ぢゆ の菩薩たちは皆、先頭に立って大衆を導いている人たちですので、
皆、それぞれに 自分が教化を受け持っている大衆の人々をも 引き連れて現われました。
見渡しますと、数多くの信者を引き連れた菩薩もおります、ごく少数の信者を引き連れた菩薩もおります、
又、一人や二人で修行している地涌ぢゆの菩薩も たくさんおります。
地から現われた、この無数の菩薩たちは、七宝塔 しっぽうとう の中で、端座しておられる二仏の
多宝如来 たほうにょらい と・釈迦牟尼如来 しゃかむににょらい の足元に膝まづいて、ねんごろに礼拝・合掌し
二仏の徳を褒め称える言葉を申しあげた後 じっと 仰ぎ見ておられました。
その菩薩たちは、そのまま、50万年という長い間、ず〜と、二仏を褒め称え・供養をつづけておりました。
その50万年の長い間、釈迦牟尼如来は、黙然もくねん として、瞑想しておりました。
また、大衆一同も、同じく、黙然もくねん として、坐りつづけておりました。
だが、大衆一同には、その50万年という長い間は、まるで半日のように 短く思われたのでした。
その間、大衆の目には その菩薩たちの治める無数の国土が 虚空全体に広がるのが見えていました。
この中には、四大菩薩(上行菩薩・無辺行菩薩・浄行菩薩・安立行菩薩)の大導師 だいどうし がおりました」。
つづく 四人の菩薩の四弘誓願 しぐせいがん