四大菩薩の 四弘誓願・しぐせいがん・は、仏・ほとけ・の根本的な願いです。
  
 安立行菩薩の誓願、 衆生無辺誓願度 しゅじょうむへんせいがんど  衆生の数は無辺でも必ず一切の衆生を救う誓願。
  
 浄行菩薩の誓願、  煩悩無数誓願断 ぼんのうむしゅせいがんだん  煩悩の数は無数でも必ず全ての煩悩を断ち切る誓願。
  
 無辺行菩薩の誓願、 法門無尽誓願学 ほうもんむじんせいがんがく   仏の教えは無尽であろうとも必ず学び尽くす誓願。
  
 上行菩薩の誓願、  仏道無上誓願成 ぶつどうむじょうせいがんじょう  仏の道は無上であっても必ず到達する誓願。
  上行菩薩 じょうぎょうぼさつ  無辺行菩薩
 むへんぎょうぼさつ  浄行菩薩 じょうぎょうぼさつ  安立行菩薩 あんりゅうぎょうぼさつ 
  
四人の大菩薩は前に立ちあがりすすみ釈迦牟尼仏 しゃかむにぶつ に向い合掌礼拝いたしました。
  「世尊
ご無沙汰いたしておりましたご機嫌のほどは いかがでございましょうか?
    只今
衆生の教化という大きな役目を指示頂き大変嬉しく思い一同を代表してお礼申しあげます」
 世尊
 「諸々の
善男子ぜんなんし 四大菩薩筆頭の地涌の菩薩衆よ、私の気持ちはいつも安楽のままです。
  四大菩薩をはじめとした地涌 ぢゆ の菩薩衆よ、よく聞きなさい。
  私は、今後も、この法座の衆生たちに説法も教化もつづけていきます。すこしも苦労には思いません。
  なぜならば、この衆生たちは皆、過去世にて諸仏を供養し敬い、善根を植えてきた人たちだからです。
  彼らは、今この法座で初めて、私の説法を聞いたのですが、過去に
善根の因縁を植えていたので、
  皆、私の教えを信受して、如来の悟りの道を目指して、修行の道に入ることができたのです。
 悟りの境地を目指し修行する衆生の中には小乗の教えを学び自分だけの悟りを願う人々も多いのです。
  しかし、過去に善根を植えた人々は、小乗の教えで満足する人々とは、仏の道を求める根性が違います。
  善根の因縁をもっている法座の大衆たちよ、あなた方が、その小乗の人々に対して、
  この
法華経を説いて、彼らを仏の大乗の悟りへ 導いてあげてください」と、仰いました。
 世尊の大慈悲心だいじひしん
  世尊の肉体は
すでに老齢に達していましたが、衆状教化 しゅじょうきょうか の意欲は依然満々のままです。
  世尊は、肉体が衰退していくにもかかわらず
少しも苦しいとも難しいとも、思っておりません。

  四大菩薩
を説く、
 「世尊、
ありがたいことでございます
  世尊が 変わらぬ広大な心で 衆生を教化してくださいますならば、衆生は皆必ず、救われるでしょう。
  仏の究めて深い智慧の教えを受けたものは、皆、その教えを深く信じるでありましょう。
  今、世尊のこの言葉を聞いて、わたしたち菩薩も、本当に心の底から喜び感激いたしております」。
 世尊喜び褒め称える、
 「
善哉善哉 ぜんざい々  四大菩薩よ、仏に対して”ありがたい”という心を よく起こしてくれました」。
  座の
弥勒菩薩
 みろくぼさつ や多くの菩薩たちは、たった今、四大菩薩を筆頭に地から湧いてきた徳の高い
  無数の地涌の大菩薩衆を見て、口を
アングリ開けたまま、驚きの表情で固まっています。
  彼らにとっては、初めての体験ですので、驚くのも無理はありません。
 弥勒菩薩が代表して、世尊に聞きます、
 「世尊、この無数の大菩薩衆は、昔から今までも、私たちは見たことのない菩薩衆ばかりです。
  この方々は、どこから、どういうわけで、ここへ来られたのですか? なぜ、ここに集まっているのですか?
  見るからに皆、立派な
を具えていて、大きな忍辱
 にんにく を もっておられるようです。
  量り知れない智慧もお持ちでしょう、志も堅く固まっていて、
大神通力をも 具えておられると感じます。
  こんな徳の高い菩薩衆にお会いできて
光栄に思いますが、この大菩薩について詳しく教えてください」。
 
  その時すでに、釈迦牟尼仏
 しゃかむにぶつ の分身の諸仏たちも無数この法座に出現されておりました。
  その分身の諸仏たちも
弥勒菩薩の質問の答えを早く聞きたいと待ち構えておりました。
   つづく 
           釈迦牟尼仏/弥勒菩薩の質問に答える