如来寿量品 (4)
 

 経文: 爾時世尊 知諸菩薩 三請不止 而告之言 汝等諦聴 如来秘密
 神通之力  ★3ここの経文
   爾時そのとき 世尊 諸々の菩薩の三たび請じて 止まざること知ろしめして 之に告げてのたまわ
   
 汝等なんじら あきら かに聴け 如来にょらい 秘密神通ひみつじんつう
 
解釈
  その時 世尊は
心の底から三度も熱望する菩薩たちの気持ちを認め おごそ かに 教えを説き始めた。
  皆
 心を澄ましてしっかりと聞きなさい。
  これから
究めて奥深い如来の本体と 自由自在な”はたらき”について 説き明かしましょう。
  まづ
 如来秘密神通の如来とは
迹仏しゃくぶつ である私自身世尊ではありません。
  久遠実成くおんじつじょう 宇宙の本仏のことです。                           「迹仏/本仏とは
  如来の
にょ 真如しんにょ の意味で 絶対的な真理(宇宙の実在のことです。
   
                                うん?われわれ凡夫には ピンときません …… ボサツマン
 
世尊
 「うむ ボサツマンよ 衆生たちよ 絶対的な真理である
宇宙に存在する実在の真如しんにょ 
   
すべてのものを生かしている………などという説明は あまりにも崇高すうこう 過ぎて また 漠然ばくぜん 過ぎて
   
遙か遠くの感じで 衆生たちには ストンと理解できないでしょう。
  宇宙に存在する実在の真如と聞いたところで
普通の凡夫にはイメージすら つか みにくいことでしょう。
  実は 今は その程度で宜しいのです。 
  ではどうしたら
衆生たちは これを理解できるのか? また 何時いつ 理解できるのか?
  その答えは 今後の私(世尊)の説法を 能く聞いていくと やがて 理解できることになります」。

 
ボサツマン
 
「はい世尊 ありがとうございます。 つづいて オイラの考えを聞いて欲しいのです。
  今 我々凡夫が それを理解できるヒントが
 世尊の説く 「ただ1乗のみ」に あると思います。
  世尊は
 この世に実在するものは宇宙に実在する真如ただひとつである……と教えてくださいました。
  そして
その実在する真如 どんな形でも現われることができる  説いてくださいました。
                               
↓                 仏の十号 十の呼び名
  ならば
実在する絶対力の真如は人間の形にもなること できると考えることができます。
  そして
その真如は限りない過去から現在もつづいていてさらに永遠の未来永劫とつづいていき、
  この娑婆世界に住むわれわれ
(人間)生かしつづけているという解釈ができます。
  いや
解釈できるとかでは無く 事実 無始の過去から成り立ってきたのです。
  実在の真如が 大きな慈悲の心を以って迹仏
しゃくぶつ としての世尊という人間の姿になり
  世尊の言葉が
法華経の経文の説法として表われて 衆生を救ってきたのです。
  これは 紛
まぎれも無い事実なのです。
  つまり
確かな事実は 真如(絶対力)世尊(肉体をもった人間)として この世に顕われたこということです。
 世尊

 「
ボサツマンよ 君は かなり 成長できましたね。 前々から 私は見抜いておりました。  えへ…… ボサツマン
  実在の
真如しんにょ 人間の形を現じて 衆生の前に現われて 真理しんり を説くのです。
  実在の
真理を説くのが身近な人間だから 衆生たちは 安心して聞くことができるのです。
  安心して聞くことができるから やがて 衆生たちは
 (教え) 良く理解していけるのです。
  そして
まもなく 衆生たちは 自分から進んで 仏の道を目指して歩みはじめ その結果 救われるのです。
  このように
真如 人格化した相すがた を現わして この世に出現するのです。
  だから
真如から来たという意味で 真如のことを如来にょらいと呼ぶのです。
  
仏陀ぶつだ という名称は真如を覚った人という意味で (世尊)を人格化した呼び名です。
 それから 如来の秘密神通秘密とは 秘密にする隠すではありません。
  隠すのではなくて
究めて深遠だから 隠れていて
容易に知ることができないという意味です。
 
神通じんつう とは 如来の本体に具わっている 広大無辺な生かす力 のことです。
  その生かす力が
衆生にはたらきかけた時 衆生は自由自在な力を 得ることができます。
  つまり
如来の神通力とは 如来の慈悲の力の結集 のことをいうのです。
  如来本体の生かす力は無限であり
その生かす力は 自由自在のはたらきを します。
  だから
 その力の影響の結果である救いは 完全無欠な絶対力なものです。
  そして如来には 法身仏報身仏応身仏の三身仏があります。
  今
皆さんの前で説法しているこの私は応身仏おうしんぶつ なのです」。
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  仏の三身仏
 さんしんぶつ  法身報身応身
  法身仏
 ほっしんぶつ  真如そのものである仏の本体のこと
  
報身仏 ほうしんぶつ   仏の本体が 衆生に理解できるように表われた相すがた の仏のこと
  
応身仏 おうじんぶつ  人間としてこの世に現われ 衆生に説法し教化する釈尊のこと     つづく