如来寿量品 (18)
 経文:是故如来 雖不実滅 而言滅度 又善男子 諸仏如来 法皆如是 為度衆生……』  ★17ここの経文
 
「この故に 如来にょらい 実に滅せずと雖いえど も 而しか も滅度めつどすと言う。 又 善男子ぜんなんし
  諸仏如来は
ほうみな かく の如し。衆生を度せんが為なれば 実にして むな しからず。

  世尊

 仏は 滅度しない無始無終むしむしゅう の存在だが 滅度することを衆生に言い伝えた後
  仏は この世から姿を消して逝くのです。 このことは
私(世尊)だけのことではありません。
  すべての諸仏も 皆同じく
滅度するのです。
すると
衆生はハット気づき 仏を恋慕渇仰するのです。
  つまり 仏がこの世から姿を消して逝くのは ただただ
衆生を救うためのことであります。
  これはすべて
嘘でもなく むな しいことでもありません。
皆真実なのです」。
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  良医の譬えろういのたとえ
 経文:譬如良医 智慧聰達 明練方薬 善治衆病 飲佗毒薬 薬發悶亂 是時其父 還来帰家 
       或失本心 或不失者 皆大歓喜
‥‥願見救療 更賜寿命』。 
         ★18ここの経文
 「譬えば
良医ろうい  智慧聰達ちえそうだつ にして めい 方薬ほうやく に練し 善く衆病しゅびょう を治す。
  其の人
諸々の子息
しそく 多し 若しは 二十乃至ないし 百数ひゃくしゅ なり。
  事
こと の縁あるを以って 遠く余国に至りぬ。 諸々の子のちに 他の毒薬を飲む。
 
薬発やくはつ 悶乱もんらん し 地に宛転えんでん す。 是の時に 其の父 家に帰り来たりぬ。
  諸々の子
毒を飲んで 或いは 本心を失える者 或いは 失わざる者あり。
  遙かに其の父を見て 皆
大いに歓喜かんぎ 拜跪問訊はいきもんじん く安穏あんのん  に帰りたまう。
  我等
われら 愚癡ぐち にて誤って毒薬どくやく 服せり。 願わくは救療くりょう 更に寿命じゅみょう たま えと」
 
 世尊
 
次に 仏の教えを守っていると 煩悩に苦しむことは無いという話しをしましょう。
  ここでいう毒薬とは 衆生の煩悩のことをいいます。
  ある所に良い医者がいました。その医者の智慧は深く広くすべてに行き渡っていました。
  薬の処方には
 とても詳しく熟練していて
どんな病気でも治す名医と 世の人に知れ渡っていました。
  その医者には
10人 20人 いや百人以上もの たくさんの子供がおりました。
  ある日
父が医療で家を留守にしたその間に 子供たちが 間違って毒薬を飲んでしまったのです。
  医者の父が家にいれば
子供たちの間違いは 起きなかったのでしょうが 父が留守となったので
  
子供たちは 自由気ままに やりたい放題の生活を送っていました。
  そして
遊びに夢中になって 間違って毒の薬を 飲んでしまったのです。
  子供たちの身体中に毒が回り
子供たちは苦しみのあまり のたうちまわる状態です。
  毒はまわり
本心ほんしん を失っている子や また 毒の影響が割りと軽い子など様々です。
  そこへ父が帰ってきました。 子供たちは
父の姿が遠くに見えると 一様に喜びました。
  そして
父の前にひざまついて 懇願こんがん します。
  父上
私たちはマチガッテ毒の薬を飲んでしまいました 早く治療して命を助けてくださいと」。   つづく