如来寿量品 (21)
 経文:是時諸子 聞父背喪 心大憂悩 而作是念 若父在者 慈愍我等 能見救護   ★22ここの経文
  「是の時 諸々の子 背喪はいそう せりと聞いて 心が大いに憂悩うのう して (次)の念を作さく
  
れば 我等を慈愍じみん して能 救護くご せらる。 我等を捨てて 遠く他国に喪そう したまう。
   自ら惟
おもんみ るに 孤露ころ にして また 恃怙じこ なし。
   常に
悲観ひかん を懐いだ きて 心遂つい に醒悟しょうご  すなわ  此の薬の色 きを知って
   乃
すなわ  取って之これ を服するに 毒の病やまい  ゆ。
   其の父
 子悉ことごと く 已すで  いゆ ることを得つと聞いて いで便すなわ ち帰り来て
   悉く
これ に見えしめんが如し‥‥‥
    

  世尊
  「父の死を聞かされた子供たちは 驚きと悲しみの涙が とどめもなく流しています。
  今となっては 子供たちは皆
 遠い他国で亡くなられた 可哀そうな父を憐れみ 偲ぶしかありません。
  
ああ お父さまが今ここに居るならば 必ず自分たちを救ってくださるのにとても寂しい気持ちです。
  父が死んだいまは
自分たちは もう心から頼れる人は居ない孤児こじ になってしまったのだ。
  心細くなった子供たちは
 泣き叫ぶだけでありました。
  父の教えを実行していれば良かった後悔の念
良心の呵責かしゃく でいっぱいになった子供たちは
  
心の底から懺悔反省さんげはんせい をするのでした。
  すると その時です!今まで毒で顚倒てんどう していた心が クルリと180度変わりました。
  懺悔反省
さんげはんせい の心は 心に架かっていた雲 モヤを吹き払い 心のなかは青空晴天になりました。
  そして
父が飲みなさいと置いていった も良い薬があったことを 思いだしたのでした。
  さっそく
子供たちが薬を飲んだところ たちどころに 毒の病はえてしまいました。
  すると
子供たちの病が全快したことを知った父は 他国から子供たちの前に帰って来ました。
  
ワーイ お父さんが生きて帰ってきた 子供たちは たいへん喜んでいます。
  子供たち全員は
これからは 絶対に父の教えを守ろうと 固く心に決めました。
  さて
善男子よ 私が仏の滅度を説いた理由は あなたたちの心のなかに 懺悔反省の後の生じる
  純粋で爽やかな青空晴天を 感じて欲しいからです。

  この経文は
良医とは仏で 子供たちは衆生という設定の 良医の譬えろういのたとえ という教えです。
  仏がこの世におられるあいだは
衆生はその教えの有りがたさが なかなか理解しようとしません。
  しかし
仏がこの世から姿を消すと 心底から仏の教えを求める欲求が 湧き出てくるのです。
  だから
仏は 方便ほうべん として この世から滅度するのです」。
                世尊が滅度しても 久遠実常くおんじつじょう 本仏 未来永劫なのですよね‥‥‥ボサツマン
 世尊
 「ボサツマンよ
その通りです。 目に見える見えないの問題ではなく 衆生の心の問題なのです。
  子供たちの病が全快した時
 元気な姿で帰ってきた父を見て 子供たちは心の底から喜びました。
  これは
衆生が仏の教えを信じ 煩悩を吹き消したので 仏が見えるようになった ということを意味です。
 
煩悩を吹き消すと 今まで見失っていた 心の中に甦ってくるのです。
  このことを 仏性が輝きだしたというのです。 ここまで来たら もう シメタものです」。    
   つづく