地 球 砂 漠 化
◆ 砂漠化とは…
砂漠化地域の大陸別内訳 (1991年国連環境計画による) |
地域名(大陸別) | 砂漠化地域の割合 |
アジア | 36.8% |
アフリカ | 29.4% |
北アメリカ | 12.0% |
オーストラリア | 10.6% |
南アメリカ | 8.6% |
ヨーロッパ | 2.6% |
砂漠化の定義について、砂漠化防止条約は「乾燥、半乾燥及び乾燥半温潤地域における気象変動及び人間活動を含む様々な要因に起因する土地の劣化」とされている。
平成3(1991)年に国連環境計画(UNEP)の報告によると、世界には61億ヘクタール以上の乾燥地が存在し地球の陸地の約40%を占めている。 この地域には世界人口の約5分の1の人びとが生活しており、そのうち約9億ヘクタールがきわめて乾燥している砂漠地帯であるとしている。
また、砂漠化の影響を受けている土地は、地球上の全陸地の25%にあたる36億ヘクタールに上り、耕作可能な乾燥地域の70%を占めている。そこに世界の人口の6分の1にあたる9億人が暮らしている。地域別に見ると被害面積の最も広い大陸はアジアで13億ヘクタール、次いでアフリカの10億ヘクタールであり、両地域だけで全体の3分の2を占める。また、乾燥地面積に占める土壌劣化の割合が最も多い大陸はアフリカで約73%に達している。
◆ 砂漠化をもたらすもの… 砂漠化の原因としては、地球規模での大気循環の変動による乾燥地域の移動などの気象的要因と、乾燥地及び半乾燥地の脆弱な生態系の中で、過耕作、不適切な灌漑による農地の塩分濃度の上昇、土地の再生能力を超えた家畜の放牧、薪炭材や建築資材などの徹底的な樹木伐採等、その許容限度を超えた人間活動の人為的要因の2つがあげられている。 そして、砂漠化を加速させる気候変動の背景には、先進国の豊かな暮らしがある。原因となる地球温暖化が、主に化石燃料の大量消費と森林の伐採によって引き起こされているためである。
◆ 主な砂漠化地域の表情…
- アフリカ大陸
今世紀最悪とされる1984年の大干ばつから2年後、マリを貫くニジェール川中流のファギビヌ湖が見る影もなく干上がった。地図の上では黄色の砂漠地帯にぽっかりと浮かぶ"青い島"として描かれており、貴重な水がめだったのである。
セネガル、マリ、ニジェール、チャド…。昔、広大なサハラ砂漠を渡りきったアラブ商人が、地表が緑に現れるこの一帯を「岸辺(サヘル)」と名づけた。そこが今、砂漠化の荒波に襲われている。四国と同じ面積のあったチャド湖もファギビヌ湖と同様、この四半世紀で10分の1にまで縮小。サハラ砂漠は、毎年5キロメートルづつ南へ広がっているとされている。
人口増加の一方で、荒廃した土地を捨てた人たちが難民となり、内戦が始まり、生活と環境がますます疲弊するという悪循環となる。サヘルは今、慢性的な食料不足が続く「飢餓ベルト地帯」となっている。
- アジア大陸
アジアでは中国の砂漠化が進んでいる。「かって樹木が二酸化炭素を吸収し、太陽エネルギーを用いて変換、空気を供給していた樹木は全て伐採され、植物も家畜が根こそぎ食べ尽くし、そこに土壌の侵食が追い討ちをかける。」その実態はアフリカのそれより深刻らしい。 黄河の中流域に広がる黄土高原でも砂漠化の影響で農作物の生育に大きな影響が出ている。2000年4月、中国の首都・北京の街全体が、過去10年で最大の「黄砂」が襲い黄色に染まった。
◆ 日本では… アフリカ・サヘルの大干ばつをきっかけに1994年、砂漠化対処条約が制定されたが、日本が批准したのはそれから4年後の1998年のことだった。2000年12月現在、締約国の中では最大の770万ドルを拠出するなど財政的貢献をしながらも、国民の関心は依然として低い。
◆ 砂漠化防止の取組みは…
- 国連砂漠化防止会議(UNCOD)
1960~1970年代当初のアフリカ・サヘル地域における大干ばつを背景として、1977年に国連砂漠化防止会議が開催され、次に記載の「砂漠化防止行動計画」が採択されるなど、国連での取組みがスタート。
- 砂漠化防止行動計画(PACD)
各国及び各機関がとるべき行動についての26項目にわたる勧告 国連環境計画(UNEP)に砂漠化防止計画活動センター(OCPAC)を設置
- 砂漠化対処条約(OCPAC)
平成5(1993)年から5回の条約政府間交渉会議(INCD)を経て、平成6(1994)年6月に採択された。同時に「条約発効までの暫定措置に関する決議」、アフリカに対する緊急行動に関する決議」の2つの決議が行われた。 しかし、日本では、平成10(1998)年に同条約の受託について閣議決定され、受託書を国際連合事務総長に寄託し、同年12月に発効した。
〔2000/12/19〕
◆ 地球砂漠化防止関連サイト
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