社会病理 〔自殺者数の推移と社会の変化〕
◆ 自殺者数の推移と社会の変化… kawakiyoグループに、このテーマに対する専門家がいないため、自殺者数の推移とその時代背景を記すに止めます。なお、9月10日は「世界自殺予防デー(WHO)」です。
▼ 自殺者数の推移(死亡率は人口10万人に対する比率)
年次 | 自殺者数(人) | 死亡率(%) | 社会の事象 |
1899(明治32)年 | 5,932 | 13.7 | |
1900(明治33)年 | 5,863 | 13.4 | |
1901(明治34)年 | 7,847 | 17.7 | ・横浜蚕糸銀行の破綻で関東一帯が恐慌状態に ・大阪の七十久銀行と難波銀行が資金不足から支払停止 ・金融恐慌が勃発し西日本に広がる |
1902(明治35)年 | 8,059 | 17.9 | ・日銀が、製鉄所の資金不足のため、政府に200万円を貸付ける ・日本興業銀行設立 |
1903(明治36)年 | 8,814 | 19.4 | |
1904(明治37)年 | 8,966 | 19.4 | ・日露戦争 |
1905(明治38)年 | 8,089 | 17.4 | ・ポーツマス条約調印(アメリカのポーツマスにおいて調印された日露戦争の講和条約) |
1906(明治39)年 | 7,657 | 16.3 | |
1907(明治40)年 | 7,999 | 16.9 | ・東京株式市場が大暴落(日露戦争後恐慌の端緒) |
1908(明治41)年 | 8,324 | 17.4 | |
1909(明治42)年 | 9,141 | 18.8 | |
1910(明治43)年 | 9,372 | 19.1 | |
1911(明治44)年 | 9,373 | 18.8 | |
1912(大正元)年 | 9,475 | 18.7 | |
1913(大正02)年 | 10,367 | 20.2 | |
1914(大正03)年 | 10,902 | 20.9 | ・第1次世界大戦始まる |
1915(大正04)年 | 10,153 | 19.2 | |
1916(大正05)年 | 9.599 | 17.9 | |
1917(大正06)年 | 9,254 | 17.1 | |
1918(大正07)年 | 10,101 | 18.5 | |
1919(大正08)年 | 9,924 | 18.0 | ・日銀が、東京の物価が前年同日比で22%高と発表 ・日銀が、東西組合銀行と投機抑制について懇談 |
1920(大正09)年 | 10,630 | 19.0 | ・株の大暴落で東京株式市場が2日間立ち会いを停止(戦後恐慌のはじまり) ・日本の国際連盟加盟 |
1921(大正10)年 | 11,358 | 20.0 | |
1922(大正11)年 | 11,546 | 20.1 | |
1923(大正12)年 | 11,488 | 19.8 | ・関東大震災発生 |
1924(大正13)年 | 11,261 | 19.1 | |
1925(大正14)年 | 12,249 | 20.5 | |
1926(昭和元)年 | 12,484 | 20.6 | |
1927(昭和02)年 | 12,845 | 20.8 | ・金融恐慌。前日の衆院予算総会で「東京渡辺銀行が破綻」との蔵相片野直温の失言で預金取付がおこり金融不安が募って金融恐慌の端緒となる |
1928(昭和03)年 | 13,032 | 20.8 | |
1929(昭和04)年 | 12,740 | 20.1 | ・ニューヨーク株式市場大暴落、世界恐慌始まる(暗黒の木曜日) ・救護法公布 |
1930(昭和05)年 | 13,942 | 21.6 | ・為替安定のため金輸出解禁 ・米価大暴落、この年世界恐慌日本へ波及、農家の貧困と失業深刻に |
1931(昭和06)年 | 14,353 | 21.9 | |
1932(昭和07)年 | 14,746 | 22.2 | ・ドイツ総選挙でナチスが230議席を獲得し第1党となる。(経済恐慌が深刻化する中) |
1933(昭和08)年 | 14,805 | 22.0 | ・日本の国際連盟脱退の見通しが確定したため、株価が反騰する |
1934(昭和09)年 | 14,554 | 21.3 | ・満州国帝政実施(執政・溥儀が皇帝に即位) ・抗日運動の活発化 |
1935(昭和10)年 | 14,172 | 20.5 | ・閣議が予算案を決定(軍事費は全体の47%) |
1936(昭和11)年 | 15,423 | 22.0 | ・2.26事件(22名の将校が、下士官・兵1,400人を率いて首相・陸相官邸、警視庁などを襲撃、国家改造を要求) |
1937(昭和12)年 | 14,295 | 20.2 | ・日中戦争(~1945年) |
1938(昭和13)年 | 12,223 | 17.2 | ・国家総動員法公布(戦時統制の基本法) |
1939(昭和14)年 | 10,785 | 15.1 | ・第2次世界大戦始まる |
1940(昭和15)年 | 9,877 | 13.7 | ・第12回オリンピック東京大会の中止 |
1941(昭和16)年 | 9,713 | 13.6 | ・真珠湾攻撃(太平洋戦争開始) ・戦時中に自殺者が極端に少ないのは驚きである。 |
1942(昭和17)年 | 9,393 | 13.0 | ・食糧管理法公布(食管制度のはじまり) ・ミッドウェー海戦で日本軍大敗(戦局の転機、敗戦へ向う) |
1943(昭和18)年 | 8,784 | 12.1 | ・明治神宮外苑競技場で出陣学徒壮行大会 |
1944(昭和19)年 | | | ・「神風特別攻撃隊」初出動、レイテ沖で初めて体当たり攻撃 ・戦争末期の混乱により自殺者数統計記録なし |
1945(昭和20)年 | | | ・広島、長崎に原爆投下 ・終戦 ・財閥解体 ・農地改革 |
1946(昭和21)年 | | | ・戦争直後の混乱により自殺者数統計なし ・日本国憲法公布 ・生活保護法施行 |
1947(昭和22)年 | 12,262 | 15.7 | ・第1次ベビーブーム ・労働省設置 |
1948(昭和23)年 | 12,753 | 15.9 | ・第1次ベビーブーム |
1949(昭和24)年 | 14,201 | 17.4 | ・第1次ベビーブーム ・厚生省設置 ・身体障害者福祉法公布 ・連合国軍総司令部(GHQ)が、1ドル=360円の単一為替レート設定 |
1950(昭和25)年 | 16,311 | 19.6 | ・朝鮮戦争勃発(以後、日本は朝鮮戦争特需景気に沸く) ・警察予備隊発足(自衛隊の前進) |
1951(昭和26)年 | 15,415 | 18.2 | ・サンフランシスコ対日講和条約(日本と連合国48か国との間で平和条約成立)。日米安全保障条約の締結。翌年発効 |
1952(昭和27)年 | 15,776 | 18.4 | ・朝鮮戦争に対応のためGHQは、それまでの禁止指令を緩和して兵器製造許可を日本政府に指令する。(朝鮮特需に応需) ・講和条約発効 ・GHQ廃止 ・IFM加盟 ・会社更生法公布 |
1953(昭和28)年 | 17.731 | 20.4 | ・NHK放送開始 ・衆院バカヤロー解散 |
1954(昭和29)年 | 20,635 | 23.4 | ・高度経済成長期突入(1954(昭和29)年12月から1973(昭和48)年11月までの約19年間)さらに細分すると… ・高度経済成長第1期(設備投資主導型)、が1954(昭和29)年12月から1961(昭和36)年12月まで |
1955(昭和30)年 | 22,477 | 25.2 | ・神武景気 ・1円アルミ硬貨発行 ・GATT加盟 |
1956(昭和31)年 | 22,107 | 24.5 | 「もはや戦後ではない」、日ソ国交回復 |
1957(昭和32)年 | 22,136 | 24.3 | ・天照景気 ・なべ底景気 ・国際連合加盟 ・国産ロケット1号打上げ |
1958(昭和33)年 | 23,641 | 25.7 | ・岩戸景気 ・一万円札発行 ・東京タワー開業 |
1959(昭和34)年 | 21,090 | 22.7 | ・国民健康保険法施行(国民皆保険) ・最低賃金法交付 |
1960(昭和35)年 | 20,143 | 21.6 | ・「国民所得倍増計画」(池田勇人内閣)を閣議決定(高度成長を国家の政策として本格的に推進) ・日米安保条約調印 ・知的障害者福祉法公布 ・カラーテレビ放送開始 |
1961(昭和36)年 | 18,446 | 19.6 | ・ベルリンの壁構築 |
1962(昭和37)年 | 16,724 | 17.6 | ・高度経済成長転型期(転換期)、1962(昭和37)年1月から1965(昭和40)年10月まで ・北陸トンネル開通 ・若戸大橋開通 ・キューバ危機 |
1963(昭和38)年 | 15,490 | 16.1 | ・高度成長を支えるための労働力確保を背景に核家族化が進行 ・『核家族化』が流行語に ・老人福祉法公布 ・新千円札発行 |
1964(昭和39)年 | 14,707 | 15.1 | ・東京オリンピック開催 ・東海道新幹線開通 ・OECD加盟 ・結婚形態の転換期(見合結婚から恋愛結婚へ) |
1965(昭和40)年 | 14,444 | 14.7 | ・高度経済成長第二期(輸出・財政主導型)、1965(昭和40)年11月から1973(昭和48)年11月まで ・証券不況 ・山一証券に日銀特融 ・戦後初の赤字国債発行 ・ベトナム戦争勃発 |
1966(昭和41)年 | 15,050 | 15.2 | ・いざなぎ景気 ・中国文化大革命 |
1967(昭和42)年 | 14,121 | 14.2 | ・首都高全線開通 ・EC、ASEAN成立 |
1968(昭和43)年 | 14,601 | 14.5 | ・GDP世界2位へ ・小笠原諸島復帰 ・3億円事件 |
1969(昭和44)年 | 14,844 | 14.5 | ・東名高速道全面開通 ・人類初の月面着陸(アメリカ) |
1970(昭和45)年 | 15,728 | 15.3 | ・高齢化率7.1%『高齢化社会』突入 ・人口1億人超 ・大阪万博 |
1971(昭和46)年 | 16,239 | 15.6 | ・第2次ベビーブーム(1971年~1974年) ・ドルショック ・円変動相場制移行 ・九州縦貫自動車道開通 |
1972(昭和47)年 | 18,015 | 17.0 | ・沖縄返還 ・日中国交回復 ・田中角栄通産相が「日本列島改造論」を発表(ベストセラー、土地ブームで地価暴騰の引き金となる) |
1973(昭和48)年 | 18,859 | 17.4 | ・第1次石油ショック ・高度成長期の終了 ・変動相場制へ移行(1ドル=277円でスタート) |
1974(昭和49)年 | 19,105 | 17.5 | ・狂乱物価 ・戦後初のマイナス成長 ・戦後最高の賃上げ |
1975(昭和50)年 | 19,975 | 18.0 | ・第1回サミット ・ベトナム戦争終結 |
1976(昭和51)年 | 19,786 | 17.6 | ・ロッキード事件 |
1977(昭和52)年 | 20,269 | 17.9 | ・中小企業倒産防止共済法交付 |
1978(昭和53)年 | 20,199 | 17.6 | ・第2次石油ショック ・成田国際空港開港 |
1979(昭和54)年 | 20,823 | 18.0 | ・東京サミット |
1980(昭和55)年 | 20,542 | 17.7 | ・公共事業抑制 ・自動車生産世界1位 |
1981(昭和56)年 | 20,096 | 17.1 | ・生活保護の適正実施の推進について(社保123号)、いわゆる「123号通知」。背景には第2次臨調の発足にみられる財政抑制政策と不正受給事件がマスコミに大きく取り上げられた経緯がある。 |
1982(昭和57)年 | 20,668 | 17.5 | ・東北、上越新幹線開通 |
1983(昭和58)年 | 24,985 | 21.0 | ・輸出主導で経済拡大へ ・青函トンネル開通 |
1984(昭和59)年 | 24,344 | 20.4 | ・倒産件数20,841件で過去最高 ・日米貿易摩擦 |
1985(昭和60)年 | 23,383 | 19.4 | ・日銀円高誘導 |
1986(昭和61)年 | 25,667 | 21.2 | ・円高デフレ ・公定歩合3% |
1987(昭和62)年 | 23,831 | 19.6 | ・国鉄分割民営化 ・公定歩合2.5% ・土地高騰 |
1988(昭和63)年 | 22,795 | 18.7 | ・牛肉オレンジ自由化 ・内需拡大 ・瀬戸大橋開通 |
1989(平成元)年 | 21,125 | 17.3 | ・日経平均史上最高の38,915円 ・消費税3%導入 ・ベルリンの壁崩壊 |
1990(平成02)年 | 20,088 | 16.4 | ・バブル経済破綻 ・東西ドイツ統一 |
1991(平成03)年 | 19,875 | 16.1 | ・『失われた20年』の始まり。安定成長期終焉後の1991(平成3)年2月から約20年以上にわたり経済が低迷した期間を指して「失われた20年」という ・ソ連崩壊 ・湾岸戦争 |
1992(平成04)年 | 20,893 | 16.9 | ・平成複合不況 ・改正大店法施行 |
1993(平成05)年 | 20,516 | 16.6 | ・高齢単身世帯の増加が顕著に。1,181万世帯となり初めて1,000万世帯を超える ・就職氷河期(1993年~2005年)…後に、景気が回復しても、この世代の消費が増えずGDPの押し下げ要因に |
1994(平成06)年 | 20,923 | 16.9 | ・価格破壊 ・関西国際空港開港 |
1995(平成07)年 | 21,420 | 17.2 | ・高齢化率14.5%『高齢社会』突入 ・マイクロソフトより「windows95」発売。IT化の推進力に |
1996(平成08)年 | 22,138 | 17.8 | ・住専問題 ・食中毒O-157問題発生 |
1997(平成09)年 | 23,494 | 18.8 | ・金融不安が広まり大型倒産相次ぐ ・消費税5%(3%から) ・日産生命保険が業務停止命令 ・三洋証券が会社更生法適用申請 ・北海道拓殖銀行の破綻 ・日本版ビッグバン ・戦後最大規模の倒産といわれた山一證券が破綻。 |
1998(平成10)年 | 31,755 | 25.4 | ・日本長期信用銀行と日本債券信用銀行の相次ぐ破綻と住専問題。 ・『貸し渋り』が流行語大賞候補に。今年の漢字は『倒』 ・不況と貸し渋りを要因としたこの年の倒産件数は、1984年以来14年ぶりに18,988件となり過去最高。 ・完全失業率は大幅に悪化し過去最高の4%台突入。 ・男性40~64歳の自殺者が激増(女性の変化は少ない) ・犯罪発生件数2,033,546件(2百万件を超え増加傾向に) |
1999(平成11)年 | 31,413 | 25.0 | ・銀行破綻続出 ・商工ローン問題 |
2000(平成12)年 | 30,251 | 24.1 | ・少子化の進行(平均初婚年齢は、昭和50年には女性で24.7歳、男性で27.0歳であったが、平成12年には女性で27.0歳、男性で28.8歳と、特に女性を中心に晩婚化が進む)〔背景の一つに、適齢期を迎えても収入少なく家庭を持てない。子供をつくれない〕 ・介護保険法施行 ・民事再生法公布 ・沖縄サミット開催 |
2001(平成13)年 | 29,375 | 23.3 | ・戦後初のデフレ認定 ・省庁再編により厚生労働省設置 ・米国同時多発テロ ・国内初の狂牛病 |
2002(平成14)年 | 29,949 | 23.8 | ・完全失業率5.4%(ピーク) ・犯罪発生件数2,853,739件(ピーク) |
2003(平成15)年 | 32,109 | 25.2 | ・高齢単身世帯が1,646万世帯となり、世帯全体の34.9%と3分の1を超える ・イラク戦争 ・有事関連法 ・イラク特措法 |
2004(平成16)年 | 30,247 | 23.7 | ・原油、鋼材高騰 ・新潟中越地震 ・台風上陸最多の10個 |
2005(平成17)年 | 30,553 | 23.9 | ・郵政民営化法成立 ・個人情報保護法施行 ・ペイオフ解禁 |
2006(平成18)年 | 29,921 | 23.4 | ・景気拡大(いざなぎ)超え ・日銀が量的緩和実施 |
2007(平成19)年 | 30,827 | 24.1 | ・高齢化率21.5%『超高齢社会』突入 ・犯罪発生件数1,908,836件(200万件を切り減少傾向に) |
2008(平成20)年 | 30,229 | 23.6 | ・上場企業倒産33件 ・原油、原材料高 ・世界的金融危機 |
2009(平成21)年 | 30,707 | 24.0 | ・完全失業率4.8%(依然高水準) ・3年5か月ぶりのデフレ認定 ・1998年以降に雇用・失業環境は急速に深刻さを増す |
2010(平成22)年 | 29,554 | 23.1 | ・15年半ぶりに1ドル=80円台の円高に ・日本航空が会社更生法申請 |
2011(平成23)年 | 28,896 | 22.6 | ・東日本大震災発生 ・37年ぶり電力使用制限令 ・学生生徒等の自殺者数が1,029人となり始めて1,000人台に |
2012(平成24)年 | 26,433 | 20.7 | ・東京スカイツリー開業 ・前年の大震災の影響により貿易収支赤字続く |
2013(平成25)年 | 27,283 | | ・老老介護問題の顕在化。介護保険法で要介護認定された人と、介護する同居人が共に65歳以上の高齢者である老老介護世帯は、10年の前回調査から5.3ポイント増の51.2%となり、2001年の調査開始以来、最高となる。 ・アベノミクス効果(円安、株高) ・日銀の異次元金融緩和 |
2014(平成26)年 | 25,427 | | ・消費税8%(5%から) ・日銀の追加緩和 ・医療費初の40兆円超え(2013年度1人当たり314,700円) |
2015(平成27)年 | 24,025 | | ・5月の生活保護受給世帯数は162万2,525世帯で過去最多(非保護人員216万1442人)。 |
〔2015/8/30〕
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