「佐野」は、東京から70kmで東北自動車道を利用すると約1時間の距離にある。さらに、日光までの所要時間は90分で充分である。
古くは万葉集の東歌に詠まれた三毳山や奈良の都からの東山道沿いの町として、また藤原秀郷公が城を築いた唐沢山や江戸時代には日光例幣使街道の宿場町として栄え、古い歴史と麗しの郷である。
「佐野ラーメン」の歴史は大正初期に始まると言われ、当地に住んでいた中国人が伝授し、地域の人々の感覚で育てられ現在の味の礎を作った。織物が盛んな頃に繊維業者や深夜まで働く女子従業者などを相手に広まった。値段が安く子供から老人にいたるまで好んで食べられた。
「佐野ラーメン」は気候、風土が味を作る。冬はからっ風の多い乾燥地で夜間は冷え込み夏は内陸型の蒸し暑さの中で特徴づけられた。日本名水百選の一つ「出流原弁天池湧水」で知られるとおり、北に日光連山を控え地下水には恵まれていた。この地・この水が佐野ラーメンを作る。
昭和の初期には、のれんの店も多数開店し、花柳界華やかなりし頃の屋台にいたっては人口5万人の町に毎夜10台以上の屋台が出ていた。価格は当時8銭くらいで昭和10年代に15銭となり、戦後の競争期には味も上がり値段も30円以上となり、その後、100円、200円・・・と上がり現在に至っている。
「佐野ラーメン」は、伝統の三種の神器(チャーシュー、なると、シナチク)を守りつつ味の向上を続けている。食通で知られている「佐野」は、そば・うどん・煎餅や桃・梨・苺など果物の生産も盛んで大変おいしい。
栃木県地方独特の冬場の食べ物「しもつかれ」も有名である。あなたも「ノスタルジック」な味に挑戦してみませんか。 |