次の記事は、平成14年2月6日(5日発行)夕刊フジの13面、「エンターテインメント・ウオーズ」に掲載されたものです。

ご当地ラーメン繁盛記

 サミット開いた 

 佐野市は来年、市制施行60周年を迎える。佐野ラーメン会は本来なら今年が創立15周年なのだが、川田潤会長によれば「今年は特に行事をやらず、来年、佐野市の市制60周年式典に合わせ大規模にやりたいと考えています」という。
 佐野ラーメン会は市の後援もあって、83年2月の設立時はもちろん、92年の5周年、97年の10周年と常に大々的な催しを開いて知名度を高め、同時に入れ込み客数を増やしてきた。
 5周年の時は喜多方など全国各地のラーメン会を招請し、「全国ラーメン仲良し会」を発足させ、10周年に際しては全国ラーメン仲良し会発足5周年記念を兼ねて「ラーメンサミット&ラーメンフェア」を賑々しく挙行している。いずれのときも在郷のテレビ局はじめマスコミから大いに注目され、取材が相次いだ。

 厄よけ大師と二人三脚 

 市商工観光課の矢澤裕之係長によると「佐野市としては十数年来、観光事業を充実させるということで市が先頭に立ってPRに努めてきた。県外にも積極的に出て行ったりもしています」と語るが、その二大眼目となってきたのが「厄よけ大師」と「ラーメン」だった。
 いささか旧聞に属するが、8年前に観光協会が佐野市を訪れる観光客3,500人の動向調査を行ったことがある。「佐野に来た目的は何か」という問いに、65%の人は「ラーメンを食べに」と答え、55%の人は「厄よけ大師にお参りに」と答えていることがそれを証明している。

 年間300万人の観光客を目標に 

 ラーメン会発足時、佐野への観光客の入れ込み数は年間100万人ほどであったと見られている。それが88年には100万人台に乗せ、以降、多少のでこぼこはあるが、2000年には240万人、2001年には263万人にまで増えている。極めて順調な伸びだと言ってよかろう。このほかカウント外だが、市内4か所のゴルフ場を訪れる客も年間相当数にのぼる。「これら佐野を訪れる人たちのうち、およそ6割の人たちがラーメンを食べて帰るのではないでしょうか」と矢澤は語る。

 「万葉自然かたくりの里」にも力を入れ 

 もっとも佐野へ来る人は自家用車か電車を利用する人が圧倒的で、喜多方のようにバスを連ねて団体でくるケースはごく少ないようだ。せいぜい厄よけ大師の初詣の時期か、最近市が力を入れている「万葉自然公園かたくりの里」でカタクリの花が咲く、3月末から4月上旬くらいである。逆に言えば、それらを除くと多くの客を誘引できる観光スポットが佐野には乏しいということでもある。

 満15周年を転機に 

 したがって、佐野には喜多方の「坂内食堂」「まこと食堂」、あるいは「万来軒」のように1日800人とか、1,000人とかを入れることのできる大きなラーメン店は存在しない。粗製濫造に陥らないという意味で、そのこと自体佐野ラーメンのよさではあるが、観光客誘致を難しくしている面でもある。佐野市はここ数年、年間300万人の観光客誘致を目標に掲げて努力しているが、厄よけ大師のパワーアップは目ざましいものの、ラーメンの方にはややかげりが見える。それだけに、市もラーメン会幹部も来年のラーメン会発足満15年を発展への新たな転機にしたいと考えているようなのである。
=敬称略

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