吉夏社(kikkasha)


【アメリカ文学・ユダヤ文学・ホロコースト】


カバー写真

愛されえぬ者たち
――ペルラ・Sの日記より

アルノシュト・ルスティク

野口忠昭+羽村貴史

四六判・上製・320頁
定価
本体2600円+税

ISBN978-4-907758-15-8


在庫あり







ホロコーストと〈記憶〉
絶滅収容所へと向かう、
ある少女の日記

●ナチ支配下のチェコ。子供の頃から性に強い関心を抱き、生きるために17歳にして娼婦となったユダヤ人少女が、ドイツ軍将校や長老者会議のメンバーなどを相手にしながら、収容所に移送されるまでの数カ月間、自らの存在を日記に刻印する。生と死、性と愛を織りまぜ、〈記憶〉のあり方を追求した第一級のホロコースト小説。全米ユダヤ図書賞小説部門受賞作。
(原著の英訳版初版刊行は1985年)





著 者  

アルノシュト・ルスティク
Arnost Lustig

 
アメリカのユダヤ人作家。1926年、チェコのプラハに生まれる。ホロコーストの間は、テレージェンシュタット、アウシュヴィッツ、ブーヘンヴァルトの収容所を生き延びたあと、処刑のためダッハウへ移送されることとなったが、途中で移送列車から脱走することに成功し、反ナチ抵抗組織に加わった。戦後、執筆活動を開始し、1970年に米国アイオワ大学国際創作プログラムに招かれたのち、ワシントンDCのアメリカン大学で30年以上にわたり文学教授を務めた。現在、同大学名誉教授。全米ユダヤ図書賞、エミー賞、カレル・チャペック賞など、欧米において数々の権威ある賞を受けているホロコースト作家である。
 主な作品に、『闇に影はない』、『一口の食べ物』、『カテジナ・ホロヴィツォヴァのための祈り』(以上、恒文社)、『ディータ・サクソヴァー』、『愛らしい緑の瞳』などがある。本書『愛されえぬ者たち』は、1986年度全米ユダヤ図書賞(小説部門)受賞作品。



目 次  

第一部
第二部
第三部
訳 註
訳者あとがき




関連書  



書評・紹介  

『図書新聞』2007年6月9日号(書評)
二〇世紀が二〇世紀たる根本的なものを内包した物語
 ――「歴史における人間」の自由とその省察

 
この人は実際にどういう人であって、どういう人でなかったかと、万人に対して最終的に審判を下せるのは死だけなのだ。そのときはじめて、生について知ることができる――そう本書は物語る。それは二〇世紀が二〇世紀たる根本的なものを内包した、ルスティクの歴史経験の真実だった。彼は現代に、その経験の意味を問いかける。
 【米田綱路氏評】



リンク  

Northwestern University Press