| T:設計依頼について | |
| Q1:設計料が高いのではないかと心配ですが? | A:設計料は、建設省告示1206号の規定にのっとり決められています。建物の用途や内容によって様々ですが、2000万から3000万円位の住宅の場合は、およそ、工事費の1割程度が目安でしょう。 「そのお金がもったいない」と工事業者の無料設計ですませ、直接その業者に発注して、結果的に高い金額で家を建ててしまっているというケースがあるようです。 設計事務所は建物の設計や監理の他に、業者から提出された見積の査定を行い、施主の予算にあわせた調整業務をします。一般的に我々が見積の査定を行えば、見積金額は通常より1割から2割程度の減額となるのが通例です。その1割を設計料に当てたとしても、予算内で建物品質の向上・満足度などを得ることができ、資金の有効活用になるとおもわれます。 |
| Q2:工務店が、「当社の設計部に一級建築士がいるので、設計料はかかりません。」とか「工務店が知り合いの設計士を紹介しますから、そちらからだと設計料がお安くすみます。」というのですが、どう考えればいいのですか? | A:一口に言って、我々と工務店さんとは立場が違うんですね。施工会社は利益を前提に技術や物を売買する企業形態です。企業の従業員である設計士と、施主さんの代理である設計事務所とは、明らかに目的や立場が違ってきます。 設計事務所は施主さんの代理として、施主さんの利益を守る立場です。よって施主さんから報酬を受けるのです。施工会社から給料や報酬を受けている側の設計士とは立場が異なります。企業の従業員である企業内設計士が、企業の利益を差し置いて施主さんの利益を守れるのか――企業から給料をもらっている限り、それは不可能なことでしょう。 専業の独立した立場である建築家だからこそ、見積査定も施主さん側に立って行えるし、適正な工事監理もできるのです。 設計者選びについては、技量のない設計者や設計料の安さから依頼して、きちんとした見積査定や監理をしてもらえず失敗するというケースも多く存在します。信頼できる設計者に依頼することをお薦めします。 |
| Q3:相談料金はとられるのですか? | A:各設計事務所によって違うと思います。訪ねる前に確認して伺ったほうが良いでしょうね。 私の事務所では、設計依頼に訪ねてこられる場合は当然相談料は戴いておりません。契約に至らなかった場合も、相談料は戴きません。しかし当事務所に関わりのない事例での相談の場合は、相談料が生じるケースもあるかと思います。 正にケースバイケースでしょう。 |
| U:資金・諸費用について | |
| Q1:住宅の購入資金として、工事費や設計料のほかにいくらくらい予算を考えておけばいいのでしょうか? | A:一般的に新築工事の場合、工事金額の5%〜1割程度でしょう。2500〜3000万円の家の場合、120万円〜200万円が目安となります。税金、住宅ローン手続き、引越し費用、カーテン雑貨などの諸費用として考えてください。
通常建築家が手がけた家は、照明器具などが設計に含まれていますので、比較的安く納まります 但し、家具やベットなどの購入費用は個々のクライアントによって様々なので、あくまで目安としてお考えください。全ての家具を新築に合わせて新規購入しようとすれば、更に予算を見込む必要があります。 詳しい内訳については、住宅雑誌にも出ている場合もありますし、住宅金融公庫の手続き案内書等にも出ていますので参考にして試算しておくとよいでしょう。 |
| Q2:一般的なコストを教えてください。 | A:コストというのは一概に言えません。“いくらでもできる”というと御幣がありますが、仕様の設定レベルで変わってきます。 自分たちの必要なものをキチンと考えて、メリハリのある清楚な考えで造りこんだ家は、無駄のない気持ちよい住宅を実現します。一生で一度の家造りですから、掛けるべき所にはきちんとお金を掛けて、安かろう悪かろうの家造りだけは避けてください。骨格がガタガタで、見栄えのみ良いという家が多いのも事実ですからね、 私の事務所で一番多い建物は、坪60万円から70万円です。仕様をサッシや外装・内装・設備などといったもので調整すると、もう少し安い設定が可能です。家の規模によっても違いますが製作家具やパネルヒーター、床暖房、照明器具も含めて設計していますのでリーズナブルな金額かと思います。 建物は面積が小さくなると割高となり、大きくなるほど割安になる感じです。それは、設備工事は家が大きくても小さくてもほぼ同じくらいの金額がかかるためだと、お考えください。 |
| V:断熱について | |
| Q1:断熱方法について様々な意見があり、読んでいくうちに何が一番良い方法なの分からなくなってしまいます。アドバイスをお願いします。 |
A:断熱は、家にとってよりも住まう人にとっての快適性を考えるととても大切なことです。 ただ、断熱の数値のみによって快適に保てるかというと、それは違います。断熱の情報によって住まいの根本を見失っては困りますよね。とかく数字が表記されていると納得したような気持ちになるのが人間ですが、気持ちよく住むという事は数値では表せません。 断熱材には種類も様々なものがあり、選択幅も広いのですが、重要なことはその施工方法です。きちんと充填して隙間のないように内壁側に入れてあげるということです。現場で大工さんが知らずに外壁に押し付けて入れているのを見た事がありますが、断熱材は内壁に密着させて入れないと効果がありません。断熱材と内壁の間に隙間があると、壁内に結露を誘発させることになります。 最近は外断熱という方法が注目されるようになりましたが、これは数値としてみればかなり良いでしょうね。ただし取り付け方法や荷重支持の点から、注意が必要とも考えています。 私がお薦めするのは、公庫住宅の断熱性能地域区分の省エネルギータイプ仕様に沿ったものです。特別の場合を除いて、私は一般的内断熱で設計しています。 また、断熱効果はあくまで施工する技術で違ってきますから、数値の良い断熱材だからといって、効果が期待できるものではないことを理解してください。 アルミサッシの場合、アルミ枠の内側の見えない部分の結露をがすごいのです。これは見えないからと言って放っておくと大変なことになります。ですから、寒冷地では断熱複合サッシという二つのピースから造られたサッシをお薦めします。 また、家のために一番良いのは、木製建具または木製サッシです。見えない結露から縁のない材質ですからね。知らない間に柱が腐っていたなんてことは心配しなくてよいですものね。 家が丈夫で長持ちするには、断熱材がなくて、内側と外側の温度差がないのが一番です。ところがそうすると寒いし、暖房効果は損なわれるし、エネルギーは無駄になるしで……。その辺の折り合いが大切だと思います。 あえてアドバイスするなら、体感で分からないような微細な数値にだまされず、惑わされず、気持ちの良い空間を優先して考えたほうが良いと思います。過ぎたるは及ばざるが如し…です。 |
| W:構造強度について | |
| Q1:丈夫で長持ちする家が欲しいのです。様々な造り方がありますし、どんな構造が良いの情報が多すぎて混乱しています。教えてください。 |
A:工法は一般木造、ツーバイフォー、プレファブ、鉄骨、鉄筋コンクリート造りなど様々です。それぞれに特徴がありますね。一般的に市街地では、鉄筋コンクリート造りが火災や災害から人名・家財を守るのに適していますし、それ以外の立地では木造、ツーバイフォー、プレファブなどが多く見受けられます。暮らしというソフトの面からそうしたものを選択するんでしょうね。 お尋ねの「丈夫で長持ち」ということですが、丈夫さと長持ちするということとは別の意味があって、丈夫だけど長持ちしにくいものもあります。高温多湿の日本という国では、そういう機構を踏まえて造らないと、丈夫だが耐久性がない家となります。 そういう意味では、一般木造は長い間日本人が自国の気候風土から学び、育ててきたものであり、歴史が証明している優れた工法です。欠点は造り手により品質にバラつきが顕著に出るという、まさに職人の技に頼る、高度な技術を必要とする工法だと言えるでしょう。間取りなどの自由度は一般木造がオーダーメイドに適しています。自由度が大きいといえるでしょう。 一方プレファブは規格化されているため、品質のバラつきは少ない工法でしょう。しかし間取りの自由度は少ないといえます。 以上の理由から、設計事務所ではオーダーメイドという自由度の高い木造やコンクリートの建物が多いのです。 設計者が関わることで、工法の持つデメリットである品質のバラつきをなくす訳です。 構造的にもまだまだ使える建物が、建て替えに伴い取り壊されている現実があります。丈夫で長持ちしている建物が壊されていくのは、“使い勝手の悪さや現代の暮らしに建物が適応できていない”という問題があります。次世代に引き継ぐ家造りというソフトの部分を大切に考えることも忘れてはいけないポイントです。 |
| X:土地の購入について | |
| Q2:土地を購入したいのですが、留意すべきことを教えてください。 |
A:土地の購入に当たっての留意点ですね。 1.まず、敷地が4メートル以上の幅員の道路に接している事が基本です。 2.敷地内に水道メーター、ガス(都市ガスの場合)、下水道がある地域なら下水道が整備されているか? 3.電気・電話などのケーブルが取り込み可能な場所にあるか? 4.排水先(側溝)は確保されているか? 5.次に、都市計画区域、市街化区域内の確認(一般的に開発行為を受けた敷地以外の調整区域だと、家を新築するのは特別の場合を除き不可能であるため)と、用途地域(第一種低層住居専用地域、第一種住居地域)の確認。 6.また、建ぺい率、容積率、他特殊地域の指定(風致地区、住民協定など)の縛りはあるか、などを不動産屋さんに確認しておくことです。 7.実際に敷地を見て、敷地上空に高架線など障害物がないかも確認しましょう。 8.敷地内の地下に埋設物はないかも、不動産屋から確証を取ることも大切です。 9.敷地環境として、近くに空地汚染の障害となるような施設がないこともチェックすべきことです。 10.河川が近くにある立地では、過去に増水被害は出ていないかも要チェックです。 11.建築工事を行なう上で、工事車両の進入や建材搬入のルートも確保できるたこ言うことも大切なポイントです。長い石段の上に敷地があったりすると、工事が仮説費用でかなり割高になったりもしますからね。 敷地環境は各自の好みですが、四季の変化をイメージしてみることも大切ですよ。例えば雪国で、隣に建っている家が自分の敷地より高い位置にあり、屋根の雪が自分の敷地に落ちてくるなんてこともあります。そういうことも頭に入れて周りの環境も選ぶ事が大切ですよね。 もし事情が許せば、購入前に建築家に一緒に見てもらうとより安心だと思います。 |
| Q1:土地を購入しようと思っていますが、建築条件付です。アドバイスをお願いします。又、工期はどのくらいを考えておけばよいかを教えてください。 | A:建築条件付というのは、土地を購入する際、指定されている業者に依頼して建物を建てるというものですね。 本来条件付きというのは、不動産会社の他に建設会社も一緒に建て主を探せるので営業力が強化し、土地や建物の売買期間の短縮になるという業者側のメリットがあります。 土地の開発に当たり、施工会社が不動産会社と協力して純粋に共同事業としている場合もありますし、建設業者が独自に持っている土地を売る際、人情として土地だけでなく本業である建築工事を一緒に請け負いたいと建築条件付きにしているケースがあります。 しかし難しいのは、土地の売買で利益を見込めなかった金額を、工事請負会社が不動産会社にバックする金額として建築工事費の中に上乗せされてしまう場合があることです。見えない部分ですので、一般の方には判断がしにくいところですね。 いずれにしても、評判の良い優良な業者であり、造り出す建築が気に入って頼むのなら良いとおもいます。ただ、この仕組みの業者にとってのメリットと、一生の買い物をされる建て主のメリットをよく考えて購入すべきでしょう。 私としてはできるなら建築条件をはずしてもらって、購入することをお薦めします。どうしてもそれができないのであれば、条件付きでない土地を購入したほうが自由でメリットのある家造りが出来るかとおもわれます。 工期については、工事着手から完成まで、およそ6ヶ月は見込む事が一般木造の工期だと思います。ツーバイフォーやプレファブはもう少し短いでしょうね。 |
| Y:オープンシステムという工事発注方式について | |
| Q1:知り合いから、建て主が自ら基礎工事や大工遺産、設備工事など各工事職種ごとに契約して工事を行なえば、安く済むといわれたのですが、こういう方式は本当にメリットがあるんでしょうか? | A:オープンシステムという方法は、確かに安く造るに適した方法かもしれません。ただし、このシステムには施主のリスクを忘れてはならず、私はお薦めできません。 このシステムの一番のリスクは、責任を誰が取るかということです。一般的な例えで言えば、従来の発注方式ですと、施工会社に発注した場合、工事の各職種統括は施工会社であるため、設備で不具合が生じた場合でも請負の施工会社に連絡すれば、設備を担当した設備会社から手直しに来ます。もしその設備会社が何らかの事情で来れなかったとしても、別の取引のある設備会社を差し向けることも、一括請負の施工会社ならば可能なことです。 もし、統括施工者がおらず、あなたが各業種と別々の契約により施工させたとすれば、各業種への連絡手配はあなた自身が行なうことになり、さらに業者が動かなかったとしたら……?こういうトラブルはよく耳にします。 アフターメンテナンスも考えると、工事発注は、統括施工責任が取れる建設会社との一括契約が安心でしょう。工事費が高い安いのみで考えると危険が一杯です。 多くの設計事務所は、腕の良いきちんとした施工会社を数社選び、見積査定し、安心を付けて工事を完成させるのです。私の経験から、きちんとした良心的な建設会社に請け負ってもらわないと、引き渡し後のメンテナンスなどで、設計事務所も施主さんも手も足も出ない悲惨な状態が待っています。一流の会社(規模の大小にかかわらず)は、メンテナンスが実に丁寧です。われわれ建築家は仲間の情報を基に、そのような良心的な業者に発注することを心掛けています。 たとえばボイラーなどは機械物であり、トラブルは皆無ではありません。建具の調整メンテナンスにしても、引渡し以降、梅雨明けに再び調整しなければならないほどで、メンテナンスというのは大切な施工会社の業務の一つだと、私は考えています。 オープンシステムは、安く付いたと思っても結果的に馬鹿高い買い物になる恐れもあるということを知っておいてください。 私の事務所では、オープンシステムの家造りはあまりお薦めしません。優秀で優良な工務店や建設会社に見積もりを提出してもらい、査定し、予算を調整し、施主さんと共に満足する家造りを実現する事が、現時点での最良な方法だと思っています。 |
| Z:ローコスト住宅 | |
| Q1:ローコスト住宅の依頼も建築家は引き受けてくれるのですか? |
A:もちろんです。 ただし、依頼主には“住宅とはこういうものだ”という既成概念を一度捨てていただく事が大切だと思います。自分たちにとって、必要な物と捨てられる物をきちんと明確にしていければ成功するでしょう。 無駄のない豊かさとでも言えばよいでしょうか、本当の意味でローコスト住宅を手に入れられる人達は、残念ながらホンの一握りです。豪華に見える偽物を欲しがる人達がわりと多いからです。 建築家と一緒に家を造っていくんだという気持ちで取り組んで、建築家を信頼して長い時間付き合えるかがポイントです。が、途中で依頼主自身が歩くのをやめてしまう場合もあるんですよね。 ローコストを実現するためには、建築家も体力が要りますが、依頼主自身も体力が必要です。ローコスト住宅の実現のためには、不必要なものはいらない、付けない、ということに尽きてしまうのです。その分必要なものにコストをかける。この必要なものというのは、構造体であったり、品質の良い素材であったり、長く住むために必要な要素をいいます。時として依頼主の必要なものは、見栄を張るものであったりする場合があり、ローコストではなく、安く作られた低品質のものを寄せ集めただけの、ただの見せ掛けの家に陥ってしまう場合があります。こうした物は、日々色あせていき、巨大なごみを作ってしまうという危険性があり、注意しなければなりません。 たとえば四角い大きな空洞の箱。例えば建具もない体育館のような大空間。 時間と共に間仕切りができ、家族の成長と共に成長していく住まい。 既成概念にとらわれない新しい住まいを楽しむゆとりが持てるなら、すばらしいローコスト住宅が成功します。 |
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