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法話集

真っ直ぐな心

 
人は皆、平等であるといいます。そして人には皆、公平に自らの人生を切り開くチャンスがあるといいます。しかしながらこれは「平等であるべきだ!」「公平であるべきだ!」という考え方に基づく理想であって、実際の社会は必ずしも平等ではなく、人生のチャンスも公平とはいえない面が多々あります。 そこで今回は、平等でも公平でもない実状に直面して、自らの人生の不幸を嘆く前に考えるべき事、すべき事について、参考になるお話をしてみたいと思います。
まず、釈尊の時代のお話です。階級制度が明確に存在したこの時代に、ある一組の男女が、身分の差を越えて結婚するために駆け落ちをして、二人の子供を授かりました。子供は、道端(パンダカ)で生まれたので、兄はマハー・パンダカ、弟はチューダ・パンダカと名付けられました。
その後、 時は流れて、兄が十代後半になると釈尊に弟子入りすることになり、これを機に弟も弟子入りしました。さて、兄のマハー・パンダカは利発で、釈尊の教えも一字一句を暗誦し、修得して直ぐに悟りを得るまでになりました。一方、弟のチューダ・パンダカは愚か者でした。兄が、釈尊の教えを解りやすいようにと、短い言葉にするなど工夫して弟に教えても、直ぐに忘れてしまうといった有様です。仲間の弟子たちは、その愚かさを罵り軽蔑していました。 兄は、そんな弟の為を思い「お前には出家は勤まらないから」と追い出してしまいました。
街角で、自分の愚かさに悔しんで泣いているチューダ・パンダカの姿を見つけた釈尊は、精舎へと連れて帰りました。そして次のように諭しました。 「お前は、自分が愚かであると嘆いているが、真に愚かであるものは自分が愚かであることを知らないものだ。 お前は、自分が愚かであることを知っているので愚かではない」といい、「お前に布と箒を与えるから、 聖者らが精舎に戻った時は、その聖者の足の泥を拭い、精舎を常に掃き清めよ。 そして、行為を行う時は、常に『垢を除かん、塵を除かん』と唱えなさい」と続けました。この釈尊の教えを忠実に守ったチューダ・パンダカは、「掃除とは我が心を磨くことである。自身の煩悩欲の垢や塵は、常に心を磨くことによって取り除くことができる」と悟り、他の笑ったり罵っていた仲間を凌ぎ、悟りを得ることができました。
次は、日本における現代のお話です。三味線を弾き、唄を唱い、門付けをして歩く女性を瞽女(ごぜ)といいます。彼女たちの多くは、早くから目が見えないというハンデを負っており、そのハンデの中で自立するために、旅先で一夜の宿を請い、雨風を凌ぎながら旅をするという生活をしていました。 彼女たちが身繕いをする時は皆、見えない目で鏡に向かったといいます。今度生まれて来るときは、目が見えるようにという願いからだそうです。
そんな瞽女の一人に、小林ハルさんという方がおられました。生後まもなく失明したことから、意地の悪い師匠に伴われて9歳で旅に出たそうです。その生活は凄惨で、村人に唄を褒められると「いい気になりおって!」と罰を受け、食事の時もイジメに似た差別を受けながらの旅だったといいます。理由も告げられずに夜中、山中に置き去りにされたこともあるそうです。
「私が明るい目を貰って来れなかったのは前の世で悪い事をして来たからなんだ。だから今、どんな苦しい勤めをしても、次の世には虫になってもいい、明るい目さえ貰って来れればそれでいい・・・・そう思って勤め通して来た」と語るハルさんは、 26歳の時に独り立ちをして、人に求められるまま唄い、自分が苦労してきたことは他の者にはさせられないと、どんな者でも拒まずに弟子を引き取りました。「目が見えない者が生きるには、人に与え尽くせ」という、祖父と母の教えから「人の上になろうと思えば間違い、人の下になっていれば間違いない」と、自分から面倒な事を買って出たそうです。
73歳で瞽女の仕事を辞めることを決意し、たまたま最後の門付けをしているハルさんの様子がテレビで放映された時のことでした。 研究者たちは、未だに瞽女文化が死んでないこと、さらにはハルさんが昔の唄を克明に記憶していることに驚きました。このことから1978年に瞽女文化継承者として無形文化財「人間国宝」に選ばれました。これをきっかけに再び三味線を取り、活動を再開することになったハルさんは1979年に黄綬褒章、2002年には吉川英治文化章に選ばれ、 2005年4月に105歳でこの世を去りました。
世の中には、才能に任せてアレやコレやと生命力を分散し、結局は何も成らずに一生を終わってしまう人が少なくありません。そして、そんな人に限って冒頭でも述べたように、自らの人生の不運・不幸を嘆いている事が多いように思います。そんな人たちに、チューダ・パンダカのように自分の愚かさを自覚し心の傲りを取り除いて愚直に一心に自らの心を磨くことの大切を、 さらには「働くとは、端を楽にすること」という信念をもって、歪むことのない真っ直ぐな人生を送られた小林ハルさんの生き方を、学んで頂きたいと思います。                                              合 掌
 
今月(6月)28日(土)は、当山の波切不動尊の御前にて柴燈護摩を焚き、荒行と共に盛大に諸祈願を行う護摩法要の大祭・火まつりです。 私たちの煩悩を焼き尽くし、頭上の剣で一切の諸難を断ち切り、併せて人生の荒波を切ってくださるお不動様に祈願する大祭ですから、今年は、是非、真っ直ぐな心でお参りしてみて下さい。

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