メダカは, 産卵と放精のどちらを 先にするの? |
メダカ緊急掲示板でいただいたみなさんの情報を
1998年2月8日にこの掲示板をだし,みなさんから情報をいただきました。
緊急掲示板 「メダカの産卵と放精について」 テレビの教育番組制作のお仕事をされている「宇佐美さん」から 質問がありました。 「小学校の教科書に矛盾した記述がのっていました。
5年生理科教科書A>おすが精子を出してから、めすがたまごをうむ
5年生理科教科書B>めすがたまごをうみはじめると、おすが精子をかける どちらが正しいのでしょうか。」 メダカの図鑑には,「産卵と同時に精子をかける」との記述もあり 本当のところはどうなのでしょうか? (ちょっとの違いの問題なのでしょうが...) |
KONKONの考え |
(1)実際に,自分の目で確かめたことがまだない。 (2)NHKの教育番組の中では,「B.たまごが先」だった。 (3)同時と考えた方が,融通が利くけど,実際はどちらかが微妙に先なのだろう。 (4)どうして,教科書の記述が違うのか? (5)どちらかの教科書が間違っているのか? |
みなさんの考え&情報 |
色分けもしました。
「A.精子が先」が正しい。 |
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「B.たまごが先」が正しい。 |
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観察&情報 |
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「A.精子が先」が正しい。 |
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HP「藤沢メダカの学校を広げる会」の黒部さん 前者(A)が正しようです。 HP「藤沢メダカの...」の「メダカの飼い方」ページの大改訂に取り組みました。 そこに記述がありますので、ご参考まで。 (メールより) |
江ノ島水族館の
足立さん HP「藤沢メダカの...」や水族館のほうで, メダカ飼育の参考にしている本 (「メダカの誕生」岩崎書店」)によると 「A.放精が先に行われる」と書いてありました。 しかし, クマノミやサケなどでは,実際に 「たまごを先に産んで,そこに放精して」います。 江ノ島水族館のメダカ担当の山口さんに詳しく聞いてみましょう。 (私が電話で,質問させていただきました。) |
埼玉の増田さん 先日、夕方に水槽の水換えをして間もなく水槽の中が異様に「白濁」していたので、 「水を換えたばっかりなのにおかしいな〜ぁ」と思っていたところ、夜メスがたまごを付けていました。 ってことは「A」なのかな? (メールより) |
「B.たまごが先」が正しい。 |
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新潟のもたいさん(HP「メダカワールド」) 一般論は産卵が先なのでは? (メールより) |
埼玉の鏑木さん 考察:メスは産卵と同時にオスの放精行動を刺激する何かを放出している。 これは産卵前から徐々に滲み出し、産卵中にも水中に溶け出す。 当然、卵にもまとわりついている。 (教科書Bの”卵を産み始めると”は”産んでから”とは述べていないことに注目)。 精子と卵のどちらが先に体外に出るのかということと、オスとメスのどちらが誘因かの二つの問題があるとして、後者について考えると、オスの精子がメスの産卵の誘因になっているとは考えにくいですね。 自然の中では水の流れが多少でもあるでしょうから、吐き出したもの(精子)よりも、体外にぶら下げた卵塊のほうが有利で無駄が少ないのではないのでしょうか。 以上、ぜんぜんまとまっていませんが...。 参考文献:無し。 (メールより) |
埼玉の鏑木さんにもう一ついただきました。 メスの産卵は生理的な現象かもしれない。 メスはオスがいなくても産卵する。 孵化直後の子メダカは親と隔離しますよね?親に食われちゃうから。 水槽が増えた理由の一つは子めだかを2段階にわけているからです。 .<o<Oってな感じで。 で、oの状態(1.5cm位か?)で産卵(2、3粒)したメスをみ たことがあります。 当然、受精した様子はまったく無く、孵化しませんでした。 以上(やっぱ卵が先)。 (メールより) |
埼玉の深野さん これって、Bですよね。 「動物きそうてんがい」っていうテレビでもそのシーンを 放映してましたし、私も自分のメダカで見たことありますから。 時間の微妙なズレだと思います。 先にメスに卵の産卵を促してから精子をかけるんですよね。 (メールより) |
静岡のマコさん 他の魚の映像は、何度かTVで見たことがありますが、産卵と放精がほとんど同時にみえました。 でも厳密にいうとどっちかが先なんですよね。 ふつうに考えると、産卵が先だと思うのですが、ほんとはどうなんでしょう。 魚の種類によっても違うのでしょうね。 何億も産卵する魚は、メスが全部の卵を産み終えてからオスが放精する、方式のような気がするし。 (メールより) |
岐阜のけんけんさん メダカの産卵ですが、一瞬の差で卵が先です。 ウチの娘が4年前、夏休みに科学作品(自由研究)をやった時、産卵の瞬間を見ています。 産卵の瞬間を見る為いろいろとトライしました。 <−メダカは早朝、産卵する(らしい) @最初のトライ(前の晩から暗くしておいて、朝、急に明るくする。) ○メダカの水槽を前の晩から黒いビニール袋で覆い、朝、取り除く。 −−>失敗(わずかな光が入ってしまい、早朝でも産卵は終わっていた。) ○水槽をダンボールで覆ってもやはり失敗した。(産卵していた) Aうまくいった方法 ○前の日の夜、メダカのオスとメスを別々の水槽に1匹ずつ入れておき、早朝、オスのメダカをメスのメダカの水槽に静かに入れ、そっと観察する。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6時20分:オスのメダカをメスのメダカの水槽に入れる。(びっくりして落ち着かない) 6時35分:オスがメスを追いかけ始める。(だんだん早くなっていく) 6時50分:産卵を始める(水槽の端の水面近く) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 以下、産卵行為は15秒位で終了します。 オスが背びれを手に様に使ってメスをつかまえます。 この時、メスは尾びれをとても細かく、速く動かしています。 オス、メスの体が頭を下にして傾き、次に卵がぶつぶつと、あっという間に出てきます。次の瞬間、オスが白い精子を ”しゅっ”という感じで卵にかけます(水のなかに広がるのがわかります)。 2回出てきます。 (メールより) |
福山の高山さん 前にNHKの理科の番組で見た限りでは、ほぼ同時だったようですけどね。 まず、雄が雌の体に自分の体をスリ寄せて産卵を促します。 そして雌が卵を産み始めると同時に放精するというシーンをテレビで見ましたよ。 まぁ見かたによっては卵が先ということになるかもしれませんね。 確かあの番組では産卵シーンを撮るために、雌と雄を一匹づつ別の水槽に入れて観察していましたよ。 この方法だと産卵する確率が高くなるんだとか。 でもメダカの産卵は朝早いからなかなか見られませんよねぇ。 (メールより) |
宮島水族館の奥山さん 魚は,一般的に,たまごを産んでから放精します。 メスがたまごをくっつけている(着卵)のをオスが目から見て それが刺激になって放精を始めることも考えられます。 (私が電話で,質問させていただきました。) |
大阪の野村さん 私は、大阪府枚方市(ひらかたし)で小学校教諭をしています。 現任校の前は、枚方市立教育文化センター(教育研究所)に3年間、研究員として勤務していました。 そこでは、市内の先生の理科及びコンピュータの研修講座を担当していました。 理科のメダカについては、3年とも私が担当しましたので、その経験など・・・・。 (中略) 産卵の話題がありますが、私自身も、何回も自分の目で見ていますが、 「どっちが先?」 って改めて質問されると、????と考えてしまいます。 というのも、見ていたときは、そんなことを考えなかったからです。 で、今思い返してみてもよくわかりません。 ただ、卵が先に見えたような気がします。ただ、気がするだけで、確信があるわけではありません。 (メールより) (この後,詳しい産卵の観察方法をお聞きしました。) |
観察&情報 |
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神奈川のはまじょんさん 雄のメダカの放精なのですが、実は私も疑問に思っていて、気をつけて観察したこともあるのですが、結局わかりませんでした。 雄の精子が見えないんですよね。 雌の周りをうろつく(雌の真下をキープしたがる)のは分かるんですが、いつ出したかが分かりません。 ただ、雌が卵を抱えている、いないに関係なく、雄は雌に対して同じ行動をとっているようです。 近所の水族館”ふれあい科学館”(神奈川県相模原市)に出かけてみたのですが、担当の方もそこまでは分からないということでした。 でも、わざわざ受付まで来て頂いて話を聞いて下さって、ありがたく思いました。 (メールより) |
江ノ島水族館の山口さん ヤマメ,マスはオス・メスが放卵の後で,放精しています。 メダカでもそうではないでしょうか。 メダカが3匹で産卵している資料写真もあり, ペアリングができたつがいに他のメダカが割り込むケースもあることから考えると,産卵の後に精子を出すのでしょう。 また,魚の精子は,魚の体内にあるときは活性していなく,体外で水に触れたら活性し,盛んに泳ぎ始めます。ですから,放精のタイミングが早いと,精子も広がりすぎてたまごと出会う確率は少なくなるでしょう。 たまごがある場所に向かって,たまごをめがけて放精した方が受精の確率は高いですね。 しかし,人間が合理的だと考える方法が,自然界の生き物にあてはまるともいえません。 時には,逆のこともあり得るのです。 この件について神奈川県教育センターの渡辺先生にも、問い合わせてみました。 (私が電話で,質問させていただきました。) |
神奈川の海野さん 「生命の星 地球博物館」という所の図書室に「メダカ学」と いう7000円くらいする分厚い本があったのを思い出しました。 メダカに関する本で、どちらかというと、素人が読む本ではなく、 眼球の断面図などがあって解剖学的なことも書いてある専門的な本です。 ... その中で、関係する所をコピーしてきたので、書き写します。 「1、受精 1、卵と精子の受精能力(寿命) 繁殖期(夏期)では、多くの雌は午前2〜4時に産卵する。 雌の産卵は、排卵後まもなく雄の交尾刺激で開始するが、そのとき卵は雄から放精される精子によって受精される。 交尾行動は雌雄の接触開始から産卵までは18.5±0.72秒間である(南部・細川、1964)。 雌は、排卵した卵を卵巣腔にもっていても交尾行動中の雄の刺激がないと産卵できない。 したがって、排卵以前に雄と離しておくと、雌は産卵予定時刻から12時間以内では放卵しない。 そのため、排卵後、少なくとも約12時間ごろまでは、受精が可能な卵を卵巣腔から得ることができる。 しかし、それ以上、雌を雄と離したままにしておくと、卵は卵巣腔内で過熟になり受精率や発生率の低下をきたすか、自然放卵がみられる。 自然放卵して泌尿生殖口にぶら下がっている未受精卵は、精子がかけられても、受精・発生を示さない。 すなわち、未受精卵は淡水中では短時間で受精能がなくなり、受精できなくなる。 (略) 山本(1943,1944)によれば、未受精卵を水道水中に放置した場合、それらの受精率(能力)が短時間で落ちる。 水に入れて30秒後は72%、1分後は56%、2分後は29%、4分後は6%で、6分後は0%である。 このように、淡水中で未受精卵の寿命が短いのは淡水と卵巣腔内液とにおける浸透圧の差に起因すると考えられた。」 この後は、同じ浸透圧の塩類溶液に入れておくと、長時間受精能力を保持できることが書かれていました。 この文章から判断すると、産卵と放精とどちらの方が早いのか分かりません。 そのため、地球博物館の研究員で、魚類担当の瀬能さんに聞いてみました。 今までの経緯をお話してみたところ、体内受精をする場合は別として、体外受精をする場合は、産卵と放精はほとんど同時ではないかとのことでした。 厳密には、産卵の直後に放精が始まるとのことです。 鮭などのように、卵を産み付ける場合には、産卵をした後で雄が精子をかけるが、一般には、雄の交尾刺激によって産卵が始まるのだそうです。 メダカの交尾刺激は雄がひれで雌を抱きかかえるようにするし、別な魚では、雄が雌の周りを回ったり、体の色を変えたりするそうです。 このことによって、雌は産卵を開始し、受精能力が落ちないうちにすぐに精子をかけるのだそうです。 埼玉県の鏑木さんの意見のように、一般の生息状況では水の流れもありますし、産卵した卵が、水中に散らばってしまうので、(メダカの場合はしばらくの間くっついていますが)雄が先に放精することはないだろうとのことです。 もし、雄が先に放精するのなら、そうしなければならない何か特別な理由があるはずで、普通では考えにくいとのことです。 この件について 神奈川県教育センターの渡辺先生にも、問い合わせてみました。 元神奈川県内水面試験場・現神奈川県水産総合研究所所長の城条さんにも,聞いてみました。 (メールより) |
神奈川県教育センター渡辺先生(メダカ先生) 「教科書の記述が異なっていることは,先生も以前から気が付いていたそうです。 どちらが正しいのかについては,それぞれ根拠があって書かれているのだろうし,渡辺先生自身は,このことに関しての知識やこれまでに論文を見たことはなく,はっきりしないそうです。 また,以前NHKの番組をビデオで見たところ,放卵の後に放精があったのですが,それがすべてのケースに当てはまるとは言えないそうです。 未だ実証されていない部分のようです。」 (山口さん・海野さんに問い合わせてもらいました。) |
元神奈川県内水面試験場の城条さんのお話。 (現在は、神奈川県水産総合研究所の所長をされています。) 「どちらも正しいし、どちらも正しくないとのことです。 方精が先だと記述した先生は、きっと観察した時に雄が先に方精をし、産卵が先だと記述した先生が、観察をした時に雄が方精をする前に産卵を始めたのではないかとおっしゃっていました。 これをどちらが正しいかどうかということに決着をつけるのなら方精と産卵のどちらが早いかデータをとって、それぞれの割合を調べなければならないとのことです。 でも、メダカの場合にはほとんど同時と考えた方がよく、魚の種類によっては、先に産卵をするものもいるし、逆に方精を先にする魚もいるそうです。 そして、最後には、どちらが先かは問題にするほどのことではないとのことでした。」 (海野さんに問い合わせてもらいました。) |
「A.精子が先」が正しい。 |
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「B.たまごが先」が正しい。 |
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観察&情報 |
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みなさま,色々な情報,本当にありがとうございました。 私も一度,自分の目で確かめてみようと思います。 (早く春にならないかな。) 情報の方は,随時募集しています!! |
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