ステロイド治療抵抗性の多発性筋炎/皮膚筋炎
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<この治験に対する宮坂信之先生(東京医科歯科大学医学部附属病院 膠原病・リウマチ内科)のコメント>
『筋炎』とは筋肉におこる炎症のことです。「多発性筋炎」は、上腕部や大腿部といった体に近い部分の筋肉が侵されることで筋力低下をきたす疾患です。また、これに特徴的な発疹を伴うものを「皮膚筋炎」といいます。
これらの疾患は、厚生労働省特定疾患治療研究の対象疾患に指定されており、原因は未だ不明ですが、膠原病の一種と考えられています。
多発性筋炎も皮膚筋炎もどちらも筋炎症状がおこる点では同じなので、よく一緒にして「多発性筋炎/皮膚筋炎」と表記されます(英語ではPolymyositis/Dermatomyositisなので、頭文字を取ってPM/DMとよばれることもあります)。
多発性筋炎/皮膚筋炎の治療薬としては、抗炎症作用と免疫抑制作用を併せ持つ「ステロイド薬」や免疫抑制作用をもつ「免疫抑制薬」が用いられます(ただし、免疫抑制薬は保険では認められていません)。しかし、これらの薬剤を用いるだけでは十分な改善が得られない患者さんがいらっしゃいます。また、薬剤の副作用によって継続して用いることができない患者さんもいらっしゃいます。
このような"治療抵抗性"の患者さんには「ガンマグロブリン大量静注療法」が有効な場合があります。しかしながら、日本では保険適用はなく、現在適用を拡大するために「治験」を行っています。
なお、これまでに実施された治験において、"治療抵抗性"の多発性筋炎/皮膚筋炎の患者さんに対してきわめて高い有効性を示唆するデータが得られています。また、この治療が有効であることが世界中で数多く報告されています。
「ガンマグロブリン大量静注療法」は高価であり、必要とされる患者さんに用いられるためには、多発性筋炎/皮膚筋炎に対する保険適用を受ける必要があります。現在、ステロイド治療抵抗性の患者さん(悪性腫瘍や急性間質性肺炎などの合併例を除く)を対象とした治験が実施中であり、この治療の有用性が確認され、保険適用が認められることになれば、患者さんにとっては朗報であり、治験を行う意義は大きいと考えられます。