雨宮淳司
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恐怖箱水呪 雨宮淳司 竹書房文庫
「老いて来る」

坂上さんの家の近くに老人ホームが立った。
ある日、奥さんが帰宅すると老婆が家の中にいた。
鍵がかかっているのに、どうやって入ったのか・・・
老人ホームへ連絡すると係員が直ちに迎えに来た。
低姿勢でお詫びを何度も言って、老婆を連れ帰った。
数日後、今度は剥げた老人が玄関で糞尿を垂れ流していた。
どうやって入ったか不明だが、今度は御主人が怒り狂い、玄関掃除はもちろんのこと
家のカギ全てを老人ホームに交換させた。
その後、何事もなく数ヶ月が経過したある日、家の中に薄汚れた浴衣を着た老婆がいた。
奥さんは早速老人ホームへ連絡を入れたが、食事中ということで全員の確認が取れて
いるので脱走している老人はいないということだった。
御主人に相談してみると・・・・幽霊かもしれない・・・・
御主人は曰く、老人ホームもこの家も生活排水の川が下に流れていて、昔はその川で
増水があると必ず老人が何人も亡くなっていることを父親から聞いていたとのこと。
この川の幽霊が老いた人間を川に引っ張り込むため、川に蓋をしたと。
御主人も奥さんも老齢と言わないまでも、近い年齢であるため、この点を考えた。
この家に老人の幽霊が出たということは、引っ張りこまれる可能性があるということ。
坂上さんは家と土地を売り払い、実家の近くのマンションに住んでいる。

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恐怖箱魔炎 雨宮淳司 竹書房文庫
「衿」

宮里さんは、車での独り旅の途中で車が故障、修理に2~3日かかるとのことで
『おひとり様歓迎』と出ていた宿に泊まることにした。
宿に向かう途中、1対3で喧嘩になりそうな女子校生『津田茅』を助けたことから
仲良くなり、祖父の形見の人形が起こす騒動を静めていること聞く。
車の修理が終え、帰宅する前に彼女と食事をした。
その時、彼女が諳んじた『文天祥』が記憶に残った・・・
別れ際、携帯電話を持っていないということで、彼女の家の電話番号を聞いた。
帰宅して数日後、夢に旧日本軍の男たちが『文天祥』を諳んじる姿が出て来た。
そして、マスコットのキーホルダーがカサゴソと動き出す・・・・
何か、『津田茅』とのことで自分が操られている気がして、自宅へ電話をした。
祖母らしい人が出て、独りでしゃべる言葉から『津田茅』の危機を悟る。
そのまま車で現地に行き、別荘地で彼女の危機を救った。
彼女の家に行くと、祖母が彼を命の恩人と称し、何泊でもしていくように言う。
何泊目かに祖母がある写真を持ってきた。
その頃には、宮里さんの祖父と津田茅の祖父に繋がりがあろうことは予想できた。
そして、祖母がなくなり、彼は葬儀を仕切ることになる。
帰宅後、宮里さんの両親に津田茅を紹介すると、大喜びで迎えた。
やがて、宮里さんは有名私立大医学部へ通うため下宿。
津田茅は宮里さんの地元の短大に通うようになる。
祖父がそれぞれの孫を娶せた・・・・

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恐怖箱風怨 雨宮淳司 竹書房文庫
「あとがき」

著者が風に纏わる怪談として最初に思い出すのは 『ある港町の旅館に幽霊が
出るのだが、出現時に必ず凄い突風を伴って現れる』という古い噂話である。
当然、旅館の中で突風が起こるはずはないという否定要素はある。
ところが、以前、書いたが1度金縛りになったとき、顔面に息継ぎができないくらいの
風を吹きつけられたことがあった。
吹きつけられている最中に 『これなら、あの話もアリだな』 と思った。

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恐怖箱哭塊 雨宮淳司 竹書房文庫
「田舎の事件」

九州のある町でのこと。
その町に住んでいた体験者が中学生の時に、殺人事件が起きた。
女性が刺殺され、犯人は夫とわかり、すぐに逮捕。
その後、その家に女性の幽霊が出ると噂になった。
昼間、その家の前を通るが何も起きないので、同級生と夜、行くことにした。
夜十時に待ち合わせの場所へ着いた3人は、各々が乗ってきたサイクリング自転車で
現場へと向かう。
問題の家までは、自転車を置き、歩いた。
すると、十メートルほど先から白い浴衣姿の若い女性と思われる人影が来る。
急に足早になった白い女に気づいた3人は、逆方向へ走って逃げた。
『見世物じゃない』
女はそう言うと、近くにあったテントの桁を引っこ抜いて3人へ投げつけた。
それは、1台の自転車に当たり、ウインカーが壊れた。

月日は流れ、高校を卒業した3人は、一人が買ったハコスカでドライブへ行くことにした。
深夜、忘れていた家の前を通ると、物好きな一人が降りてみると言う。
仕方なく車を止めるが、すぐに乗るように急かした。
『たから、見世物じゃないと言ったろう!』
あの時の女の声が耳元で響いた。
車を急発進させて逃げたが、後で見ると車の後部のトランクの辺りがバイクで
突っ込んだように凹んでいた。

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恐怖箱怪癒 雨宮淳司 竹書房文庫
「蛇の杙」

雀荘で、おそろしく麻雀が強い女性から聞いた自身の体験談。
彼女が中学生の時、実家に幽霊が出だした。
それは、彼女の双子の姉妹だと知ることとなる。
生まれる際、二人の首が絡まっていたことから首を切られた・・・
そして、自分だけが生を受けた。
医療の専門学校に行くようになって、チンピラ風の男に声を掛けられる。
『生首を背負っている』のが見えるという。
そして祓うことも出来ると言う。
彼女は父親に相談の上、払ってもらうことにした。
祓ってもらった数日後、再度、チンピラ風の男に声を掛けられ
そのままなんとなく付き合うようになる。
専門学校をやめ、男と同棲。
賭け事で稼ぐ男で、麻雀は男に教わったとのこと。
しかし、ある地点から賭けに負けるようになり、借金が増えた。
もう、どうにもならないとなった時、姉妹の霊に操作されていることに気づく。
すると、生首姿の姉妹の霊が姿を現し
『妬ましい』と言いながら彼女の意識を朦朧とさせ始める。
これで取り殺されるんだと思った時、首のない童子が現れ印を結ぶと
生首の霊は真っ二つに弾け飛んで消えた。
それからは、賭け事で稼ぐ生活に戻って、男と結婚したとのこと。

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恐怖箱怪痾 雨宮淳司 竹書房文庫
「集団肖像画」

ある呪いにより一家全滅した家族の謎を解明しようとした浪人生と高校生。
解明してみれば、この呪いは自分の素数年齢と素数年が交差した年に
亡くなってしまうというもの。
現に、高校生一家は全滅。
話を聞いてしまった著者も例外ではなく、67歳で死ぬとだろうとのこと。
事情は知らなくても、この話を聞いただけでも何人もの人が死んでいる。

あなたは、この本を読みますか?

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恐怖箱怪医 雨宮淳司 竹書房文庫
「ぞろびく」

九州の病院での話。
五十代後半の女性が入院していたが、<足がぞろびく>としきりに訴えていた。
整形外科で痛み止めの注射をされたが、それでも<足がぞろびく>は
治まらないようだった。
<足がぞろびく>とは九州の方言で、自分の足より丈の長いズボンをはいて
裾から足を出さないまま引き摺って歩いている状態のことだそう。
ある日、患者である彼女がある看護婦の女性をからかって逃げた。
それをからかわれた看護婦が追うという展開。
女性患者は普段から<足がぞろびく>の状態だったので、歩みがとても遅い。
看護婦は余裕で追いつくと思っていたが、1歩踏み出した途端に
足に重いものが乗っているかのような状態に。
とてもスローな追いかけっこが始まった。
すると、突然看護婦は自分の足に向かって
『きえぇぇぇ~!』と気合を発した。
すると「ぷちっ」と音がした。
皆は看護婦のアキレス腱が切れたと思った。
次の瞬間、看護婦は軽い足取りで歩き出した。
そして、女性患者に追いつくと、軽く耳打ちをした・・・
すると女性患者も軽い足取りで歩き始めたではないか。
<足がぞろびく>は霊の仕業だったという話。


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