百目鬼野干 |
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| 怪談 四十九夜 鎮魂 黒木あるじ監修 「いちげん」 百目鬼野干 いちげんが来ましてね。 他に客もいなかったから、静かに呑んでくれるならってことで入れたんです。 黙ったまま、高い酒ばかりを呑んでくれたんです。 酔いが回ってきた頃、その人が顔を上げて棚に預けた鞄を指差したんです。 『マスター、俺がここへ首を持って来ていると云ったら驚くかい?』 なので、私が 『いえ・・・・・・短い髪の眉の上に薄く傷のある女の人のものですよね』 それを聞くと顔色を変えて出て行っちゃった。 その人が店に来て暫くすると壁の小さな鏡の端に、その人を睨む女の顔が浮いていたので 見たままを云っただけなんですけどね。 |