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福澤徹三




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福澤徹三
平山夢明

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平山夢明
FKB ふたり怪談 肆 福澤徹三 平山夢明 竹書房文庫
「訃報」 福澤徹三
健康食品会社を経営するJさんの話である。
昨年のこと、事務所のファックスに訃報が送られてきた。

父○○○○儀、○月○日 ○時○分、永眠いたしました。
ここに生前のご厚誼を感謝し、謹んでご通知申し上げます。

ところが亡くなったのは知らない人で、喪主についても同様。
おまけに通夜の日付は一週間後の日付だった。
送信間違いに、日付までおかしいとあっては必要ないと思い、ゴミ箱に捨てた。
一週間後、近所に住んでいる父が喪服で店に顔を出した。
これから知人の通夜に行くとのことで、先日のファクスを思い出した。
『ねえ、○○さんて知ってる?』
父が通夜に行く家が○○さんとのこと。
父によれば、○○さんはおととい急に倒れて、そのまま亡くなったという。
訃報のファクスが来た時点では○○さんは生きていたことになる。
ゴミ箱を探したがファクスは見つからなかったという。

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怪談実話集 S霊園 福澤徹三 角川ホラー文庫
「一四六番」
銀行に勤めるNさんの話である。
彼女の夫は自動車学校の教官だが、数年前に同僚のOさんという男性が急死した。
あとひと月で定年退職する予定だったが、学科教習の最中に倒れて亡くなった。
『おれは定年したら、バイクで日本全国を旅するんや』
Oさんは口癖のようにそう言っていただけに、皆気の毒に思った。

Oさんが亡くなってひと月ほど経った頃、ちょっとした異変が起きた。
自動車学校には、仮免許実施試験の合否を表示する掲示板がある。Nさんの夫の勤務先では
一から二百までの数字が掲示板にならび、合格者の番号が点灯する仕組みだ。
ところが、なぜか一四六番のランプだけが切れてしまう。電球を換えても、まもなく切れるので
業者に修理を依頼した。
業者は掲示板を入念に点検したが、どこにも異常はないという。
にもかかわらず一四六番のランプは点灯しない。
一同が首をひねっていたら・・・・『あーっ』と経理の男性職員が叫んだ。
その職員によれば、亡くなったOさんの教官番号が一四六番だった。
その後、校長の指示で職員全員が参加して、お祓いが行われた。
それ以来、一四六番のランプは正常にもどったという。

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怖の日常 福澤徹三 角川ホラー文庫
「浴室」
雑貨店に勤めるTさんが棚卸のため、深夜に自分の賃貸マンションに帰宅したときのこと。
帰りに買ったコンビニ弁当で遅い夕食をすませたあと、風呂に入った。
浴槽の中で疲れた躰を伸ばしていると、首筋に水が弾けてひやりとした。
天井を見上げると、びっしり水滴がついている。
換気扇は回してあるし、ほとんど湯気もたっていない。残暑が厳しい季節なのに、これほど
水滴がつくのは不自然だった。
奇妙に思いつつ天井を見ていたら、いきなり躰がのけぞって浴槽のふちで頭を打った。
なにが起きているのかわからないまま、顔がざぶりと湯の中へ沈んだ。あわてて浴槽の
ふちに両手をかけて躰を支えた。
次の瞬間、なにかが足を掴んで両足を引っ張っているのに気付いた。
『いやあああっ』
Tさんは金切り声をあげて、両足をばたつかせ、裸のまま浴室を飛び出すとバスタオルを巻いた。
気持ちが落ち着くのを待って、浴室のドアを開けたが、何も異常はなかった。
けれども、頭には瘤ができていて、両足の足首にはうっすらと痣があった。
それ以降は何もないので、今でも住み続けているという。

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黒い百物語 福澤徹三 角川ホラー文庫
「見知らぬ男」
Tさんの母は、ときおり奇妙なものを見るという。
あるとき、母が家に見知らぬ男がいると言い出した。
突然現れては、家内をうろついて消えるというから生きている人間ではない。
知り合いのユタに相談したが、正体はわからなかった。
『でも、悪い感じのひとじゃないらしいです。何か言いたそうな顔をしているって』
ある日、父の運転で車を走行中、ふと母は窓の外になにかの気配を感じて路肩に目を
やると、そこには件の男がぼんやり佇んでいた。
なぜ、家ではなく、こんな場所に現れたのか?と疑問に思っていると・・・
『父の兄が18歳の時にバイク事故で亡くなったという話を思い出したそうなんです』
とはいえ、事故が起きたのは結婚前で、母は父の兄とは面識がない。
母は父に車を停めさせて・・・
『あなたのお兄さんが亡くなったのは、このへんじゃないの?ってー』
男が佇んでいたあたりを指さすと、父は血相を変えた。
それで、ようやく若い男が誰なのかがわかったという。

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忌談 福澤徹三 角川ホラー文庫
「指輪」
ある有名ジュエリーブランドに勤務するTさんの話。
3年前、彼女はファッションビルの直営店で店長をしていた。
ある日、私服の刑事が来て責任者に会いたいというのでTさんが対応した。
刑事は指輪を差し出すと、遺体で見つかった女性がしていた物だという。
女性は死亡してからかなりの時間が経過していること、服、所持品がないことから
身元がわからないため、指輪が唯一の手掛かりで刻印されたブランド名を頼りに
店に足を運んだとのこと。
しかし、人気のデザインの上、販売していた店も多かったことから指輪だけで女性の
身元がわかるはずもないとTさんは思った。
無駄だと思いつつ指輪を手に取ると、指先に電流のようなものが走り、Tさんの脳裏に
女性の顔と名前が閃いた。
販売履歴で調べると、常連客でもない女性の顔と名前がなぜ閃いたのか、自分でも
不思議だし、刑事は簡単に身元がわかったので半信半疑の心持で帰って行った。
その日からTさんの体調に変化が起きた。手から肩に掛けて痺れるように重い。
あの指輪に触れてからと思うと不気味だった。
そのうちにTさんが病気やけがに見舞われた。
しかし、ある程度日にちが経つと奇妙なことがわかった。
結果的に事故や病気のおかげで、より大きな病気、事故から逃れていたのだ。
体調がよくないのに営業成績が上がったり、思わぬ臨時収入があったりもした。
指輪の件からしばらく経って、あの刑事が再び店に現れた。
『おかげさまで事件がすべて解決しました。ご協力に感謝します』
刑事がお礼を言った瞬間、指から肩にかけての重い痺れが消えた。

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忌談2 福澤徹三 角川ホラー文庫
「おしいれ」
主婦のFさんの話である。
その日の明け方、ひたひたという足音で眼が覚めた。
足音が聞こえる部屋の襖を開けると、三歳になる息子がぼんやり立っている。
『どうしたん。そんなとこ立って』
Fさんが訊くと、息子はとことこと歩き出し、壁に手を当てて扉を開けるような仕草をする。
『ねえ、なにしてんの』
『おしいれあける』
『そこは押し入れやない。壁よ』
『おしいれあける』
仕方なく、押し入れの戸を開けて
『はいはい、押し入れはここよ』
中には夏物の布団を圧縮して入れてある。息子は、この上にもぐりこんだ。
次の瞬間、ぐらぐらぐらっ と激しい揺れが起きた。
あわてて床にしゃがみこんだ時、洋服箪笥が倒れて息子のベッドを押しつぶした。

あとで息子に聞くと、押し入れに入った記憶は全くなかった。
阪神淡路大地震の時の出来事だという。三

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忌談3 福澤徹三 角川ホラー文庫
「ひきこもり」
自動車工場に勤める、二十代後半のOさんの話である。
彼は三年前までひきこもりだった。
大学を出て就職したが一年で辞め、ちょうど腕利きの機械工だった父が急死したのもあって
実家に戻った。
そして、働こうともせずにネットゲームにはまり、家の金はおろか、金になりそうな物は全て
売り払った。
売るものがなくなり、仏壇の引き出しに貴金属でも入ってないかと思い、引き出しを開けた。
しかし、中には数珠や線香の類しか見当たらない。
仏壇は閉まっていたが、もしかしたら金目の物があるかもしれないと扉を開けた。
次の瞬間、仏壇の棚に並んでいた位牌がいっせいに転げ落ちて来た。
『もう、なんなんだよー』 と毒づいたが、まだ新しい父の位牌が膝の上に乗ったのを見て
怖くなった彼は、二階の自分の部屋に駆けあがった。
すると、閉め切っていたはずの窓が全て開いていて、春の風が吹き込んでくる。
その風は、幽かに整髪料と機会油の匂いがした。
『子どもの頃に嗅いでいた親父の匂いでした。あんなに嫌いだったのに涙が止まらなくて』
その日を境にひきこもりをやめたが、母には理由を話していない。
なので、Oさんは毎朝、母が見ていない隙に仏壇に頭を下げるという。

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忌談4 福澤徹三 角川ホラー文庫
「首なし地蔵」
女子大生のYさんの話である。
去年の夏、彼女は同級生の女の子三人で『首なし地蔵』へドライブに行った。
地蔵の首が無くなった原因については、幕末に長州軍が首をはねたとか、諸説あるらしい。
三人は山の途中で車を降りると、細い坂道を登った。
三人で話しながら歩いていると、背後でキーキーと何かが軋む音がする・・・・
振り返ると、車椅子に乗った老人がかなりの勢いで近づいてくる。
三人は、老人に道を譲り、老人の行方を目で追った。
首なし地蔵までは一本道なので、じきに老人に追いつくだろうと思っていた。
ついに首なし地蔵に着いたが老人の姿はなかった。
ここから先は行き止まりなのに、老人は何処へ消えてしまったのか。
三人は怯えながらも、首なし地蔵の前で記念撮影をして帰路に着いた。
ところが、撮った写真を確認すると、首がないはずの地蔵に首があった。
ただ、実物の地蔵に首が復活しているのかどうか、たしかめる勇気はないという。

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忌談終 福澤徹三 角川ホラー文庫
「同居人」
建設会社に勤めるEさんの話。
四十年ほど前、当時、中学生だったEさんの実家の近くに二階建てのプレハブ住宅があった。
住人は、四十台後半の夫婦と七十台前半の老婦人の三人だった。
Eさんが高校二年の時、その住宅が全焼した。
焼け跡からは三人の遺体が発見された。
検視の結果、夫婦は火災による一酸化炭素中毒だったが、老婦人の死因は不明だった。
『近所のもんに聞いたら、遺体はミイラ化していたらしい』
つまり老婦人は火災に遭う前・・・・それもかなり前に亡くなっていたことになる。
遺体は古いうえに炭化していて、死亡時期はわからなかった。
Eさんは火災のひと月ほど前に、三人が庭にいるのを目撃している。
『でも、うちの親も近所のもんも、あの家には夫婦しかおらんやったて。なら、俺が見たのは
なんやったんやろう』

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黒本 平成怪談実録 福澤徹三 新潮文庫
「三周目」
年配の男性の若い頃の体験。
当時、住んでいた実家の近くに、奇妙な言い伝えのある神社がある。
その言い伝えとは、本殿の周りを三周すると神隠しに遭うというもの。
ある夜、酔った勢いで5、6人で本殿を周ることになった。
しかし、酔っているため二週が限度で皆、脱落していった。
そんな中、一人だけ三周目に突入。
しかし、いくら待っても本殿の後ろから出てこない。
痺れを切らした仲間が探したが、行方不明。
しかたなく、家に帰ろうとした途中で、土管から這い出てくる行方不明の
友人を発見。
話を聴いてみると、本殿を周る三周目に入ったところからの記憶がないと言う。

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怪談実話 盛り塩のある家 福澤徹三 メディア・ファクトリ
「贈りもの」
飲食店に勤めるKさんの話である。
彼女は若い頃、バーを経営するAさんという男性にピアノを習った。おかげでピアノは
弾けるようになったものの、どういうわけか楽譜 ― 譜面がまったく読めなかった。
譜面が読めない場合は何度も聴いて耳でおぼえるものらしい。
Kさんはアルバイトで、ときおりクラブやラウンジでピアノを弾いていたが譜面が
読めないせいで客のリクエストに応じられないこともしばしばだった。
最近になって、ピアノの師匠であるAさんの店でアルバイトをすることになった。
ピアノを弾いていた人物が急に辞めたので、その代わりを務めるのだが
話が決まった矢先にAさんが入院した。
Kさんが見舞いに行くと、Aさんはベッドに横たわったまま
『きみとはもう逢えんが、がんばってくれ』
Kさんは驚き、縁起でもないことを言わないでくださいとたしなめた。
しかし、それから何日も経たないうちに亡くなった。
Aさんのバーは家族が経営を引き継いだので、Kさんは予定通りピアノを弾いていた。
そのときに、あることに気付いた。いつの間にか譜面が読めるようになっている。
譜面を見ただけで、どんな曲でも弾ける。
突然の変化に驚いていると、Aさんを見舞いにいって、手を握られた感触が蘇った。
『先生からの贈りものだと思うんです』

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怪を訊く日々 福澤徹三 メディア・ファクトリ
「おまえをつれていく」
話を訊いた女性の高校時代の友人の体験。
とても明るかった友人が、ある日を境に暗くなっていったという・・・

その原因は・・・・
夢に幽霊が出てきて
『おまえをつれていく』と言われ続けているため、怖くて寝られないというもの。
母親に相談すると、お札を買ってきてくれた。
お札をベッドの下に貼ると、幽霊は出なくなり、彼女はぐっすりと眠ることが出来た。
しかし、数日経つと、幽霊ではなく、死神が夢に現れた。
タロットカードの絵、そのもの姿だったとのこと。
そして
『おまえをつれていく』と言われた。
彼女は必死で『いきたくない』 『いきたくない』と夢の中で抵抗した。
すると、母親が夢の中に現れ
『この子はだめ。どうしてもつれていくなら、私を連れていきなさい』と言った。
翌朝、目が覚めると母親が隣の部屋で寝ていたので安心した。
けれど、触ると既に冷たくなっていたと言う・・・・

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黒い百物語 叫び 福澤徹三 メディア・ファクトリ
「泣き叫ぶ島」
Tさんが、N県I島という島へ取材で訪れたときのこと。
そこには、付近の住民が絶対に触れてはならない石の塚があるのだが
同行した不心得者が塚で用を足した。
周りが止めても聞かなかったとのこと。
その時は何も起こらなかったが、夕刻になると島の中心にある山から声が聞こえる。
『おぎゃ~、おぎゃ~』
その声は大きくなり、島全体を揺るがすほどになった。
待っていた迎えの船が、ようやく着いた。
船頭は、船の故障で遅くなった言い訳をしてから
『あんたら、何かいらんことをしたやろ?』
Tさんたちを、じろりとにらんだ。
I島は、かつて付近の島で間引きした子供の捨て場所だったといわれている。

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怪の標本 福澤徹三 ハルキ・ホラー文庫
「怪の標本」
高校時代の友人T君の話である。T君の家は、地元でも有名企業を経営しており、閑静な住宅街の
一角に位置する日本家屋の豪邸だった。
その家に車が突っ込んでくる事故の件数が尋常ではない。T君が物心がついてから高校生までに
三十台近くの車が突っ込んできたという。
T君の家には不思議なことがもう一つあった。
T君には二つ年下の弟がいたが、弟の部屋から夜中に笑い声がするという。
T君が一階の部屋で受験勉強をしていると、二階の弟の部屋から笑い声が聞こえてきた。
友人を呼んで騒いでいるのだと思い、ソロリソロリと足音を忍ばせて階段を上がると、いきなり
弟の部屋をガラリと開けると怒鳴った。
『兄貴が勉強しよるのに、夜中に何しよるんじゃお前は!』
弟は布団の中から跳び起きて、何が起きたのかわからない様子で眼を擦っていた。
『友達を一瞬のうちに、どこに隠しよるんかわからん。不思議やけど犯人はあいつしかおらん。
ふてえ奴じゃ。いつか現場を見つけたら、どやしあげてやらないかん』
T君は寝不足の赤い眼をして、よく学校で毒づいていたが、ついに現場を取り押さえることは
できなかったらしい。
その後、父親の話で、笑い声は生きているものの仕業ではないことが知れたとのこと。

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いわくつき 日本怪奇物件 福澤徹三 ハルキ・ホラー文庫

直進道路なのに何故か、落下事故が多い東京都足立区のK北橋。
管理人が隣の区に住んでいる時は幽霊が出る橋と言われていましたよ。
何度か、この橋を歩いて渡りました・・・・もちろん昼間・・・・


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