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平山夢明



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瞬殺怪談 死地

平山夢明

平山夢明
瞬殺怪談 死地 平山夢明 他 竹書房怪談文庫
「深夜」 平山夢明
『いや、まいったよ』 とタナカは云った。
先日の夜中、十台のタクシーに乗車拒否をされたのだという。
一時間程が過ぎ、ようやく停まってくれた運転手が 『誰も停まらなかったでしょ』 と笑った。
『ええ』
『だってお客さん、血まみれの女が載っかってんだもん。無理だよ、無理』
その日、救急で運び込まれた患者のことだった・・・・彼女は手当の甲斐なく亡くなった。
『私は昔っから、よく見る方だから平気』
運転手はそう云うと車を出した。

平山夢明

平山夢明
瞬殺怪談 斬 平山夢明 他 竹書房文庫
「おんなのひと」 平山夢明
お風呂場にいる女の人はだんだん薄くなっている。
そう力説する娘の言葉を、瑕疵物件と知って購入した自分は強く否定できない。

平山夢明

平山夢明
FKB懺・百物語 平山夢明監修 竹書房文庫
「三階」 平山夢明
深夜、終電で帰って来たが、運動不足解消にエレベーターを使わずに三階の自室まで
階段を使った。
途中、降りてくる女の人がいた。
見知らぬ女だった。
軽く会釈した。
と、すれ違ったはずの女がついてくる。
三階の廊下に出た。
女は2メートルほど後ろにいた。
急いで部屋に入り、鍵を掛ける。
気持ちの悪い女だとドアスコープで確認すると姿は消えていた。
ホッとして振り返ると

部屋の真ん中に立っている・・・・

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福澤徹三

平山夢明
福澤徹三
FKBふたり怪談肆 平山夢明 福澤徹三 竹書房文庫
「気遣い」 平山夢明
真田さんは冬になると山に入りたくなるという。
そして、テントに泊まり、満天の星を満喫する。
ただ、変なことも多いと。
テントの中にいると下の方から話し声が聞こえてくるという。
大勢の声もあるし、二~三人の声の時もある。
いずれも下から上がってきて、テント脇すれすれを歩いて行く。
本物の人なんじゃないですか? と聞いてみたが、早朝ならまだしも真夜中に登る者は
いない。現に、外を見ても凛と張り詰めた空気があるだけで人の気配はない。
隠れたにしろ、雪原に足跡を残さないなどありえない。
『今年の春、中央アルプスに登った時のことなんです』
真夜中にふっと目が覚めると、誰かがテントの脇を歩いている気配がする。
怖いと思った・・・その瞬間に大きなくしゃみが聞こえてきた。
怖さが薄らいだためか、反射的に
『お大事に!』 と声をかけていた。
翌朝、テントを出ると足跡ひとつない雪の上に柿が三個置いてあった。

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平山夢明
FKB怪談実話饗宴5 平山夢明  竹書房文庫
「一度だけ」 平山夢明
『一度だけ、この人ホントに死ねばいいのにと思ったことがあるんです』
近衛さんは大学時代に妻子ある人とお付き合いをしていた。
二年ほど経った時、彼女は妊娠。
産む決心を彼に伝えると、奥さんから呼び出しがあった。
『認知させない』 『恨みを差し込んでやったから、その子はまともじゃないよ』
そう言うと相手は立って出て行った。
二週間後に彼女は流産、こどもには一目でわかる障害があった。
部屋に帰り、腹がしくしくと痛むと彼女は声を殺して泣いた・・・と突然、物凄い怒り。
そして、妻に呼び出された時のことが思い出せれてきた。
自分を品定めするような目つきには軽蔑の色、毛穴の開いた脂ぎった丸い顔。
『しねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしね』
彼女は絶叫し、いつの間にか寝てしまっていた。
翌日、起きると夕方の4時を過ぎていた。
『あいつ、死んじゃった』と彼からメールが来ていた。
それから、彼のメール、電話は全て無視した。
夏の始めころ、雷が夜に鳴っていた。
次のは大きいと思って身構えていると、一瞬の稲光に照らされた目の前のガラスに
自分の後ろで憎悪をむき出しにした丸い顔の女が立っていた。
振り返ると黒いものが周囲に飛び散った。
以来、腰まであった髪はシュートカットへ・・・もう髪を伸ばす気はないという。

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FKB怪談実話饗宴4 平山夢明  竹書房文庫
「夜中のこと」 平山夢明
里見さんが彼と渋谷のラブホテルに泊まったときのこと。
『夜中にふと気付くと彼が腕枕をしてくれていたんですね。寝てから時間も経っていたし
悪いなあと思って外そうとしたら』
その瞬間、彼が≪うう~≫と短く呻いて反対側へと値返りを打った。
『でも、腕枕はあたしの首の後ろに、しっかりされていたんです』
≪えっ?≫と思った瞬間、回されていた指が動いて彼女の肩を、ぎゅうと抓ったという。
それだけで彼女は気を失ってしまった。

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FKB怪談実話饗宴3 平山夢明  竹書房文庫
「硯」 平山夢明
吉田の曾祖母は、実家が神社だったため、年頃の時は巫女をしていた。
その関係から、川が氾濫することを予言したり、近所の田畑に病気が蔓延するのを
知らせたりしていた。
そんな曾祖母が吉田にこんなことを告げた。
『おまえ、すずりなんぞいじっているとろくなことにならんぞ』
そのことを聞いてから、習字も墨も遠ざけた。
その年に曾祖母は亡くなった。
それから数十年経ち、結婚して子供もでき、幸せに暮らしていたある日
妻から携帯電話に電話がかかってきた。
五歳になる娘が、また帰宅しないと言う。
あれこれと電話で受け答えをしていると、突如
『ごらぁ~』という怒号とともに座席が強く蹴られた。
慌てて急ブレーキをかけると、フロントに手をかけた娘が車の下へと消えていった。
急いで車から降りて、娘を助け起こすと足の擦り傷だけで済んでいた。
その時、座席に置き去りにした携帯電話は確かに『すずり』に見えた。
携帯電話を知らないで曾祖母は、携帯電話が硯としか見えなかったのでしょう。 

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FKB怪談実話饗宴2 平山夢明  竹書房文庫
「おとしもの」 平山夢明
まだ、小学校に上がる前に母の実家に帰省した時の大橋さんの体験。
深夜、目を覚ました。
すると、彼女の横で寝ていた母親の首に蛇のような物が付いていた。
手で払おうとするとが、その時、何者かに肩を捕まれた。
振り返ると、顔の無い僧衣を纏ったものがいた。
顔があるであろう位置には筋が走り、やがて筋が上下に開くとテニスボールくらいの
目玉がひとつ現れた。
『口をきいてはならない』 自分の頭の中に響く声を聞いて間もなく、彼女は気を失った。
翌日、母親に夕べの話をしたが、仏間があった場所だから何が出てもおかしくないと
いうようなことを言われた。
その後、昼食を取って昼寝をした。
ふとした気配で目を覚ますと、彼女の前に背を向けた母親が縫い物をしているようだった。
そして、ごとんと大きな振動がして何かが床に落ちた。
それはゆっくり転がり、彼女の背中へと移動した。
『ねえ、ねえ』 母親の声だった。
目の前にいた母親の姿は消えていた。
『ねえ、ねえ、死んじゃうよ』
言い終えると、彼女の肌を服越に噛んできた。
悲鳴をこらえた彼女は気を失った・・・・

その母親が、その頃、彼女に内緒で子供を堕ろしたということを知ったのは、それから
30年以上経ってからのことだった。

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FKB怪談実話饗宴 平山夢明  竹書房文庫
「またがり」
結城さんは関東近郊にある看護学校を卒業した。
卒業後、仲間の一人からSOSが入った。
勤務が厳しすぎて体調を崩してしまって何日か休むように言われたが、その間助けて
くれないかということだった。
彼女が勤めていたのは親戚が経営する個人病院だったこと、暇な時期だったこともあり
一週間くらいなら休んでも良いとの許しが出た。
彼女が向かったのは、横浜の産婦人科の夫婦で営む個人病院だった。
二年ぶりに会った友人は、かなり痩せて目の下には黒々した隈が出来ていた。
病院の仕事は堕胎・・・彼女から説明は受けたが実際にやってみると精神的に辛い。
特に辛かったのは胎児の始末と器具の洗浄。
そんな彼女を見ると、院長夫人がヒステリックに『仕事でしょ!ちゃんとして!』と叫ぶ。
病院内の部屋で寝ていた、ある夜 『ぜぃぜぃ』という音で目覚めた。
すると、目の前によちよち歩きの赤ん坊が結城さんの顔を覗きこんでいた。
そして『ポン』という音とともに、赤ん坊からひも状の物が彼女の顔に落ちてきた。
それは、赤ん坊の手足だった・・・・
『いや~』 と声をあげて、赤ん坊の顔を押す・・・・
その瞬間、風が全身を打った。とっさに、足の間にあった硬い物を握りしめた。
『あたし、病院の屋上のフェンスをまたいでいたんです』
屋上に出た記憶はない・・・恐ろしくなった彼女は病院を出るとファミレスへ向かった。
次の日からビジネスホテルに泊まった。
約束の一週間が経つと、夫婦は彼女を慰留しにかかった。
給料は良かったが、彼女は断った。
『死んだら、元も子もないですから・・・・』
友人も半年ほどで、その病院を辞めたとのこと。

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ずっと、そばにいる 平山夢明 他9名競作 角川文庫
「忘れ忘れ」 平山夢明
友田さんの高校では一人一人に密閉式のロッカーが与えられていた。
ハリウッド映画に出てくる高校生が使うタイプのもので、置かれていた場所も映画と同じ廊下だった。
夏休みのこと。
テニス部の練習が終わり、駅に着いたところで、ロッカーに忘れ物をしたことに気付いた。
既に時刻は七時をとうに回っていたので、一緒に戻ってくれるという友達を断って
彼女は一人で校舎に入った。
ロッカーの鍵はダイヤル式だ。
しかし、慌てていたのと暗いせいで、なかなか開かない。
『もう』
思わず、そんな苛立ちの声を吐いた後で足下に目が行った。
暗くて気付かなかったのか、黒いものが溢れていた。
ロッカーの扉の下から自分の足のくるぶしまで黒髪で埋まっていたのだ。
『モオウリヤヤッサーン』
突然、大勢による外国語のような叫びが廊下の奥から轟いた。
すると、髪がロッカーの中へ一気に引き摺り込まれ、同時に全てのロッカーの扉が一斉に開いた。
雷のような音だったという。
それからは、学校に忘れ物をしても、それを忘れることにした。

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怪談実話系2 平山夢明 他 メディア・ファクトリー
「きんつば」 平山夢明
青木さんは、祖父が食い道楽に入るのではないかと話した。
安くておいしいものに目のない人だった。
値の張るものには見向きもしなかったが、貰い物であれば喜んで食べた。
そんな爺さんがいけなくなった。
人柄はとても優しく、面倒見も良かったので見舞いに来た者は爺さんの好物を携えて
きたが、既に医者から絶飲絶食を実行されていた。
そして、いよいよいけなということになって親族が病室に集まった。
なかのひとりが、爺さんが喉から手が出るほど食べたがっていたきんつばを病室に
持ち込んできた。
死の間際、一瞬、爺さんの意識が戻り、皆をぐるりと見渡すと・・・・
『きんつばか・・・うめえなぁ~』
と呟いて息を引き取った。
その後、皆できんつばを食べようと箱を開けた長男が アレッ と声を上げた。
見れば、隅のきんつばに、ひとかけ齧られた跡がくっきりと残っていた。
さずがは爺さんだと、湿っぽい空気が一瞬にして和んだ。

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怪談実話系ベスト・セレクション 平山夢明 他メディア・ファクトリ
「窓」 平山夢明
川端さんは昔、ボウリング場で働いていた。
副支配人という仕事の性格上、平らな社員よりも責任が重く、支配人よりも忙しかった。
彼の仕事で最も大事なのは、毎朝のホールの開錠と終了時の戸締り。
ある朝、鍵を開けて事務所に入り、ホールの電気を点けた。
『おはようございます』
という元気のよい女性の声がホールの方向からした。
早くから頑張っているんだと思って
『おはよう』
と返事をしたが鍵を開けたのは自分だと気付き、事務所からホールへ行ってみると
人っ子ひとりいなかった。

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怪談実話顳顬草紙歪み 平山夢明 メディア・ファクトリー
「あいつ」
Rさんには、かつて幼稚園からの大親友がいた。
しかし、高校から進路が分かれ、Rさんは裏社会への道、親友は大手銀行へ就職した。
そして親友が大抜擢の上、支店長へ就任した。その直後、前任者が裏社会と繋がっていたことが原因で
親友は全責任を丸呑みさせられ、支店長を辞任。その後、降格、左遷。
『全ては銀行ぐるみで決まっていたんだな。それが証拠に奴の前任者はその後ものうのうと中央に返り
咲いているんだ。悪行の数々を知り尽くしているから切ることもできないわけだ。ひどい話だ』
親友は暫くしてホテルで首を吊った。
『遺書はないという話だが、俺は嘘だと思っている。様子を窺いに駆け付けた社員によって発見されたと
いうけど、奴らはあいつが死ぬのを待っていたんだな。室内にあった告発書めいたものは全て持ち去って
しまったんだよ』
Rさんはなんとかして仇を討ってやりたいと思ったのだという。
『こっちの業界で上の人たちがお世話になっている霊能者というか、普通じゃ絶対に逢えないクラスの坊さんに
頼んだんだよ。俺のルートで調べ上げた悪事を書面にして説明したら、国を危うくする連中ならばって・・・・・』
Rさんの話ではここ三年の間に頼んだ三人は全員、病死したという。
『でも、どうやって、その人たちが悪い奴らだとわかったんですか。親友の仇だと・・・・』
Rさんはある大手銀行の社員名簿を取り出し、その上をゆっくり指でなぞり始めた。
と、天井が”ドンッ”と踏み付けられたような音がした。部屋が揺れたかと思うほどだった。
その氏名には、すでに横線が引かれていた。
『奴は今でも俺を見守ってくれているみたいだ。だから、この話も筒抜けなんだよ』
ほんとうですか・・・・と口にしかけた途端、今度は壁がトントントントンとリズミカルに叩かれた。
『な』 Rさんが笑った。
頷くしかなかった。

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怪談実話顳顬草紙串刺し 平山夢明 メディア・ファクトリ
「泥酔」
ある証券マンの体験。
仕事のストレスから毎日の仕事の後に飲むのが日課になっていた。
ある日の深夜、自宅マンションまでタクシーで帰り着くと、急に気持ちが悪くなり
体を支えるのがやっとの状態になってしまった。
やっとのことで自宅のドア前まで来たが、鍵を差し込んでもドアは開かず
呼び鈴を鳴らしても妻は出てこない。
深夜であるので、隣近所に気を使いながら声を出して妻を呼んだ。
しばらくすると、隣のドアが開いた。
隣近所の付き合いがないのでわからないが、1,2度顔を合わせたことのある
隣の奥さんのようだった。
『夜分にすみません』と詫びると、部屋の中に入るように言われた。
有無も言わさぬ強引さで玄関に入れられると、背中を押すようにと奥の部屋へ
追いやられていった。
奥の部屋には祭壇があり、黒い男と僧侶が居り、読経の真っ最中であった。
そして、遺影には自分の姿があった。
焼香となり、自分の番になった。
しかし、焼香をすると自分が死ぬという気がして、ただ正座をしていた。
すると、奥さんが裁ちバサミを背中に当て、上下に動かす。
黒い男が顔を覗き込み、読経の声が一段と大きくなった。
呼吸が荒くなり、気が遠くなって気を失った・・・・
気がつくと病院のベッドの上だった。
看護士の話によると、自宅マンション入り口で倒れているとことを発見され
一時は心肺停止状態だったと。
十日ほどの検査で、自宅に戻された。隣は引っ越していた。
『あなたが入院した日の翌日に、お隣の旦那さんが亡くなって・・・・
あなたの財布が部屋に落ちていたと、お隣の奥さんが届けてくれたのだけど
どういうことかしら。詳しく訊けなかったのだけど』
財布には、あの日のタクシーの領収書が入っていた。

平山夢明

平山夢明
「超」怖い話彼岸都市 デルモンテ平山編集 勁文社
「銭湯」
彼女の実家は銭湯を営んでいた。
5月には菖蒲を湯船に入れることもあるだろうが、その銭湯では年中を
通して菖蒲を入れている湯船があった。
祖父に理由を尋ねると『魔よけ』との答えが返ってきた。
ある日のこと、営業時間も残り少なくなった時間帯に父母ともに不在となり
彼女が番台に座ることになった。
ふと見ると、お客が誰もいないのに湯船に浸かる頭のようなものが見えた。
それは数が増え、最後には1つの大きな海坊主へと変化していった。

・・・『魔よけの菖蒲を入れるのを忘れていたんです』

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新「超」怖い話Q デルモンテ平山編集 勁文社
「ゴミ」
ゴミ収集を業務としている、ある方は今の日本人は病んでいるという・・・

ある日のゴミ収集の日。
ゴミ収集車を運転していると、後ろのコンテナから人の話し声がしている。
事故かと思い、コンテナを覗いてみるが人の気配はない。
気のせいかと思い、再び運転していると、今度は数人のはっきり話す声が
聞こえてきた。間違いなく事故だ、と思いコンテナを開けた。
しかし、今度も人の気配はない・・・。
すると、一人の作業員がへんな袋があったのを思い出した。
その袋を取り出してみると、中には遺影と位牌があった。
その袋を運転席に入れると話し声がやんだ。
仕事が終わってから近くのお寺に事情を話して持ち込むと、住職は人心の
荒んだことを嘆いていたという。
『今は要らなくなったら猫でも犬でも捨てる。子供は捨てる、親も捨てる。
捨てて良いものと悪いものの区別も付かない。みんな頭が狂っているんだ。
狂っているから自分が狂っていることに気がつかない・・・』

平山夢明
新「超」怖い話8
平山夢明
新「超」怖い話8 デルモンテ平山編集 勁文社
「イタズラ電話」
ある女性が深夜のイタズラ電話に困っていた。
『オレ、オレ、オレ』のイタズラ電話に切れた女性が言った。
『あんた、卑怯ね。隠れて電話してくるなんて!!』
『そうでもないよ』
と言い終わらぬうちに、彼女の部屋の窓ガラスに男が貼り付いた・・・

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「超」怖い話ベストセレクション屍臭 平山夢明 竹書房文庫
新作3話と「超」怖い話A~Mのベスト44話

「穴ふたつ」
ある2歳差の姉妹の話。
姉は勉強が出来て、スポーツ万能。
それに比べて、妹は勉強もスポーツも並以下。
両親はことごとく二人を比較して、妹を腐らせた。
また、中学校では教師に比較されて、またまた妹を腐らせた。
そんな中、体育祭が行われることになり、姉は対抗リレーで花形選手。
妹はと言えば、騎馬戦の『馬』。
ある日、妹は玄関で姉のお気に入りの運動靴を見た。
彼女は、その運動靴を持つと、近くのお地蔵様のところまで持って行き
お地蔵様の頭を靴で撫でながら
『ねえちゃんがリレーでビリになりますように』
と念じ、これを運動会の前日まで続けたと言う。
運動会当日、姉は2位でバトンを受けたが、1人抜いてトップに躍り出た。
誰もが1位のままゴールすると思われた瞬間、何かに躓いて、顔から転倒。
『やったー!』
妹が喜びの声を上げた途端、口の中に小石のような物が入ってきた。
彼女の顔を見た誰もが悲鳴を上げた。
なんと、彼女の犬歯から犬歯の上下の前歯がごっそりと抜け落ちていたのだ。
痛みは無かったと言う・・・・医者は原因不明とのこと。
妹は今も差し歯である。

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平山夢明
「超」怖い話ベストセレクション2腐肉 平山夢明 竹書房文
新作3話と「超」怖い話A~Mのベスト59話

「雨だれの部屋」
仕事で地方の旅館に泊まることが多かった男性の体験。
その日は、車のワイパーを高速にしても前が見えないほどの大雨だった。
泊まれる安い宿はないかと探していると、入り口の小さな宿を発見した。
入り口と思っていた場所から入ってみると、そこは裏の入り口で
正面玄関がりっぱな高そうな宿だった。
高くても良いと腹をくくり、宿泊することにした。
部屋は離れで、料理もことのほか豪華だった。
明日も仕事と早めに寝床に就いたが、雨だれの音がうるさくて眠れない。
我慢していたが、我慢しきれず起きだした。
雨だれの音がする場所を見てみると、雨は既に止んでいた。
では、何の音か・・・すると、突然、首のない馬が現れた。
首があったであろう箇所からの大量の墳血が、雨だれの音を作っていた。
更に奥から具足の音がしたと思うと、鎧を身に纏った首のない武者が現れ
彼の髪の毛を掴むと、刀で首を切り落とそうとした。
彼は必死に庭に逃げ、武者が消えるとフロントを呼び出した。
高いと思われた宿泊代はただ、それに商品券が付いてきたとのこと。

平山夢明

平山夢明
「超」怖い話ベストセレクション3懺骸 平山夢明 竹書房文庫
「ドンとしたもの」
風と雨の強い夜だった。
『駅から家に帰る途中、携帯でメールしながら歩いていたんですね』
江本さんは不意に脇から現れた人影とぶつかった。
『あ!』
予想外に強い当たり方に傘が手を離れてしまった。
その直後、一歩先に音を立てて倒れたものがあった。
自動販売機だったという。
見回しても、ぶつかって来た人はおろか、誰も居なかった。
唖然としている彼女の携帯が震え、可愛がってくれていた祖母の訃報を聞いた。

平山夢明

平山夢明
「超」怖い話Α 平山夢明 竹書房文庫
「友達」
情報処理部門でセキュリティを担当する彼女には
中学校からの友達がいるという・・・

コックリさんがもとで、一人ぼっちになってしまった彼女が
友達にしたのが、他ならぬコックリさん。
さびしくなると、10円玉で『オジュウ』と名づけたコックリさんを
呼び出していたという。
今は、パソコンの壁紙とマウスポインターで手軽に友達と
会えるんだとか。

平山夢明

平山夢明
「超」怖い話Μ(ミュー) 平山 夢明 竹書房文庫
「おりん」
中学3年生の時、クラスでいじめがあり、一人の女の子が自殺した。
いじめがあったのではないか?という声もあったが
教師がうやむやにしてしまった。
女の子の通夜の時、中学校の生徒は焼香せずに「おりん」をチーンと
鳴らして手を合わせるように指示された。
彼女をいじめていた一人がおりんを叩くと、チーンと鳴らずに『うえ~ん』と
泣くような音がした。慌てた彼女は人混みに逃げて行った・・・
次に、いじめのリーダーだった女の子がおりんを叩くと音が出ない・・・
慌てた彼女が何回もおりんを叩くと、『ゲ~』という悲鳴のような音がして
おりんが割れた。
母親が、ものすごい形相で彼女を睨みつけた。
『ごめんなさい』と叫ぶと、その場にしゃがみ込んだ。
結局すべて明るみに出て、いじめを行った生徒の推薦は破棄となった。

通夜の前日、母親は夢枕に立った娘から『おりんを使って』との啓示を
受けたらしい。

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「超」怖い話Б(ヴェー) 平山 夢明 竹書房文庫
「おぶわれて・・・」
彼女は幼い頃、喘息だった。時には重篤な場面も迎えたとのこと。
彼女の父は、3歳の時に事故死した。
ある時、呼吸が楽になる時があった。
そして天井が間近にあると思ったら、近くにいた男におぶわれた。
しばらく後、彼女が『帰りたい』と言うと『帰らなくても・・良い』
『いやだ、帰る』・・・・・・大声で呼ばれる声で目覚める・・・
彼女の心臓が二度止まった直後のことだった。
彼女をおぶっていた男の話を母にした。
母は即座に立ち上がり、仏壇から位牌を壁に叩きつけた。
『勝手に死んで、娘まで連れて行くのか!』・・・・
彼女は現在、2児の母になっている。

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平山夢明
「超」怖い話Γ(ガンマ) 平山 夢明 竹書房文庫
「箸」
中国に仕事で滞在している際に胸の病にかかった。
胸の痛みは重くなるばかりだが、原因がわからない。
そんなとき、福建から中国人の友人がたずねてきた。
その友人は、傍からも重い病気とわかる様子を見ると・・・・
使用人を全員解雇させた上で、同じ中国人として恥ずかしいと謝罪した。
実は、その箸は人骨で出来ており、呪う相手に使わせれば1年足らずで
殺せると言う・・

使用人全員が人骨の箸とともに送り込まれた共犯者だった。

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「超」怖い話Ε(イプシロン) 平山 夢明 竹書房文庫
「入っている」
深夜、トイレに入っていると、ドアノブをガチャガチャと乱暴に回された。
『入っているよ!!』
思わず怒鳴りつけたところで、独り暮らしであることに思い当たる。

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「超」怖い話Z(ゼータ) 平山 夢明 竹書房文庫
「じいさんエレベーター」
深夜、ちょっと飲みすぎて帰宅した女性の体験。
彼女が住んでいるマンションのエレベーターは、上昇下降するスピードも
ドアの開閉スピードも飛びぬけて遅い。
その夜も、這うように上昇する『じいさんエレベーター』にため息が出る。
ふと、エレベーター内に手をダラリと下げた影を見つけた。
それは確かに彼女の足に繋がっていたが、手を振ろうが影は動かない。
『え?』と思ったら、彼女は全く動けなくなってしまった。
すると、エレベーターが勝手に止まり、ドアが開いた・・・・
そこには、ボロボロのワンピースを纏い、針金のような細い腕をダラリと下げた
後ろ向きの髪の長い女が立っていた。
彼女の足が引かれる・・・・と女は急に廊下の端まで滑るように移動を始めた。
その途端に彼女の体が動くようになり、『じいさんエレベーター』の『閉』ボタンを
必死に押し続けた。
すると、今度は女が廊下の端から戻ってきた。
『はやく、はやく・・・』
もはや、彼女は女の姿を見られなくなっていた。
何かがドアに当たる『バン!!』という音と同時に『じいさんエレベーター』は上昇した。

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「超」怖い話K(カッパ) 平山夢明 竹書房文庫
「衣」
実家のおじいさんの手伝いで、海へ漁に出たときのこと。
漁の合間の休憩中に海に潜って遊んでいた。
すると、海の奥から幅50センチくらいのトイレットペーパー
みたいな物がヒラヒラと漂っていた。
好奇心から、どこまであるんだろうと潜ってみても先は
見えなかった。
船に上がると、おじいさんにその話をした。
『つるつるの手触りだった』
すると、おじいさんの顔色が変わった。
『けえるぞ』漁の途中だったが慌しく帰り支度を始めた。
理由を聞くと、おまえが触ったのは『乙姫の衣』で、乙姫は
衣に触られるのを大変に嫌がるので大時化になるとのこと。
はたして、夕方には風が強くなり、暗くなる頃には大時化となった。

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「超」怖い話(Δ)
平山夢明
「超」怖い話Δ(デルタ) 平山夢明 竹書房文庫
「レレレ」
友人と待ち合わせをしていると、すごい美人が目の前を
通っていった。
待ち合わせの友人も目撃。
しかし、何か変・・・・変な理由は足にあった。
『レレレのおねえさん・・・・』
レレレのおじさんが走るアニメみたいに足が4本あった。
友人は足しか見ていなかったとのこと。

平山夢明

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「超」怖い話Η(イータ) 平山夢明 竹書房文庫
「ごろり」
2Kのアパートで隣の部屋からゴロリ、ゴロリと音がする。
音の正体を確かめるようとした彼女が見たものは
ボーリングくらいの大きさの球だった。
球には目鼻口が付いていた・・・

平山夢明

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「超」怖い話Θ(シータ) 平山夢明 竹書房文庫
「ボール神」
某有名サッカーチームのサッカー場の管理をしている父の仕事場に
遊びに行った時のこと。
グランドに小屋が建てられいて、有名選手が次々と出てきた。
何をやっているのだろうと思い、誰も居なくなった小屋を見にいった。
そこには、ピラミッド型に組まれたボールと選手直筆のお札のような
物があった。
それを父に言うと・・・・
『まいったなー、見られちゃ効果がないんだよ・・・』
・・・実は、毎日蹴られるボールへの感謝と供養。
そして < 力を貸してください > という意味で、大事な試合の前には
必ず行う儀式なんだが、他人に見られると効果がなくなると言われている。

平山夢明

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日々狂々、怪談日和 平山夢明 竹書房文庫
日記をそのまま本にしたという感じ。
筆者がいかに異常と巡り合っているかが浮き彫りになっている。
何時、死んでもおかしくないオーラの持ち主でありながら、御祓いを受けずに
なんとか生きている・・・・
それにしても、変な人が周囲にたくさんいるわいるわ・・・・

平山夢明

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怖い本9 平山夢明 ハルキ・ホラー文庫
「足跡」
あるデザイナーの女性の体験。
10年前の初冬、マンションのドアの前に産まれたばかりの仔猫が死んでいた。
かわいそうに思った彼女は会社に遅れるのも気にせず、近くの公園に仔猫を埋め
翌日に花束と線香を供えた。
1週間くらいすると、家のいろいろな場所に牡丹のような模様がつくようになった。
デザイナー仲間に模様を書いて説明すると、永く猫を飼っている男性が
『これ、猫の足跡だよ』
そこで、死んでいた仔猫の話をすると
『それ、絶対に来ていると思う。だけど、悪さをしに来ているのではなく、死んだことにも
気づかないまま、親切にしてくれた人を親だと思って懐いているだけだよ。
少しの間、放っておいてあげるのも供養だと思うよ』
そこで彼女は放っておくことにしたが、イラスト原稿の上に足跡が付くことに困り
近くの神社へ相談に行った。
彼女の話を聞いた宮司は、御神酒を皿に入れて玄関と窓際に置くようにと勧めた。
効果はてきめんで翌日から足跡がなくなったが、なくなると寂しくなる。
そこで、仕事が忙しい時はお神酒を出し、忙しくない時は足跡が見えるようにした。
ある日、街で占い師に呼び止められた。
占い師によれば、神獣に近い黄金に輝く雄猫が彼女を守っていると。

一介のデザイナーから人も羨む順調なキャリアを積んだ彼女に、来年、ベルギー、パリ
ニューヨークで個展を開くオファーが来ている。

平山夢明

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怖い本8 平山夢明 ハルキ・ホラー文庫
「猫の目」
ある日、飼い猫と遊んでいると、突然、飼い猫がピタリと動きを止め
彼女の顔をマジマジと覗き込んで来た。
『うん?、どうした?』
飼い猫の顔を見た。
瞳を見ると、自分が映っていた・・・・
その後ろに、首が折れ曲がった男がいた。

平山夢明

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怖い本7 平山夢明 ハルキ・ホラー文庫
「心霊さん、いらっしゃい!」

高浜君が所属する大学の自主制作映画サークルでドキュメンタリー映画を
作ることになった。
始めはどうなることかと思っていたが、いろいろな廃墟や曰くつきの場所
事故多発地帯等を撮影しているうちに、作品になってきた。
その日は、有る程度出来上がった段階の映像をチェックするために
高浜君の部屋に4人が集まった。
酒盛りしながら映像を見ていたが、昼間のバイトの疲れから眠ってしまった。
目が覚めると、外は明るくなり始めていた。
ふと見ると、テレビの前の座椅子に髪の長い女性が座っている。
手と足を前に伸ばして座っている・・・
『どうも見たことがない女性だなあ~、誰の彼女かなあ~』
外していた眼鏡をかけ、後頭部と思われる場所を凝視していると・・・・
目があった。体は前を向き、首だけ異様な角度に曲げている。
『生きている人間ではない』
鼻から下が抉られたようになかった・・・・そこで高浜君は気絶した。

『おい、起きろよ』
仲間の2人に起こされた。
昨夜はビデオテープが絡んでしまい、分解する工具を取りに帰ったとのこと。
早速、ビデオテープを引き出そうとすると・・・・
そこには、女性の髪の毛と思われる長い毛が大量に詰まっていた。
ビデオデッキごと、お寺へ供養に出したそう。

平山夢明

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怖い本6 平山夢明 ハルキ・ホラー文庫
「相談」
相良さんは会社の後輩から、相談に乗って欲しいと訪問を受けた。
その後輩は何かと問題のある娘だった。
『まあ、問題行動は全て男女関係。その娘、ちょっと見がかわいいから男がコロっと
騙されちゃうのよ。そんでもって、彼女のいる男を奪っておいて、影でガッツポーズ
している噂だったわ』
後輩が来てドアを開けて、すぐ異変に気づいた。
後輩の後ろに、ブレた画像のような女が相良さんを睨みつけていた。
今まで幽霊なんて見たことなかったが、ひと目で生きている人間じゃないとわかった。
見ていると、ブレた画像の女はクローゼットの中へ入って消えた・・・
『あ~、なんだか急に楽になったので、もう帰ります』
後輩が急に元気になって、帰るという。
相良さんは、急いでクローゼットを開けるとブレた女がしがみ付いたブランド物の服を
袋に詰め込み・・・・
『お古で悪いけど、良かったら使って』
『先輩・・・・』
『元気出せって』
それから間もなく後輩は病気療養のため退社した。
狂ったのだとの噂があった。

平山夢明

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怖い本5 平山夢明 ハルキ・ホラー文庫
「負の遺産」
産まれる時に2度も心肺停止した彼女の妊娠から
出産に関わる話。
自分の先祖が犯した『負の遺産』のために子が死産
難産となることが常の家系。
その恨みを母から聞きながら妊娠した。
出産までの間、悪い気配を感じると
『ごめんなさい、ごめんなさい』と謝り続けた。
ある晩、悪い気配にお腹を蹴られ、激痛に耐えながら眠ってしまった。
朝、慌てた夫が彼女を揺り起こした。
枕は血で染まっていた。
彼女の耳の1部が千切れていた・・・。
それを聞いた母は
『これで、お腹の子はもう大丈夫。あんたも耳全部を持って行かれた
わけではないので良かったね』
と大喜びであった。
彼女は無事、女の子を出産した。

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怖い本4 平山夢明 ハルキ・ホラー文庫
「水で死ぬ」
野宮さんという女性が大学時代の友人から聞いた話。
『私は水で死ぬの』と言っていた。
その原因は、小学生時代に3人で1人の少女をいじめぬいた・・・
最後には、あろうことか、亡くなった彼女の父の墓にいたずら書きをした。
そこで白目を剥いた彼女が3人へ向かい
『あまえは鉄で死ね』
『おまえは火で死ね』
『おまえは水で死ね』
小学校を卒業すると、いじめられた少女は転居して行った。
いじめた3人は地元中学へ進学したが、高校へいく頃には付き合いがなくなっていた。
高校2年になって、鉄で死ねと言われた女の子がスクーターを運転中にダンプに轢かれ、即死。
残った2人は、電話で話しながら『どうしよう』と繰り返していた。
そして、2年後、火で死ねと言われた女性が自宅でゴミを燃やしている最中にガスライターが爆発。近くにあった灯油へ引火して焼死。
そして、大学に進学して野宮さんへ告白すると、まもなく彼女は亡くなった。
不安を紛らすために飲んだ大量のアルコールが原因で、肝硬変で亡くなったのだとか。

勁文社の「超」怖い話全11巻の話を
抜粋したものと新作10話です。

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怖い本3 平山夢明 ハルキ・ホラー文庫
「レントゲン」
自分の時間が取れずに、結婚もできないと
悩んでいた医師。
ある日、その悩みを先輩医師にすると
意外な解決策があった。
それは、レントゲン写真でその患者の生死が
わかるというものだった。

勁文社の新「超」怖い話3~Q(9)の話を
抜粋したものです。

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怖い本2 平山夢明 ハルキ・ホラー文庫
「火葬場にて」
ある兄弟が火葬場で通夜をした。
深夜、トイレに向かうと自動ドアが開閉する音が響く。
翌朝、係員にその話をすると、自動ドアの電源は切っていたので開くはずがないと。
ようく見てみると、館内側のガラスに手の跡がビッシリと付いていた。

勁文社の新「超」怖い話5~7の話を抜粋した
ものです。

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怖い本(1)
平山夢明
怖い本1 平山夢明 ハルキ・ホラー文庫
「ヴァンパイヤ」
ある日本人男性がアメリカ旅行をしていた時のこと。
ひょんなことで知り合いになったアメリカ人の男性に、機会があったら自宅に
寄るように言われたことを思い出し、その友人宅へ行った。
すると、友人の妹に『祖父はヴァンパイヤだから近づいてはダメ』と警告される。
危険を察知して、友人宅には泊まらず、自分の車の中で寝た。
深夜、目を覚ますと、外に祖父がいる・・・・車で逃げた。
逃げる時、祖父をカメラで何枚か撮った。
しかし、現像した写真には祖父の姿はなかった。

勁文社の新「超」怖い話1~3の中から抜粋したもの。

平山夢明

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ふりむいてはいけない 平山夢明 ハルキ・ホラー文庫
「峠の出来事」
ある土曜日の深夜、高校3年生の男女のカップルが車でドライブに出かけた。
車は山を登り始め、とあるカーブへ差し掛かったところ、急ブレーキで止まった。
彼がドアを開け、外に飛び出した。
『はねちゃったよ。急に飛び出して来るんだもん』
作業着の男だった。
救急車を呼ぶより、病院まで運んだ方が早いと判断した彼らは男を後部座席へ寝かせた。
車を発進させると猛スピードで走る。
途中、彼が大声で叫ぶと、すごい衝撃と大きな音が響いた。
今度は若い女だった。
かすかに動いたので生きていると思い、迷わず後部座席へ運んだ。
車に戻ると病院目指してぶっ飛ばした。
山を下ると救急病院が見えてきた。
彼は夜間救急搬送口に車を横付けすると、急いで入り口ドアを叩きだした。
『こら~』 警備員が飛んできた。
『あ、あ、大変なんです。ぼく、ぼく、はねてしまいました』
警備員が後部座席を覗き込むと
『まただ・・・』
その様子に、彼と彼女も車の後部座席を覗いた・・・・
そこには、大きな木の枝がふたつ乗っていただけだった。

平山夢明

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鳥肌口碑 平山夢明 宝島社
「お遍路」
学生時代に四国八十八ヶ所をお遍路して一人歩いた女性の体験。
旅路は順調に進んだが、高知に入ってから変なことが起き始めた。
その日、宿に着くと自分宛の電話がかかって来たという・・・
何か起きたのかと自宅に電話をするが、家族は誰もかけていないという。
若い女で、電話の時に彼女の名前を確かに告げたとのこと。
次の宿でも同じ・・・
彼女は事前に宿を家族に知らせていなかったため、彼女の行動を知る
者は誰もいないはずなのに、先回りするよに電話がかかってくる。
そんなこんなでお遍路も終わりに近づいた頃に、着いた宿に電話が
かかってきた。
『もしもし』
『おねえちゃんでしょ?』
『どちら様でしょう?』
相手は、彼女の苗字と彼女の住所で名乗った。
彼女はひとりっ子だったので
『私、妹いませんけど』
<なら、おまえが死ねば良かったな>突然、野太い男の声になった。

自宅に帰り、ことの顛末を両親に話したが思い当たることはないという。


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