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いたこ28号
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憑依怪談 無縁仏

いたこ28号
憑依怪談 無縁仏 いたこ28号 竹書房怪談文庫
「新幹線奇談」
長谷川は東京駅で買ったお弁当を食べ終わり、車窓の景色を見ていた。
ふと見ると、三列前の座席の上から覘く男性の頭が奇妙なのだ。
禿げ上がった後頭部の上部半分が見えているのだが、品川駅を出たときよりも大きくなっている。
前列二列目の男性の後頭部と見比べても三倍以上あるのだ。
撮影しようとスマホを向けた。
半分しか見えていなかった後頭部がゆっくりと動いた。
長谷川はヤバイとスマホを隠そうとするが、金縛りになったように体が全く動かない。
頭はゆっくりと後ろを向こうと動いている。
顔を見たくない!
しかし体は凍りついたように固まっている。
一列目を二列目の乗客は、なぜこの異常な状態に気付かないのか?
彼らには見えていないのか?
頭は完全に後ろを振り向いたが、額より上の部分しか見えていない・・・・
やがて、大きな目と鼻が現れた・・・・

長谷川はそこから後の記憶がないという。
名古屋駅に到着する車内アナウンスでハッと我に返った。
慌てて席から立ち上がり、巨大な頭の主が座っていた座席に駆け寄る。
・・・・誰もいない・・・・テーブルの上に瀬戸物の湯のみが置かれただけだった。
終点の新大阪に着いても席に戻って来る者はいなかった。


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