怪聞亭 |
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恐怖箱 赤蜻蛉 鳥飼誠 怪聞亭 つきしろ眠 竹書房文庫 |
「春山捜索」 怪聞亭 登山暦30年の野村さんの不思議な体験。 二十年ほどまえ、社会人パーティーが北アルプスで消息を絶った。 そして、その年の3月の連休に捜索隊の仕事が野村さんの所属する山岳会に 回ってきた。 春先に行う捜索は遺体収容が目的になる。 野村さんを含めた捜索隊は北アルプスへと向かった。 その日は夕方になっても手がかりひとつ見つからず、テントを張って、その場に 野営することになった。 みな、疲れきっているのでウイスキーを流し込むと早々に寝袋の中に入る。 野村さんもウイスキーを飲むと、いつの間にか寝てしまった。 明け方、周囲に大声が響きわたった。 『ででいけー!!』 その声でみな、飛び起きた。 通常はテントをそのままにして捜索をするのだが、この手の声には従うのが良策 との判断から、テントを移動した。 捜索を開始してしばらく経ったころ、大きな地鳴りがした。 地元警察に無線で連絡をつけると、やがてヘリが飛んできた。 『大きな雪崩に呑まれて、昨日のキャンプ地は見る影もなかったそうだ』 |