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上村信太郎
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上村信太郎
​​ 山の不思議と謎 上村信太郎 大陸文庫
「テントに近づいてくる謎の靴音!」
穂高連峰や谷川岳の岸壁に数多くの初登攀記録を持つ登山家の古川純一さんは、冬の谷川岳で
雪の夜、テントに近づいてくる謎の靴音を聞いた体験を、著書『いのちの山』の中で書いている。
昭和三十二年三月二十三日。古川さんは仲間二人と、当時、冬季は未踏だった谷川岳二ノ沢を
狙っていたときのことだった。
この日は小雪が降っていたのでアタックを中止し、夜十時半ころに寝た。
なかなか寝つけずにウトウトしていると、遠くからテントに向かって歩いてくる音が近づいてきた。
そして、粉雪を踏みしめる足音はテントの前で止まった。
古川さんはヘッドランプを手探りで探し、『誰だ』と声をかけたが返事がない。
遭難者がテントにたどり着いたかもしれないと思い、急いで入り口を開け外を照らしたが
誰もいにし、足跡もない・・・・
著者も同じような体験をしている。冬の八ヶ岳でテントの中に一人でいる時だった。
初めは小さく、だんだん大きな音になって、ピタッと止んでしまう。
人間が雪を踏みしめる時の音だった。


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