幽戸玄太 |
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FKB 実録怪譚 厭霊ノ書 幽戸玄太 竹書房文庫 |
「お化け撃退法」 小学生の時、同級生のトキタ君に 『お化けを撃退する方法を知っている?』 と話しかけられた。 『知らない』 と首を横に振るとトキタ君は難しい顔つきでこう説明した。 『服をな、全部脱ぐでしょ。パンツもね。それで走り回るとチンチンが揺れるでしょ。 その音でお化けが逃げるんだ』 ぼくが疑った目でトキタ君の見ると 『死んだ九州の叔父さんが言っていたんだから本当だって』 『死んだ叔父さんって、いつ死んだの?』 『ぼくが生まれる前』 『そうしたら、幽霊に教えてもらったということなの?』 うん とトキタ君は自信たっぷりに頷いた。 『絶対の絶対に本当だから。だって教えてもらった時に裸になって走り回ったら 叔父さん、慌てて消えちゃったもん』 それ以来、叔父さんは二度とトキタ君の前に現れないだそう。 |
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FKB 実録怪譚 忌魂ノ書 幽戸玄太 竹書房文庫 |
「死者との約束」 父親の法事で久しぶりに会った叔母から、生涯で一番怖ろしかった話を聞いた。 それはぼくの祖父が亡くなった時の話。 叔母は、給仕に駆り出されていて昼間は祖父の棺に近づけなかったことから 深夜、人がいない時に棺桶の小さな扉を開けた。 手を合わせて、頭を下げた。 もう一度、祖父の顔を見たら目が開いた。 ぎょっとしたが目が離せない。 そして今度は、口が動いた・・・・ 『なに?おじさん』 叔母は祖父の顔に耳を近付けた。 『おまえも来い』 すかさず叔母は『こどもが小さいから駄目』と答えた。 叔母には、ぼくと同い年のタエコという娘がいる。 『最初は高校入試。次は成人式、大学卒業、就職。節目節目でビクビクしてきたわよ。 今はタエコもお母さんで孫の顔も見たし。今なら、おじさんが迎えに来てもいいかなって』 |