香月日輪 |
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「隣のベッド」 看護師の岡野さんに聞いた話。 岡野さんの勤務する病院は、それほど大きくない市民病院。 そこへ山内さんという男性患者が入院して来た。 山内さんの奥さんは、何かと旦那さんの面倒を見ていて、傍から見ても仲の良い夫婦に見えた。 その奥さんを知る人の話によると、結婚前に他に好きな人がいたが破談となり、今の旦那さんと結婚した。 その後、旦那さんは病院で亡くなる。 ある日、岡野さんが空き部屋となった山内さんが入院していた部屋で仮眠していると・・・・ 山内さんの奥さんが現れ、怒気をはらんだ目で旦那さんが寝ていたベッドに向かって 『早く死ね。あんたじゃない、あんたじゃないのよ。死ね死ね、早く死ね』 と言葉を吐き捨てる。 (嘘よ、あの奥さんがこんなことを言うわけがないわよ)と岡野さんは思うが、その後も『死ね』と言い続けた。 『やめて~~!』 岡野さんの声で同僚が部屋に飛び込んできた。 岡野さん曰く 『奥さんの生霊だと思う。だけど、病院に来ていた奥さんを見ていると、円満な夫婦だったのは間違いない。 生霊って、本人が望んで飛ばせるものではないから』 そして最後に 『真面目で大人しい人って怖い。何をためこんでいるか、わからないもの』 |