観雪しぐれ |
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観雪しぐれ |
| 恐怖・呪い舟 ~実話怪異譚~ 観雪しぐれ 山口敏太郎 TO文庫 「落ちてくる」 観雪しぐれ 大学生の頃に下宿先で夕食の支度をしようと台所に立った時のこと。 食材を用意し、さて包丁をと思うのだが見当たらない。 使用後は必ずシンクの水切りトレーの横にある包丁立てに戻している。 一人暮らし、尚且つ当時は友人もいないため、部屋に人を招き入れたこともなかった。 はて・・・・ 前回どこかへ置き忘れたのだろうか。いや、覚えがない。辺りを探し回るも包丁は見当たらない。 ・・・・と、その時・・・・ 目の前を上から下に何かがよぎった。 ズドン! 音を立てて、まな板に包丁が突き刺さった。 状況を飲み込むまでに少し時間がかかったが、慌てて天井を見上げても包丁が刺さっていた痕跡はない。 無論、包丁が天井から降ってくる原因にも心当たりがない。 それだけの話だが、その後その部屋で時に変わったことは起きなかった。 実はこの話を思い出したきっかけがある。先輩のOさんと怪談話に花を咲かせていた時、彼がこんな話をしたのだ。 彼の親戚の女性が子供時分、友達と二人でバービー人形の着せ替えをして遊んでいると人形の靴が片方 見当たらなくなった。 二人でどこだどこだと部屋中を探したが見当たらない。やがて疲れてしまい、半ば諦めていたその時・・・・ 二人の目の前に天井から何かが落ちてきた。驚いて目をやると、いくら探しても見当たらなかった人形の靴だった。 この世にはそういう悪戯をする妖怪のようなモノがいるのかもしれない。 |