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鳴崎朝寝
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鳴崎朝寝
宵口怪談 無明 鳴崎朝寝  竹書房文庫
「つけっぱなし」
八代さんが残業を終えて深夜に自室に帰ると、真っ暗な部屋でテレビが点きっぱなしになっていた。
(点けっぱなしで出ちゃったかな)
テレビでは外国の女性が歌っていたので、歌番組だろう。
バラエティのセットで、言語は英語ではないようだ。
声を震わせるような歌い方と、どこかの民族衣装。
『いつもテレビは録画したものばかり見ていたので、夜中はこんな番組をやっていたんだと思った
だけなんですけどね』
テレビの電源を切る。
視界の隅で電源ランプが赤から緑になり、プツンという音とともにありふれたバラエティ番組が・・・・
点いた。
『えっ?』 思わず声が出た。
『その日はテレビを消せなかったんです』
もう一度、その歌番組になったらどうしようと思うと眠れないまま朝を迎えた。
思い返してみれば、前日の夜中はテレビを見たものの、朝には点いていなかった。
それが映ったのはその日一度だけ。
女性にも、その歌にも全く心当たりがないという。


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