西浦和也 (八田ゐあん) |
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西浦和也 |
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帝都怪談 西浦和也 TOブックス 首都、東京。 その昔、帝都と呼ばれていた頃から、ここは怪異の大都会でもあった。 そして、今日も数多の異形がうごめく・・・・。 解体作業中に発見された古い地下通路に現れた柔道着の男。 突然、エレベーターから降りて来た黄緑色に輝く謎の男たち。 湯島天満宮で授かったお守りにまつわる奇蹟と祟り。 果ては、硫黄島から石を持ち出した自衛隊員に振りかかった災難。 怪談蒐集家・西浦和也による珠玉の実話怪談48編。 |
西浦和也 |
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恐怖の幽霊物件 西浦和也 学研 「生と死の世界をあわせもつゲームセンター」 北野誠の『おまえら行くな』でも掲載されているゲームセンターで撮影した際に 写ったオーブ画像。 |
獄ノ墓 西浦和也 |
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西浦和也選集 獄ノ墓 西浦和也 竹書房怪談文庫 「正直に言うからだ」 それは今から三十年ほど前の話。まだ駆け出しのS水さんは、不動産会社で同じく新人のT中さんと コンビを組んで、担当するエリアのマンションを管理していた。 その日もT中さんとマンションへ向かうと、六階へ上がりチェックを始めた。六階、五階と終わり四階に 差し掛かった時だった。階段を降り、廊下の電気をチェックしていると、突然廊下の突き当りで何かが動いた。 二人でその方向を見ると、下着姿の男が部屋のドアの方を向いたまま、何かに驚いている。 薄手の黄ばんだランニングシャツに紺色のトランクス姿で裸足のまま廊下に立っているのだ。 気になった二人は、男の元へと廊下を歩いていく。 すると男はそのことに気付いたのか、こちらを振り向くと驚いた表情をした後、薄笑いを浮かべ、会釈を しながらドアの中へと消えた。 『え?』 驚いた二人が慌てて近寄るが、ドアが開いた様子も音もない。ただドアの中に吸い込まれたように見えた。 慌ててチャイムを鳴らしたが応答がない。ドアノブを回しても鍵がかかっている。 『S水さん、何か臭いませんか?』 確かにドアの前に立つと、ものすごい臭いがする。 二人は急いで一一〇番に連絡をすると警察官の到着を待った。 やがて警察官が到着し、立ち合いのもと、合鍵でドアを開けると玄関の前に男の腐乱死体があった。 服装はさっき二人が見たままの姿。さっき見た男に間違いないだろう。 『ご苦労さまです。どうしてお二人はここで死んでいると思われたのですか?』 おもむろに警察官がS水さんに聞いた。 S水さんは、さっき見た光景をそのまま警察官に話した。 『幽霊ですか?』 警察官は怪訝そうな顔をすると 『では死体の検案が終わるまでは、お二人は第一発見者兼、容疑者ということで署まで来てもらえますか』 『結局、検案が終わったのはその日の夕方で、会社に戻ったのは夜だったんですよ』 会社に戻ると何人かの社員は残っていた。てっきり自分たちの苦労に、お疲れ様と労いの言葉をかけてくれると 思っていたが、返って来たのは 『正直に幽霊なんて話すから、そういう目に遭うんだよ』 以来、S水さんは、管理先で何を見ても幽霊とは絶対に言わないことにしている。 |
八田ゐあん |
八田ゐあん |
怪談実話 異聞百物語 八田ゐあん 竹書房文庫 「階段」 ある晩のこと、隣町の祭りへ出かけた佳美は家路を急いでいた。 つい友達と話し込んで、気づけば21時の門限まであとわずか。 普段あまり佳美の行動をうるさく言わない母だが、門限だけには厳しかった。 『お母さんが言った時間に帰れないなら、もう外には出しません』 以前も、門限に間に合わなかった時、母は彼女を酷く叱りつけると、それから半年間 学校から帰ってきてからの外出を禁じた。 『まいったなぁ~、また外出禁止になっちゃうよ~』 一生懸命に走ったが無情にも時は過ぎ、門限の21時を過ぎてしまった。 彼女の住んでいる団地の3号棟にたどり着いた。 階段を駆け上がり、踊り場というところで思わず立ち止まった。 目の前の階段に光の柱が立っている・・・そして薄紫の着物を纏った老婆が宙に浮いていた。 『なにこれ、どうしよう・・・』 四階にある自分の家に入るには老婆の横を通らねばならない・・・無理、無理、絶対無理。 携帯電話を持った彼女は自宅に電話を入れた。 『あ、もしもし、お母さん。私だけど建物の下まで迎えに来て・・・』 『階段のおばあさんでしょ!!だから9時までには帰りなさいと言ったのに!』 と明らかに不機嫌な声で途中で電話を切られた。 なぜ、母が門限にうるさかったのか、その理由をようやく理解した。 |
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実話怪異録 死に姓の陸 西浦和也 竹書房文庫 「いまもいる」 かつて、東京都内の『幽霊が出るゲームセンター』を取材したことがあった。 6回ほど取材に行ったが、その後、ゲームセンターは撤退した。 つい先日、そのビルの近くで仕事の打ち合わせがあったので立ち寄ってみると うどん屋がテナントに入っていた。 店に入ると若い女の子に、いらっしゃいませの声とともに席へ案内された。 もう怪異は起きていないのか?などと思っていると店員の女の子同士の会話が 聞こえてきた。 深夜、二階席に男が座り、何も注文しないでいる。 催促しても黙っているのでチーフを呼ぼうと階段に行ったら、チーフが上がって来た。 男の座っている席を再度見ると、男が消えていた。 二階席からは階段を使わないと移動できないにも関わらず、男は消えた。 『ああ、まだここにはいるんだ』 次は、彼女たちに取材できる日を楽しみにしている。 |
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因ル話 西浦和也 竹書房文庫 「予約客」 ホテルでフロントマンをしている風間さんが、グループ会社のホテルへヘルプとして 応援に行った時の話。 引き継ぎを終え、そのままフロントにいると、キャリーバッグを引いた二人組の女性客が 『スィートルームを予約していたオカモトですが・・・・』 宿帳を確認するが、予約客にオカモトという名前は見当たらない。 『すみませんが、オカモト様のご予約は見当たらないのですが・・・』 『そんなはずないんですけど・・・また来ます・・・』 二人組はホテルを出て行った。 翌日、風間さんがフロントにいると、昨日の女性二人組が入って来た。 『スィートルームを予約していたオカモトです』 しかし、またしても今日の予約に名前がない。 二人は困ったように顔を見合わせている。 すると、そのやりとりを聞いていた支配人がつかつかとやって来て 『オカモト様ですね、1201号室をお取りしてありますので・・・』 『良かった~』 女性客は、キーを受け取るとエレベーターホールへと歩いて行った。 女性客が見えなくなると、支配人は小声で言う・・・ 『あのお客様ねぇ、この世の人じゃないから・・・・何年か前、1201号室に泊まって 翌日、近くの岩場から自殺しちゃったんだよ。それ以来、なぜかこの時間にやって 来るんだ。不思議と部屋のキーを渡せば、7~10日くらい来なくなる。今度来たら そうしてくれる?』 |
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忌ム話 西浦和也 竹書房文庫 「菊の花」 小林さんの石材店では、お墓参りに来られない家族の代わりにお墓の掃除と お花を供えるサービスを行っている。 『・・・・ちゃんと頼んだ通りにして貰わないと困るでしょ!!』 突然のクレームの電話で現場に行ってみると、それは昨日、掃除、供花をした お墓だった。 『あれほど”菊の花”はやめてくださいと言ったのに。これは何?』 連絡の行き違いだろう。 それにしても、昨日、供花したばかりだというのに、すっかりしおれている。 『菊の花なんか供えるから、昨晩はお義母さんが出てきて大変だったのよ』 女性は怒りが収まらないらしく、小林さんを怒鳴りちらした。 『そんなにお義母さんが怖いなら、自分でやればいいのに・・・・』 そう言いかけた言葉を、小林さんはグッと飲み込んだ。 |
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妖幽戯画~おどろ怪異譚 西浦和也 うえやま洋介犬 竹書房文庫 怪談(西浦和也)とホラー漫画(うえやま洋介犬)からなる構成。 実話怪談と創作怪談あり。 私は実話怪談しか読みませんので、以下も実話の中からの抜粋。 「擦りすぎ」 Yさんの家の近くに、身代わり地蔵がある。 このお地蔵様には、家から持っていったタワシで自分の身体の悪い所と同じ 場所を洗うと傷病が治るという言い伝えがあり、多くの参拝者で賑わう。 Yさんが中学生の時、バスケットボールの試合で腰を痛めた。 痛みは、なかなか引かず、思うように動けない。 そこで、Yさんは身代わり地蔵にすがることにした。 夜、夕飯を済ませてから身代わり地蔵へと向かうと、持参したタワシで お地蔵様を洗い始めた。 すぐに治りますようにと、力を込めて洗っていると・・・・ 『・・・痛い! やめてくれ・・・・」 お地蔵様から声が聞こえた。 翌朝、Yさんは背中の激痛で飛び起きた。見ると、背中がみみず腫れになっている。 母に、身代わり地蔵での事情を話すと・・・・ 『台所にあった スチールタワシ を持っていったのはアンタね・・・あんな物で 擦られたらお地蔵様だって怒るわよ』と、腹をかかえて大笑いされた。 |
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殂ク話 西浦和也 竹書房文庫 「ギャラリー」 SMの女王様をしているサユリ様の体験。 ある日、お客と一緒に都内のSM専門ホテルに入った。 入ってすぐ、室内に人の気配が漂い始めた・・・・ 目隠ししたお客を壁の十字架に縛り付けると、言葉で攻め始めた。 すると、背後に強い気配を感じた。 振り向くと、ずらりと並んだ半裸の男性が思い思いの拘束具を身につけ 物欲しそうに彼女を見つめていた。 幽霊は何度か見たことがあるので問題はないが、これだけのギャラリーが 目の前にいると集中できない。 サユリ様はお客を縛ったままプレイをやめると、退出の時間までトイレに 籠もっていた。 『お客はその間放置だったんだけど、プレイだと思って満足してくれたみたい』 |
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厭ナ話 西浦和也 竹書房文庫 「おお~い」 毛利君は彼女と夜のダムへドライブに出かけた。 車を駐車して、ダムに架かる橋を渡っていると、下から 『おお~い』と声を掛けられた。 橋から身を乗り出して声のする方向を見ると、白いポロシャツを着た男がこちらに 向かって手を振っている。 こちらからも応えて、手を振り返した。 すると、男は暗闇の中を滑りながら、あっという間に橋の下までやってきた。 『おお~い、こっちに来ないか~』 ようやく、この男がこの世の者でないことに気づいた二人は、大慌てで その場から逃げ出した。 |
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憑ク話 西浦和也 竹書房文庫 「船主」 ある漁師さんの体験。 息子さんが独立したいと言い出したため、知り合いに頼んで船を買った。 前の持ち主が亡くなってから長く使われていないということだったが、状態は良い。 早速、独立する息子へはなむけとして贈った。 独立して二ヶ月ほど経った頃、息子から船のことで相談があった。 なんでも、時々、船が操縦不能になるとのこと。 船が勝手に移動した場所で漁をすると、決まって大漁になるという・・・ 『そりゃあ、いいこっちゃねーか』 と息子に言うと 『キモチ悪いんだよ』 その船に一人で乗ってみろということで、翌朝、漁場へ向かった。 ある漁場に着いてエンジンを止めて、漁の準備をしようとしていると船が流される・・・ 流されるのは潮目とは逆の方向で、これは確かにおかしい。 ふと、舳先へ目をやると、年老いた男がいる。 前方へ手を指しながら、振り向く顔と目と目が合うと消えた・・・・ 前方を見るとカモメの大群が海面のしぶきに群がっている。 『ああ、すごい魚群だ。ありがたい』 『あの爺さんは、今でも船主のつもりなんだろうな』 船は、息子さんと交換したのだとか。 |
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怖イ話 西浦和也 竹書房文庫 「大凶」 葬儀社に勤務する男性は、月に1回、近くの神社でおみくじを引くという。 引いたおみくじが、『凶』に近いほど、葬儀社の仕事が忙しくなるのだとか。 『その頃は、心が麻痺していて、毎月『凶』が出ることを望んでいましたよ・・・』 ある元日におみくじを引くと『大凶』と出た。 『今年は大忙しになるぞ』と高鳴る胸を押さえながら帰った。 次の日、警察から電話があり、夫の実家へ帰省していた娘夫婦と孫二人の車が 事故に巻き込まれて亡くなった。 次の日から葬儀の準備に大忙しとなった。 『人の不幸の上で商売をさせて貰っていることを、身内の不幸で初めて解りました』 今でも近くの神社でおみくじを引くが、大吉が出るまで何度でも引くのだそうだ。 |
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幽刻記―現代百物語― 西浦和也 竹書房文庫 「お帰りなさいませ、ご主人様」 ある男性の体験。 最近、引っ越した事務所で残業を一人していた。 終電もなくなり徹夜を覚悟して、近くのコンビニへ食料の買出しに行った。 さ~、もうひとがんばりするか~と事務所のドアを開けると メイド姿の若い女性が立っている。 『お帰りなさいませ、ご主人様~』 『た・ただいま・・・」 若い女性は薄くなって行くように消えた。 翌日、社長から、この事務所が以前はメイド喫茶だったことを聞かされた。 男性は残業になることを密かに期待しているとのこと。 |
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虚空に向かって猫が啼く 西浦和也 竹書房文庫 「猫が啼く」 ある家に越してきた人が、飼い猫の行動に気味が悪いという。 居間の何もない空間に向かって、よく啼くので気味が悪いと。 近所の人の話では、その家の前の住人は居間で首を吊って死んだとのこと。 猫には本当に見えるのですね。 |