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桜井館長

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桜井伸也
埼玉の怖い話 桜井伸也 TOブックス
「天神様の怪」
埼玉県上尾市藤波、天神氷川八幡合社。
私が小学三年生の時、五年生に面倒見のよりIさんという少女がいた。
いつも天神様で出会うIさんだが、ある日を境に天神様に来なくなってしまった。
通学路で見かけたとき、私はその理由を尋ねたことがあるのだが、Iさんが話してくれた内容は
とても不思議な話だった。
その日は友達と日記交換だてら、おしゃべりをしようと約束し、自宅に荷物を置くと天神様へ向かった。
今にも雨が降りそうな雲行きだったが、Iさんが天神様に着いた途端、雨が降り出した。
天神様の軒下で雨宿りをしていると、いつ来たのか見たことのない少年がブランコに乗っている。
雨の中、傘もない・・・・
Iさんは、その少年に軒下で雨宿りするよう声を掛けたことから話をしようとした。
『ここら辺の子じゃないでしょ?どっちから来たの?名前は?』
『お姉ちゃん、髪が長くていいなぁ・・・・ちょうだい?』
話が噛み合わない、何か変だと思っていると、少年の手の指に爪が1つもないことに気付いた。
怖くて目を閉じて、少年を遠ざけるようにひたすら『遊ばない』 『嫌い』を連呼した。
『じゃあ、これ、もーらった』と少年が言うのと同時に指に激痛が走った。
目を開けると少年は消えていたが、左手の小指の爪が無くなって血が流れていたという。

桜井館長
保志乃弓季
関谷まゆこ

恐怖実話 怪談図書館(桜井館長 保志乃弓季 関谷まゆこ) 竹書房文庫
「ビジネスホテルの怪」
都内の大きな駅から徒歩五分圏内というビジネスホテルでアルバイトをしていた時の話。
そのホテルには、建物内に専用のカフェと居酒屋があり、私はどちらのシフトにも入っていた。
居酒屋には若い女の子のアルバイトが何人かいるのだが、そのうちの一人がこんなことを言っていた。
『怖いからもう辞めたい』
何が怖いかと聞くと、自殺者と思しき霊が居酒屋に出るというのだ。
私は、彼女の言葉をあまり信じていなかった。
ある日、客室で遺体が発見され、大騒ぎになった。状況から自殺と断定されたそうだ。
翌日、出勤して店長から聞いた。その後、ホテルの支配人から自殺の状況を聞かされた。
『バスタブに水を張って手首を切って・・・・真っ黒いドレスみたいな布を着て、気味が悪かった』
その日の仕事の終わり間近・・・
居酒屋のバックヤードに入ると、アルバイトの女の子のひどく怯えた様子が目に付いた。
『怖いから辞めたい』と、以前から言っていた子だ。
彼女は、廊下の曲がり角を指差すと
『あそこにいる』 と言ったが、私には何も見えない。
『黒いマントみたいな物を着て、手首には包帯が巻かれている・・・・・』
彼女は涙目で、そう訴えながら震えていた。


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