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多田遠志

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饗宴6

多田遠志
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竹書房文庫
「君とは長いつきあいになりそうだね」 多田遠志
よしえさんはデリバリーヘルスに勤めているが、ぽっちゃりの女性が在籍する店である。
『太っていないと客が付かないし ≪もっとデブだと思ったのに≫ってクレーム言われたり
するからさー、体型維持には苦労するわけよ』
ある日、よしえさんが付いた影の薄い初老のサラリーマン風の男は変わっていた。
待ち合わせ後、ホテルにチェックインすると、いきなり大量のコンビニ弁当、サンドイッチを
テーブルにぶちまけ
『おなか減っているでしょ?食べて』
よしえさんは太りにくい体質なのでいただくことにした。
食べるよしえさんの姿を見て、男はニコニコとテーブルに肘をついて眺めていた。そして
『合格!君とは長いつきあいになりそうだ』
その客の発言は本当だった。週一度は必ず指名し、追加料金を払ってまで、よしえさんの
食事風景を携帯ムービーで撮影する。外食店に連れて行ってくれる時は、店外デートでは
なく規定時間内で食事を御馳走してくれた。
一年以上、毎週遊びに来てくれていたが、ある日を境にぷっつりと来なくなってしまった。
太い常連客を失ったことで収入も減り、お店でのランキングも落ちた。
そんなある日、稼ぎ時であるはずの週末に客が来ないことがあった。
よしえさんは弁当、おつまみ、ビールをコンビニで購入すると帰宅した。
つまみを開けて、ビールを一口飲み、さて、テレビを点けようとリモコンにい手を伸ばした・・・
すると、テーブルの端にガリガリに痩せこけた、あの常連客が肘をついて座っていた。
お化けだろうと思って怖かったが、お腹が減っていたので1口食べた。
するとお化けの常連客が明らかに喜んだ。
実は、よしえさんは『霊が視える』体質で、自縛霊とかに悩まされていた。
しかし、常連客の霊が来てからは他の霊が気にならなくなったとのこと。
ここに二人の利害が一致して、君とは長いつきあいになりそうだね・・・が再延長になった。


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