多田遠志 |
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「君とは長いつきあいになりそうだね」 多田遠志 よしえさんはデリバリーヘルスに勤めているが、ぽっちゃりの女性が在籍する店である。 『太っていないと客が付かないし ≪もっとデブだと思ったのに≫ってクレーム言われたり するからさー、体型維持には苦労するわけよ』 ある日、よしえさんが付いた影の薄い初老のサラリーマン風の男は変わっていた。 待ち合わせ後、ホテルにチェックインすると、いきなり大量のコンビニ弁当、サンドイッチを テーブルにぶちまけ 『おなか減っているでしょ?食べて』 よしえさんは太りにくい体質なのでいただくことにした。 食べるよしえさんの姿を見て、男はニコニコとテーブルに肘をついて眺めていた。そして 『合格!君とは長いつきあいになりそうだ』 その客の発言は本当だった。週一度は必ず指名し、追加料金を払ってまで、よしえさんの 食事風景を携帯ムービーで撮影する。外食店に連れて行ってくれる時は、店外デートでは なく規定時間内で食事を御馳走してくれた。 一年以上、毎週遊びに来てくれていたが、ある日を境にぷっつりと来なくなってしまった。 太い常連客を失ったことで収入も減り、お店でのランキングも落ちた。 そんなある日、稼ぎ時であるはずの週末に客が来ないことがあった。 よしえさんは弁当、おつまみ、ビールをコンビニで購入すると帰宅した。 つまみを開けて、ビールを一口飲み、さて、テレビを点けようとリモコンにい手を伸ばした・・・ すると、テーブルの端にガリガリに痩せこけた、あの常連客が肘をついて座っていた。 お化けだろうと思って怖かったが、お腹が減っていたので1口食べた。 するとお化けの常連客が明らかに喜んだ。 実は、よしえさんは『霊が視える』体質で、自縛霊とかに悩まされていた。 しかし、常連客の霊が来てからは他の霊が気にならなくなったとのこと。 ここに二人の利害が一致して、君とは長いつきあいになりそうだね・・・が再延長になった。 |