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高田公太




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高田公太

高田公太
恐怖箱 青森乃怪 高田公太 竹書房文庫
「冬」
そのスキー場にはジャンプ台があり、スキーの大会も開催されている。
大会のない日、練習中のスキーヤー達が次々とジャンプしていく。
ザッと飛び、着地。
ザッと飛び、着地。
これが通常であるのだが・・・・
ある日、ザッと飛んで・・・・空中で消える・・・・ということが起こったそうだ。
ジャンプ台周りの来場客は騒然とし、しばらく誰もジャンプしようとしなかったという。

高田公太

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恐怖箱 学校怪談 高田公太 鈴堂雲雀 三雲央他 加藤一編監修 竹書房文庫
「彼はずっとそこにいる」 高田公太
『柿崎剛』  『はい』
『佐藤慎一』  『はぁい』
『立花和枝』  『はいっ』
教師が順調に生徒の出席を確認する。
あと二人、名を読み上げれば確認は終了だ。
『丸山肇』  『はい』
『三橋こず恵』  『はーい』
『森本ケンタ』

『はい』

ああ、またやってしまった・・・またこの声を聞いてしまった。
生徒たちは皆、肩をすくめる。
森本ケンタ、という名の生徒はこの学校にいない。
何故、その知らない生徒の名を呼んでしまうのかは、職員室の誰一人わからない。
昔からその教室でよくある事例なので、今更話題にもならないのだそうだ。

高田公太

高田公太
恐怖箱 海怪 高田公太 鈴堂雲雀 三雲央 加藤一編監修 竹書房文庫
「カヤック」 高田公太
とあるアウトドアショップの店長の話である。
夫婦二人で人里離れた海へ行った。
持参したシーカヤックで遊ぶためだった。
無事に浜に着いた二人は、カールーフに載せていたカヤックを外し、胸躍らせて
海へ入っていった。
波に乗り、岸から少し離れた頃に、砂浜に停めた車の横にパトカーが横付け
されているのに気付いた。
二人はオールを漕いで、急いで岸に向かった。
制服を着た警官と私服姿の男がいたが、定期巡回なので気にしないようにと
話をしたのは制服警官のみだった。
『一カ月前に、ここで行方不明になった方がいましてね』
その日、岸に一台の車が停まっているのを遊びに来た男性が見つけた。
この場所は、歩いて人のいる場所まで帰れるようなところではない。
警官は、話し終えるとパトカーに乗り込んだ・・・・私服姿の男を残して・・・
私服姿の男はスタスタと森へと入って行ってしまった。
パトカーの警官に私服姿の男のことを話したが、全く相手にされなかった。

高田公太

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恐怖箱 海怪 高田公太 他10名 加藤一編監修 竹書房文庫
「海撮り」 高田公太
夏場、総勢七~八人で海辺のキャンプをした。
夜、缶ビールを皆で飲んで騒いだ。
ある友人が使い捨てカメラで、キャンプの様子を写真に撮りまくっていた。

キャンプから数日経過すると写真が出来上がったきた。
『こいつ誰だと思う?』
言われるまま写真を確認すると、半数以上に見知らぬ男が写っていた。
男の写り方には、幾つかのルールがあった。
まずは、海パン姿で砂の上に仰向けで寝そべっていること。
顔は必ずカメラに向いている。
そして、誰かが座るビールケースがある光景にしか写っていないということ。
男の風体は中肉中背、色黒の二十代後半といったところだった。
『ええと。いなかったよな、こんな奴』
『ううん、だよね。でも、思いっきり写っているな・・・・』
写真とフィルムは、撮影者の手で燃やされたとのこと。

高田公太

高田公太
恐怖箱 怪談恐山 高田公太 竹書房文庫
「寄せ」
篤子さんは、東北は青森、恐山へ行った。
恐山と言えば『イタコ』・・・
入山入り口で訊ねると、今はイタコが山に常駐していることはないのだそうだ。
残念な気持ちのまま、宿泊先に着いた。
対応に出た仲居に、冗談まじりに愚痴ったところ、イタコを紹介してくれるという。
すっかり機嫌のなおった彼女がイタコの家に向かう。
そこは近代的な二世帯住宅だった。
目の前でニコニコしている老婆がイタコだった。
『死んだ父をおろして下さい』
と告げると、白装束も供え物もなしで、急に始まる口寄せに面食らった。
≪インチキ・・・とか言っちゃいけないよね。・・・・・これも趣があって・・・・≫
『・・・・篤子か・・・・。お前に話さないといけないことがある』
老婆は声音をすっかり変えていた・・・・頑張る老婆に自分も合わせなければ・・・・
『お父さん、会いたかった。なあに、話って?』

旅行を終え、地元に戻った彼女は、母にイタコの珍エピソードを笑って聞かせた。
しかし、母は笑わずに泣いた。
イタコを通して父が言ったこと・・・・お前は俺の娘じゃない・・・・本当の父は母さんの前夫だ。
『あたし、母さんが泣いたから、もうマジじゃんと思って問い詰めたら、やっぱりマジだったわよ』

高田公太
神沼三平太
ねこや堂

高田公太
神沼三平太
ねこや堂
恐怖箱 百舌 高田公太 神沼三平太 ねこや堂 竹書房文庫
「ドライブ」 高田公太
佐々木さん一家が海岸に向けてドライブをしていたときのことである。
『ねえ、パパ。かお! いっぱい顔!』
と、息子が声を上げ、窓の外を指さした。
咄嗟に息子の見ているほうに夫婦で目を向けると ≪○○首塚≫ と書かれた
立て看板があった。
息子がそのような漢字も、内容も理解できるはずがない。
『顔があったの?』
『いっぱいあった! 顔あった!』
佐々木さんはアクセル強く踏んで、早くその場を離れることしか考えなかった。

高田公太
神沼三平太
ねこや堂

高田公太
神沼三平太
ねこや堂
恐怖箱 百聞 高田公太 神沼三平太 ねこや堂 竹書房文庫
「黙祷」 高田公太
小学生だったある日、校長先生が脳溢血で亡くなった。
朝の全校集会が行われ、皆で黙祷をしていた最中のこと。
一人の教師がおもむろにマイクの前に立ち、校長先生の声で
『ありがとう』
と言って倒れた。

高田公太
深澤夜
神沼三平太

高田公太
深澤夜
神沼三平太
恐怖箱 蝦蟇 高田公太 深澤夜 神沼三平太 竹書房文庫
「分かりません」 高田公太
仏間にて。
仏壇の観音扉を開けると、白い足が中を横切り、消えた。
見えたのは太腿より下、それも片足のみ。
若々しい肌質だった。
先祖代々のうち、どなた様の御足だったのだろう・・・

原田空
矢内倫吾
高田公太

原田空
矢内倫吾
高田公太
恐怖箱 蟻地獄 原田空 矢内倫吾 高田公太 竹書房文庫
「ジッポ」 高田公太
体験者の女性が古着屋で見つけた中古のジッポに一目惚れした。
店主曰く、ベトナム戦争もの・・・・
鈍く光る銀色と細かい傷に筆記体で書かれた兵士の名前が気に入った。
購入した次の日、コンビニで弁当を選んでいると・・・・突然ビンタを食らった。
それから、頭を殴られて腹を蹴られたり、顔面を強打されたりと見えない敵に
攻撃されるようになった。
始めは億劫に思ったが、友人の勧めに従って霊能者に見てもらうことにした。
指定された住所に行くと、普通のマンションの一室だった。
インターホンを押すと、挨拶もないままバッグの中の銀色の物を渡すように言われた。
ドアから伸びる女の手にジッポを乗せた瞬間、女がドアに激突して外に飛び出して来た。
恐怖の顔で女が見た先は玄関、そこには見るも無残な兵士の姿があった。
体験者の女性は一目散に逃げ出した。
逃げる途中でも、パチンという炸裂音が数回、響いた。
3日後 『請求書(慰謝料含む)』と書いた封書が届いた。
額面からして、捻挫くらいではとても済まない状態だろうと推測された。
あういう仕事も大変だと思い、額面より多く振り込んだそう

鳥飼誠
寺川智人
高田公太

鳥飼誠
寺川智人
高田公太
恐怖箱 精霊舟 鳥飼誠 寺川智人 高田公太 竹書房文庫
「押入れ」 高田公太
大学の先輩が住んでいた時から『出る』と言われていた部屋に、鈴木君が住む
ようになった。
ある夜、泊まりに来た彼女がうなされていた。
声を掛けて起こすと・・・
『私、謝らなくっちゃ・・・』
と言いながら、彼女は押入れに向かって何度も何度も土下座をした。
『もう、この部屋には来れないな~』との彼女の言葉から
鈴木君が彼女の部屋に行くようになり、同棲を始めた。
しばらくは同棲生活を楽しんでいたが、ささいなことから喧嘩になり
自分のアパートへと帰って行った。
煎餅布団へ潜り込むと眠りに落ちて・・・・ふと目覚めた。
すると、目の前にはヤジリ、弓を引き絞るキリキリという音とともに
『殺す』 声には凄まじい殺気が漲っている。
『すみません、すみません、すみません』 土下座して謝った。
ヤジリと弓の主は押入れの中へ移動すると 『殺す』 『殺す』・・・・
鈴木君は、押入れに向かって何度も何度も謝り続けた。


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