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橘百花

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橘百花
恐怖箱 死縁怪談 橘百花 竹書房文庫
「死んでもやめられない」
会社員の尾鈴さんは喫煙者だ。
勤務中に煙草を吸う際は、社内の喫煙スペースを利用する。
その日もいつものようにそこへ向かった。
喫煙スペースの入り口はガラス扉になっており、中がよく見える。
中では数人の男性が煙草に火をつけていたが、入り口付近には誰もいなかった。
尾鈴さんが扉を引いて中に入ろうとした時
『・・・・すみません』
小さな、男性の声がした。
先に外に出ようとした人がいて、自分がその人の行く手を遮ってしまったのでは?・・・・と
尾鈴さんは思った。
『あ、こちらこそすみませ・・・・』
そう返しつつ顔を上げたところ、彼女の目の前にヤニ色の煤けた人形が立っている。
その人形は申し訳なさそうに身体を小さくしながら、こそこそと彼女の横を抜けて消えた。
同じ喫煙仲間だから理解できる。
『死んでも煙草は、やめられない』

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恐怖箱 仏法僧 橘百花 つくね乱蔵 雨宮淳司 竹書房文庫
「大文字ネオン」 橘百花
日向さんはその日、飲み会の予定があった。
待ち合わせは駅の改札口。
一番乗りで仲間を待った。

最初に、仏門に関わる職業の方が来た。
『何か変な臭いがするね』
妙な気配と共に、妙な臭いが日向さんから漂っていると言う。

次に、霊能者の方が来た。
『日向さん、あそこに行ったでしょ?』
とある地名を口にした。
そこへは二週間ほど前に足を運んでいる。
どうしてわかったのかと問うと・・・・
『頭の上に大文字のアルファベットで四文字、○○○○って・・・・ネオンみたいに光っているよ』
派手に光るそれは、しばらくの間消えずに残った・・・・らしい・・・・


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