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寺川智人




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寺川智人

寺川智人
恐怖箱 海月

寺川智人
三雲央
深澤夜

竹書房文庫
「フレームイン」 寺川智人
二階堂さんは、電信柱の設置状況の検査・報告のために撮影した写真を見ていた。
そのため、被写体は電信柱。
四方から撮影されているが、他の対象物を撮影したりしない。
が、1枚の写真の電信柱の手前に三輪車に乗った親子と思しき二人が写っていた。
三輪車のサドルに跨る子供と、後部の踏み台に乗る短髪の男性。
しかし、横向きの彼らの姿は、うっすらと透けているため後方の電信柱の設置状況は
確認できるものだった。
納期が差し迫っていたため、そのまま写真を親会社に提出した。
親会社からの問い合わせはなかったという。

寺川智人
つくね乱蔵
鈴堂雲雀

寺川智人
つくね乱蔵
鈴堂雲雀
恐怖箱 油照

寺川智人
つくね乱蔵
鈴堂雲雀

竹書房文庫
「まいご」 寺川智人
知代さんは近所の山を散歩していて、迷子になったことがある。
来た道もわからずに途方に暮れていると、隣に人の気配が立った。
見ると、お面と手ぬぐいを被った大男がゆっくりと歩き出すところだった。
『この人についていけば帰れる』
何故だか、そう思った知代さんは大男の背中を見ながら歩いた。
暫くあるくと、車の往来がある大通りが見えてきた。
大男は、その手前で立ち止まった。
『ありがとう』
そう言うと、知代さんは大男を見上げた。
そこには、お面も手ぬぐいもなく、大きな目玉が3つあるだけだった。
大きな体を目一杯屈めて、長い手は地面に触れていた。
そして次の瞬間、大男はぼろぼろと崩れて土塊になった。
『きっと、私を怖がらせないように、気を遣ってくれたんだと思います』
知代さんは今でもその山の前を通ることがある。
その時は必ず、心の中でこう呟く。
『ありがとう』

鳥飼誠
寺川智人
高田公太

鳥飼誠
寺川智人
高田公太
恐怖箱 精霊舟

鳥飼誠
寺川智人
高田公太

竹書房文庫
「資格試験」 寺川智人
趣味が高じて古書店を経営する尾崎さんのもとに1本の電話がかかってきた。
それは尾崎さんの店常連の大学教授の奥様で、教授が亡くなったための
本の整理の依頼だった。
軽トラックで教授のお宅へ伺うと、気難しい遺影へ手を合わせ書斎へと向かった。
蔵書はどれも稀少で価値の高い物ばかりだった。
尾崎さんは競りに出すことを薦めた、奥様の返事は任せるとのことだった。
そして、目の前の本棚の本は尾崎さんへ無償で贈与するようにとの遺言と聞かされた。
『手放す時は相手を選ぶように』の釘が刺してあったが『死ぬまで手放しません』
天にも昇る嬉しさの中で本を軽トラックに積み込み、売りに出す物を店へ降ろした。
彼に贈られた本は、大切な本を収納しているコンテナルームへと運び
細かく分類した棚の本の間へと収納した。
翌日、トランクルームへ来てみると、本が床に積まれている。
泥棒が入ったのかと疑ったが、床に置かれている本が教授から譲られた本であり
丁寧な作業で本を積んでいる所作から教授の仕業であるとの確信をもった。
店でも陳列した本の配置を度々入れ替えていた教授だったが、それが適切だったので
尾崎さんは黙認していた。
『そうか、配置が違うということでやり直しを命じられたのか』
その日から、カテゴリー分けした教授に贈られた本を読み、同じジャンルの蔵書を読み直し
関連する書籍にて両方の本の関係を確認してから本棚に納めるという作業が始まった。
本棚から本が引き抜かれないなら、次のカテゴリーへ進む。
約1年かかって本の収納が終わった頃、教授の奥様を尋ねて経緯を説明した。
奥様は笑いながら 『まあ、主人らしいこと。さぞ、迷惑だったことでしょう』
尾崎さんは満面の笑みで 『いえ、勉強させていただきました』


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