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実話ホラー 黒い思ひ出 洋介犬 だいわ文庫
「天窓」
今は五十代となったSさんという男性が幼い時に体験した、温かくも悲しい真実が込められていた話。
彼が小学低学年のときのこと。
夜中にトイレに行った。幼いながらもから一人でトイレに行くのに慣れていた。
いつもの通り、自室から廊下へ出て1階のトイレに向う。
トイレからの帰り、何気なく階段の上の天窓を見ると誰かが覗きこんでいる・・・・
よく見ると、それは隣町に住む彼の従妹だった。
自分より3つ年上で、遊びに行けば自分に優しくしてくれる従妹が天窓に張り付いて彼を見ていた。
不思議と怖くなかった・・・・。
翌朝、家族から、その従妹が亡くなったことを知らされた。
通夜へ行くと、自分の母親の取り乱し方が激しいのに驚いた。
いくら親戚の子とはいえ、その落胆ぶりと憔悴は見るに耐えないものだった。
当時はその理由がわからなかったが、成人した後にその理由を知った。
従妹のお姉さん、実は彼女の実のお姉さんだったというのだ。
最後のお別れに、自分の存在も知らない妹の元へ現れたお姉さんの思いでした。


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